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村人が世界最強だと嫌われるらしい  作者: 夏夜弘
第二章 妖狐の国
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妖狐の国に来ちゃいました 3

「意味わからなくないじゃと? そのまんまの意味じゃぞ?」


「なんで家出したかの経緯を教えろよ……」


「あぁ、そうじゃったな。失礼失礼」


 おじさんみたいな口調で謝り、一度咳払いをすると、中空を見て、何かを思いふけるような顔をして、キュウが話し始める。


「あれはじゃな、つい先日の出来事なのじゃ。朝起きて、童女は甘い物が食べたくなったのじゃ。だから、母上に『何か甘いものをくれ!』と、頼みに言ったのじゃが『朝からはダメよ。昼に食べなさい」』と言われたのじゃ。それでな、童女は嫌じゃ嫌じゃと駄々をこねたわけじゃ。そしたら母上が『うるさい、出てけて』と言ってきたから、家出したのじゃ」


「つまりはお前が全面的に悪いってことでいいわけね。じゃ、あとは頑張れ」


「待て! 童女を置いていく気か!?」


「いや、だってお前が全部悪いんじゃん。だから、俺は関係ないからもう帰る」


「頼む! 童女を一人にしないでくれ! 一人は寂しいのじゃ!」


「……じゃあどうすりゃいいんだよ」


「童女が来た道を案内するから、それに一緒についてきてくれ!」


「やだよめんどくさい」


「お願いじゃ!」


「はぁ……付いてくだけだからな?」


「やったぁなのじゃ!」


 そして、今に至るのだ――


 今は森の中を歩いているが、先程は聞こえてはなかった波の音が微かに聞こえてくる。


「もうすぐで海じゃ。そしたら、童女が魔法を使うから、ご主人は一緒に海に入るのじゃ」


「待って聞いてない」


「言ってないからな!」


 烈毅の肩の上でエッヘンと胸を張り、誇らしげな顔をしている。何も誇らしくもなければ、寧ろ自分勝手すぎて殴りたくなる。


「海からは自分で帰れ。一人で来たんだから、帰りも一人で行けるだろ?」


「無理じゃ」


「なんでだよ!?」


 キッパリと言い切ったキュウに、烈毅は思わず本気のツッコミを入れてしまう。


「童女には、帰りに使うだけの魔力が足りん。だから、お主の力を借りないとならないからじゃ」


「無理だよそんなの。人の魔力を使うなんて話は聞いた事が無い」


「それはそうじゃろ。だって、その力は童女だけの力じゃからな!」


「まじかよ」


「まじじゃよ?」


 そう。キュウにはユニークスキルがあり、その名は"魔力操作"。他の人間に触れ、その触れた対象の人間の魔力を、自分の物として自由に使う事ができる、という能力だ。


「いやでも、俺はジョブは村人だ。だから、使おうにも俺には魔力が無いから意味無いぞ?」


「それは本当か!?」


「本当だよ」


 森を抜けた直後、烈毅は歩みを止め、キュウと見つめ合い、数秒の沈黙が流れる。


「……何とかならないのか?」


「今回ばかりは無理だな……」


 キュウが次第に涙目になり、顔から元気が無くなっていくのがわかる。さすがに、烈毅も申し訳ないと思い、何か方法がないかと考える。すると―


「なら、私の魔力を使えばいいわ」


 聞き覚えのある声の聞こえ、烈毅はその方を向くと、そこにはミーシュが両手を腰に当てながら立っていた。


「それは本当か!?」


「ええ、本当よ」


「ミーシュ!? 何でここがわかった!? 特訓はどうした!?」


「会えたのは偶然よ、歩いてたら見つけた。特訓は今日はもう終わりにして貰った。あんたを探すためにね」


「いやいや、悪いって! 強くなるために頑張ってるんだから、何も特訓をやめてまで来なくても……」


「馬鹿ね。特訓も大事だけど、それよりもあんたの方が大事なのよ」


 目線を下に向けながら言うミーシュの頬は、少し紅くなっている。


「そんなに……そんなに俺を大事に思ってくれてるなんて……烈毅くんは嬉しいです!」


「おいご主人、童女もお主の事を大事に思っておるぞ?」


「ああ、お前はいいや。さっさと帰して、俺は俺の生活に帰る」


「ひどいのじゃ!」


「それで烈毅、その子は誰? 尻尾が生えてるようだけど、その子はモンスターなの? それとも魔族なの?」


「いや、そのどちらでもないよ。こいつは九尾って言って、表の世界の人間じゃないんだよ」


「ん? ……待って、表の世界の人間じゃない? どういう事?」


 この疑問は最もだ。『表の世界の人間じゃない』って聞けば、この世の誰もが同じ疑問を抱くだろう。表って何なのか。必ずそこに考えが行くだろう。


「ああ、えぇとだなぁ……」


 どう話そうか考えるが、中々上手く説明できそうにない。表だの裏だのと話したところで、まず信じては貰えない。烈毅は必死に悩むが、言葉が詰まる。


「はぁ……まぁ、簡単には説明できないって事ね。面倒っていうのだけは何となく分かったわ。とりあえず、今やる事を教えて」


「すまないな、助かるよ」


「いいわ、別に。ただし、あんた今度私との特訓に付き合いなさいよね?」


「ああ、なんでもやってやるよ」


 ミーシュは優しく微笑み、そしてまた、烈毅も優しく微笑む。それを烈毅の肩から見ていたキュウは、自分を蚊帳の外にされた事を嫌に思い、プクーっと膨れて、烈毅の髪の毛を掴む。


「いててててっ! 何すんだよ!?」


「童女を無視するな! 主従関係の仲じゃろ!?」


「どんな仲だよ!?」


「えっ、烈毅幼女を従者に……見損なったわ」


「まて、何か誤解をしてるぞ!?」


どこか変な点がございましたら、遠慮なく教えてください。



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