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村人が世界最強だと嫌われるらしい  作者: 夏夜弘
第二章 妖狐の国
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最善策 4

 ―烈毅が、デッド達と接触する五分前のこと。


「よし、ここら辺でいいか」


 烈毅は一旦足を止め、"異次元アイテムボックス"の中に入れていたミーシュを取り出す。ミーシュの口は、モグモグと何かを食べている様だったが、もうこの際時間が無いため、無視した。


「ここからは二手に分かれる。俺があいつらと接触するから、お前は隠れながら動いて、キュウを回収すること。多分、戦闘になるからあんまり焦って動かなくていいぞ」


「わかった。でも、もし失敗したら?」


「いや、多分しないと思う」


「なんで?」


 烈毅は、キッパリとそう言い切り、その自信がどこから沸いてくるのかわからず、ミーシュは首をかしげながら訊く。


「なんでって……俺がいるからかな」


「なにそれ、心配でならないんだけど……」


「まぁまぁ。ミーシュは、キュウを取り返す事だけを考えてくれればいい。もし、上手くキュウを取り返せたら、何か合図をくれ」


「……わかった。でも、あまり期待はしないでね」


「わかってるよ」


 烈毅はミーシュの肩をポンッと優しく叩き、すぐに連中の元へ向かっていった。ミーシュは、ただ肩を触られただけなのに、何故だか力が沸いてくるのきがした。


「よし、頑張るぞぉ!」


 一人で拳を上に突き上げ、ミーシュも魔法を駆使しながら連中の元へと向かう。


 ―そして今に至る。


 ミーシュは、幻惑魔法を自分自身に掛け、周りの風景と一体化した状態となり、更に一定時間音を消す魔法を掛け、デッド達の元へ近寄って行く。


 これは、誰にも見られず、誰にも聞こえない。たとえ、それが烈毅でも。


 デッド達の合間を、針を縫うように軽快に進んで行き、キュウを抱えるデッドの前へと辿り着く。


 まだ気を失っている様子のキュウは、ピクリとも動かない。


 今助けるからね、キュウちゃん。


 誰にも聞こえない呟きをすると、まずはデッド達に幻惑魔法を掛ける。デッド達の目には、今見ていた風景と何一つ変わらない物を映し出されている。ただ一つ、変えたものと言えば、右手に抱えているはずの存在だ。


 幻惑魔法で、キュウを持っていると錯覚をさせる。現実を見ているミーシュからしたら、デッドが何も抱えていないのに、あたかも誰かを持っているかの状態に見え、幻惑魔法を掛けられているデッドからしたら、何一つ状態は変わらないと思い込んでいる。


 キュウを回収したミーシュは、そのまま何事もなかったかのように歩いていく。そして、物陰に隠れて、自分に掛けた魔法を解く。


 そして、キュウを取り返したミーシュは、空に向けて光魔法を放つ。バスケットボール程の大きさのその光魔法は、無音のまま空中に滞在し、そして音もなく消え去る。


「これで、私の役目は終了ね」


 あとは、烈毅を待つだけとなった。


 一方烈毅は、かなりの苦戦を強いられていた。


 ミーシュの合図を探すために、戦いの最中でもほかの場所に常に気を配らなければならず、尚且つ目の前の強敵を相手にしながらだと、さすがの烈毅でも無理がある。


 何千もの手数の攻撃が繰り返される中で、命中した攻撃はたったの一発。その一発は、烈毅が最初に入れた蹴り攻撃だけだ。残りの攻撃は、全て防がれていた。


 決して、劣勢なわけではない。寧ろ、攻撃の手数は烈毅の方が多い。ただ、カゲロウが想像よりも遥かに強かったため、攻撃を上手く当てられないのだ。


 だが、その戦いも間もなく終わる事となる。


 よく考えれば、どちらが勝つのかはハッキリと分かるだろう。それは、余裕がある方が勝つのだ。他を気にする余裕がある方。そう言えば分かるだろう。


 数秒の中で、数百もの拳を交えている中、烈毅は、視界の右端に、小さな光の玉が空に打ち上げられたのを確認する。


「合図だ」


 そう呟き、烈毅はもう周りを気にすることを必要もしなくなり、目の前の戦いに一点集中をする。


 そこからは、カゲロウが圧倒的なまでに押され負け、いくつもの攻撃を食らってしまう。


 一発目は右肋、二発目は腹部ど真ん中、三発目は顔面、とその後も幾つもの攻撃を食らっていく。


 そして、攻撃のダメージの蓄積はすぐに現れ、カゲロウは立つことが困難となり、足元がふらつき、片膝を付いて、荒い呼吸をしてしまう。


「はぁ……はぁ……な、なぜ急に攻撃が当たるように……」


 烈毅はカゲロウに視線を合わせるようにしゃがみ込む。


「簡単だ。俺が()()()()()出したからだ」


 その答えに驚きを隠せなかったカゲロウは、諦めたような顔になり、その場には仰向けに倒れ込む。


「ははは……少し本気をだした、か……俺は最初から、負けていたのか」


「いや、まじで強かった。こんなにワクワクした戦いは久しぶりだったよ」


「ワクワク? ……お前、もしかしてこの戦いを楽しんでいたのか?」


「え、お前は楽しくなかったの?」


 更にその答えに驚愕し、人村烈毅という人物が、どういうものなのか、カゲロウには分からなくなり、それと同時に興味が沸いてきた。


「ふふふ……ははははははは! 面白い! あぁ、楽しかった。この戦いはとても楽しかった! よし、じゃあお前の約束に従おう!」


「ああ。何故、領土を拡大したいのかを教えてくれ」


「簡単だ。誰もが望むような事を、過激派のリーダーが言ったからだ」


「世界征服……か」


「そうだ」


「なぜそんなもののためにキュウが必要なんだ?」


「彼女には、ある力があるんだよ。とても強大な力がな」


「力?」


「ああ。九尾の力がな」

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