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こんな人間にもできること  作者: 雪桜と紅葉
勇者になりたがる人は尊敬に値します
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異世界生活の始まり 4

遅くなりましたが、第4話です。1〜3話をお読みでない方は、まずそちらからお読みください。

 町とは住宅などが密集している場所。地域や地区を指すもの。市と村の間にある行政上の区切り。


 何が言いたいかというと、私がイメージしていた町とは大きく違うのです。てっきり木製の柵で周りを囲われた小さな所なのだろうと漠然と思っていたのですが……。まさかの石壁でした。町というよりも小規模な砦にしか見えないです。私一人ではとてもではないですが入ろうとは思わなかったでしょう。


「兄ちゃんはここ初めてかい?立派なもんだろう。領主様が市民生活に関心のある方でな。市民第一の政策を推進しているんだよ。おかげで俺たちは領主様におんぶにだっこなんだけどな」


 そう言っておじさんはハハハッと快活に笑います。幸せそうで何よりです。そして私にとっても朗報でしょう。最初の町が治安の良い場所なら情報収集もやりやすいですからね。

 入国?審査は滞りなく終了。おじさんが私の分の通行税まで払ってくれました。本当にありがとうございます。貴方が神様なら私は喜んで魔王とでも戦いましょう。


「じゃあ気をつけてな、兄ちゃん。俺は仕事が終わったらまた別の町に行っちまうから、もし困ったことがあったら冒険者ギルドでも訪ねるといい。町の案内くらいならやってくれるぞ」

「はい。ご親切にありがとうございます。貴方に出会えてよかった」


 お互いに手を振り別れます。あぁ、名残惜しい。


 おじさんの勧めの通り、冒険者ギルドに行ってみますか。なんせ一銭も持ってないわけですし、金策を考える意味でも行ってみて損はないでしょう。


 歩きます。ひたすら歩きます。町は平屋のような家々が密集したエリアと商店街のようなエリアがあるみたいです。他にも明らかに雰囲気の違う場所もチラチラ視界に入るのですが何でしょう?聞き耳を立てての情報収集には限界がありますね。


 冒険者ギルドはすぐに分かりました。周りよりも少し高い屋根が目印です。しかも赤色です、自己主張の激しい組織なのでしょうか。


「肩幅の広いお兄さんたちの巣窟でないことだけを祈ってますよ」


 ウェスタンドア、スイングドアと言われる扉が付いた正面入り口を通ります。パッと見では怖いお兄さんはいないようです。助かった、友人が言っていたテンプレは回避です。

 キョロキョロしている私を受け付けのお姉さんが手招きしています。メガネが似合いますね。今行きます。


「冒険者ギルドは初めてでしょうか?今日はどういったご用件で?」

「この町の概略とできれば路銀を稼ぎたいと思っているのですが」


 お姉さん、ごそごそとカウンターの下から60㎝四方の地図を出してくれました。説明によると私が通った道がメインストリートで商店街と住居が並んでいるそうです。そしてその道の突き当りにこの冒険者ギルド。その他の場所には兵士の詰め所や彼ら家族の住居空間、領主の邸宅なんかがあるらしいです。一般人には関わりのない場所です。


そしてあの石壁には微弱ですが、()()()()()させる魔法が込められているらしいです。やっぱりあるんですね、対魔法の魔法。

因みにこの町の名前はフロンティアだそうです。


「それで、あとは路銀でしたよね。一番手っ取り早いのはギルドに登録して、依頼を受け、報酬をもらうことですね。もちろん、大なり小なり危険が付きまとうものですからお勧めまではできないんですけど」


 異世界転移の先輩方に倣って私も登録したほうがいいでしょうか。転移先の世界は違いますが、先輩は先輩です。先輩いますよね?私が記念すべき第一号とかではないですよね?


「じゃあ、登録しますね。登録料は銀貨1枚なんですけど、持ってないですよね?ここは付けにしときますね。最初の依頼達成時に銀貨1枚分を差し引いた額を報酬としてお渡しします」

「登録することでのメリットってありますか?まぁ、無くても依頼を受けたいので、登録することに変わりはないんですけど」


「一つは公的な身分証としてギルドカードを発行できることですね。基本的にどこの国に行っても一定以上の信頼は得られます」

「あとは自分の持っている『スキル』や『技能』が視覚化できることでしょうか。自分にしか見えないようすることもできるので便利ですよ」


 その他にも依頼達成量などによってランク付けがあるそうです。A~Fの6段階で、そのランクによって選べる依頼に差が出ます。そして冒険者同士のいざこざは基本放置、民事不介入のようなものですね。


 そして、あった。ありましたよ、スキルに技能ですよ。やっと異世界らしいワードが出てきました。ここが地球のどこかという可能性が(つい)えた瞬間でもあります。えぇ、まだ諦めていませんでした。


「それではお名前と血を一滴お願いします。この針で刺して、その丸の中に血を垂らしてください。代筆もできますがいかがしますか?」


 さあ、女神様。あなたの言語翻訳魔術の力見せてもらいますよ。会話はできるみたいですが、読み書きはどうでしょうか。


 はい、できました。女神様すごい。

 そしてこれが私のギルドカードになります。



 名前 ー(こえ)

 スキルー「水魔法」「氷の心」

 技能 -「浄化魔術」「聴力強化」



「ギルドカードは依頼を受ける時と依頼達成後の2回提示する必要がありますのご注意ください。隠したいスキルなどがありましたら、隠したいと念じながらその場所に指を這わせると他人には見えなくなります」


「あちらの掲示板に一般募集の依頼がありますので、Fランクの依頼の中からお選びください。決まりましたら私のところに来ていただければ依頼を受理しますので」

「はい。ご丁寧にありがとうございます、お姉さん」


 そんなことよりも早くスキルと技能の一部を隠さないと。

 私の勘が告げています。これは見られてはマズイと。

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