表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村人が世界最強だと嫌われるらしい  作者: 夏夜弘
第二章 妖狐の国
58/130

妖狐の国に来ちゃいました 8

 烈毅とミーシュが、キュウを妖狐の国に返そうと話をしていた時、魔法結界内で特訓をしていた一同は――


「ねぇ、ミーシュ知らない?」


「ああ、ミーシュなら烈毅を探しに行くとかいって歩いて行ってしまったわ」


「そう。じゃあここの魔法はどうやって維持しているの?」


『それは我が代わりに貼っている。先程ミーシュが我に言いに来てな。安心しろ』


「そんな事出来たんだね。すごいじゃん!」


『我を甘く見るな』


 ここにいるのはレーナ、ナーシェ、ルノ、ファイアの四人だ。正直、皆烈毅がいないと不安で仕方がない。

 圧倒的な脅威とは、敵にすれば最悪だが、味方にいるなら真逆と言える。その脅威がいないとなると、誰しも不安になる。


「早く見つかるといいね、烈毅」


「ただ散歩に出かけたのを追いかけてるだけでしょ?」


「そうだけどさ。やっぱり少し心配なの」


 ルノは手を組む。目を瞑り、心の中で烈毅のことを考える。強がって言っているレーナも、何も言わなかったナーシェも、実は心のどこかで心配している。


 唯一、ファイアだけは何も心配はしていなかった。烈毅が強いことを知っているから。それよりも心配なのは、ミーシュの方だった。


『まぁ、心配する気持ちもわかる。だがな、信じてやる事も大事だ。なに、一人で勝手に消える訳じゃないし、誰かが計画的に犯行する訳でもない。安心してここで待っててやれ』


「……うん」


 ルノはそう返事し、残りの二人も軽く頷き、特訓に戻る。


「本当に……本当に何もなければいいのだけど……」



 ――妖狐の国にでは。


「さぁ、ここに長居するのも邪魔になるだけだし、俺らは帰るとするか。皆も心配してると思うし」


「そうね。帰りはしっかり馬車か魔法で飛んで帰りたいわ」


「えぇ、また俺がピョンピョン跳ねて帰ろうと思ったのに」


「それだけは死んでもやだ」


「楽しかったのに……」


 帰り支度を整え、いざ帰ろうとした直後、突然烈毅達のいた部屋のドアが荒く開かれる。


 二人は、そちらの方を見ると、そこには息を荒くして汗だくになっている守護兵がいた。


「お願いします……はぁ、はぁ……力を貸してください!」


「どうした、何があった?」


 烈毅は慌てず、焦った様子も見せずに問う。だが、守護兵はかなり焦っていたのか、内容が掴めない話し方をしてしまう。


「頼む、力を……助けに行かないと……はぁ、やばいんだ……早く救出に向かわないと」


「待て待て、落ち着け。内容が掴めない! 何がどうなったんだ? 焦らず言え」


「キュウ様が攫われた……」


 それを聞いた二人の顔は、ギュッと引き締まった表情になる。


「誰が攫ったかわかるか?」


「多分、過激派だ。これを機に戦争を始める気だ」


 守護兵も落ち着きを取り戻し、話し方も元に戻る。


「いつ攫われた?」


「今朝だ。キュウ様が外に出たところを攫われた」


「誰も付いていなかったのか?」


「キュウ様は空間を操作する魔法を使える。それを使って外に出たから、何も気づかなかった」


「キュウは何の目的の為に外に出た?」


「キュウ様のお祖母様……つまり現王女様のお母様にあたるかたのお墓参りの為にだ」


「先代王女ってことか?」


「ええ。先代王女様の名はソレス様と言うんだ。ソレス様はキュウ様を大変可愛がっていた。キュウ様もソレス様の事がお好きで、よく毎日あそんでいたんだ。それに、その当時はもうネキツ様が王女だった。だから、キュウ様をあそこまで育てたのはソレス様と言ってもいい」


 そこで、烈毅に一つの疑問が生まれた。


「……なぁ、ふと思ったんだが、あいつ今何歳だ?」


「キュウ様は今十歳だ。それがなんだ?」


「じゃあ、ソレス様が亡くなられたのはいつだ?」


「二年前だ」


「そうか……」


 烈毅は、その行動に出てしまったキュウに対して、怒りを表すことは出来なかった。寧ろ、良くあんなに元気でいられるものだと感心した。


 こんな状況でそんなことを考えてる暇が無いのはわかってる。でも思ってしまったのだ。

 可愛がって貰って、甘やかして貰って、育てて貰って。そこまでしてもらった人の事を忘れられる理由などない。


 家出した理由も、何となく分かった。


「おい、その犯人はどっちに行った?」


「力を貸してくれるのか?」


「そう言ってる。それで、どっちに行ったんだ?」


「東の方向に逃げていった。かなりの速さで逃げていったから、多分距離的には五十キロぐらいだ」


「その距離なら余裕で追いつける」


「恩に着る」


「ああ。とりあえず、ここの警備を固めろ。戦える奴は全員でネキツさんとシェルドさんを守れ。襲われる危険はあるからな」


「わかった。今すぐ」


「行くぞミーシュ。掴むぞ」


「ええ、わかった。……掴むぞ?」


 ミーシュの襟元を、烈毅はガシッと掴む。烈毅の目つきは、とても鋭くなっている。


「気失うなよ」


「無理ね」


 全速力で城を飛び出す。その際突風が起き、城の中のかなりがグシャグシャに散らばってしまった。


「待ってろよ、キュウ。必ず助けてやる」


「ぎゃああああああ! 助けてこわいぃぃ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ