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こんな人間にもできること  作者: 雪桜と紅葉
人との交流は煩わしいものです。しかし、人は煩わしさの良き隣人でなければいけない
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十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない。それはいつ実証されるのでしょうか? 19

どんな所でも自分の陣地にしてしまうのが彼女のズルい点です。

 ===迷宮『落陽』最下層===

 私達が落ちた穴の先にあった小さな部屋。一人暮らしの貧乏学生が借りるような広さしかないこの部屋は骸が転がり、落下した時に散ったであろう血痕が散見されます。


 しかし、なんということでしょう~。あの暗く陰湿な部屋が一面銀色の輝かしい部屋に生まれ変わってしまったではありませんか。こんな素晴らしい部屋を作り上げた今回の匠はフールさん。身体の一部を薄く延ばし、部屋全体を覆ってしまったのです。それはまるで壁紙を自分の気分で変えてしまうくらいの気軽さで。匠はこう語っています。「こんな部屋ではまったりすることもできません。魔物がいつ現れないという保証もありませんから万全の態勢で臨みましょう!」


 そんな辺り一面銀世界な状態で私はフールに膝枕をされています。ひんやりとした感触が心地よいのですが、これではフールが休めてないと思い確認してみれば、「私たちはご主人様との触れ合いでこそ癒されるのです」と意味の分からない供述をしてきます。


「こんなに銀を使ってるのに見た目は変わらないんですね。さっきは腕が針みたいになってたけど」

「ご主人様に御奉仕するために見た目は変えていないのです。その代わり中身が少しスカスカになってます。今の私たちは軽いですよ?」


 フールの形態変化は便利だなぁと再認識。まだ他にどんなことができるかを聞いていないのでこれを機に聞いておきましょうか。


「さっき受け止める時にピカッて光ったたけど、あれって回復魔法だったの?」

「はい、そうです。私たちは全員が中級回復魔法までしか使えませんけど、瞬間的な回復でならフェデルタ様にもかなりの余裕を持って勝てますよ」


 フェデルタさんが修めている回復魔法は最高位の上級まで。例え部位欠損をしても即座に治療さえできれば完治させることができるというなんとも凄まじい(チートな)ものです。


「ご主人様は落下時に痛みを感じませんでしたよね?ご主人様が痛みを感じるよりも早く、私たち全員で治しましたからね!」

「そんな一気にやって大丈夫だったんですか?」


 前にフェデルタさんが完治まで治療した時は、大量のポーションが部屋に散乱するというそれはそれは悲惨な光景が広がっていました。言動も少しおかしかったですね。


「えーっと、だいたい100人分の魔力を使い切りましたね」


 事も無げにフールは言っていますが私でも分かります、異常です。比較的魔力量の多い修道女達の集合体であるフールがその内の100人分を空にするほどの魔力を使ったのですから。


 そして私の貧弱さもまた異常でしょう。痛みを感じさせないほどの瞬間治癒を施されたからといって、100人分の魔力を使わないと治らない身体って……。


「100人分の魔力を回復するのにどれくらい掛かりますか?」

「1日もあれば十分回復できますよ」


 ちょっと理解できなかったので根掘り葉掘り聞き出します。ふーん……チートですね。


 フールを構成する何千もの人格。その内100人が私に回復魔法を行使しました。では魔力の回復に掛かる時間はどのように計算するのか……。

 100人が休息に専念するだけという簡単な答えが出ます。100人が同時に休むので回復に掛かる時間は約1日。フールを構成する人格はまだまだいるので、活動には一切支障がないと……。


「フールだけで全部済む気がする……」


 フールを武器として使ってること自体が間違ってるのでは?私の存在意義は風前の灯です。


「そんなことありません!私たちは聖魔法しか使えませんから全然戦えないです」

「さっきの腕を針みたいにするやつでグサグサって」

「聖遺物になった私たちでは身体強化ができないんです。グサグサって刺さらない敵にはなんにもできないんですよー」


 どうも身体強化とは生物の身体が必要だそうです。身体を通して物質に魔力を纏わせることはできても、物質自体が魔力を纏うことはできない。例外として、魔力の塊であるダンジョン産の魔物は常時身体強化を施されている状態だそうです。さっきまで戦っていたコボルト達は身体強化をしていたことになりますね。

 フールのように膨大な魔力量を持っていてもできることは内部への蓄積と外部への放出だけ。纏わせるという蓄積と放出の中間に位置する行為はできないそうです。


 証拠に壁がぼんやりと光っているでしょう、とフールに指摘されてしまいました。確かにあれは許容量を超えた魔力が光となって放出されてますね。


「フールの魔力を使えたら最強じゃないですか」


 理屈はどうあれ結論はこうなります。それだけのエネルギーがあれば魔法に変換しなかったとしても十分な脅威になります。


「私たちは100人分の魔力を100人で使ったんです。ご主人様は100人分の魔力をおひとりで一気に使う気ですか?」

「あぁ、確かに言われてみれば」


 フールを魔力バッテリーとして使うことは可能。ただし、普段使っている蛇口の勢いが急に100倍になったとしたらどうでしょうか?間違いなく壊れます。蛇口が吹っ飛び、残るのは水を垂れ流しにする残骸だけ。


 人体でどういった影響が起こるか分かりませんが、やらないに越したことはありませんね。それでも使える魔力が増えるのは良いことです。

今週はいろいろと立て込んでいるので毎日投稿ができない可能性があります。無理な場合は前日までに報告します。ご了承ください。

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