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村人が世界最強だと嫌われるらしい  作者: 夏夜弘
第一章 嫌われ者
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抜けられずの島 3

「閉じ込めた? これは魔法とかの類じゃないんだろ?」


「いえいえ、正真正銘私の魔法ですぉ? もしかしてぇ、島の特性とかお思いになられましたぁ? そんなものあるわけないでしょぉ?」


「嘘をつくな? こんな島を覆えるほどの魔法なんて使える奴はそういない。それに、時間が経過しないとなるとさらにだ」


「それが私なのですよぉ? 滅多にいない存在なんですねぇ、わたしぃ?」


 顎を擦りながら、胸を張って自慢したげな顔をしている。正直、うまくペースが掴めない。このままだと、また何かされるのかもしれない。


「魔族なのか? それとも人間なのか?」


「魔族ですよぉ、わたくしぃ。それもぉ、かなり上位の者でしてねぇ? デルノゼ君を知ってるでしょぉ? 彼ぇ、私と同じチームでねぇ、頼まれてずっと監視していたんですよぉ?」


 そう言われ、時々感じた視線の事を思い出す。もしかしたら、こいつが見ていたのかもしれない。それを確かめるべく、烈毅は聞かずにはいられなかった。


「お前だったのか……時々殺気を放ったり、ずーっと見ていたのは?」


「はてぇ……私は視線を感じさせるようなヘマはしませんよぉ? だってぇ、気づかれたら終わりですからぁ」


 それはそうだ。烈毅は納得する。なら、あの視線はもっと別の者なのか? そんなことはさておき、今は目の前の魔族に集中する。


「さてぇ、長話も飽きてきましたからぁ、ちょっとお手並み拝見といたしますかぁなぁ?」


 そう言うと、指を鳴らす。その途端、突如海の方から無数の殺気を感知する。それらは、物凄い勢いで、その無数の反応が近づいてくる。

 そして、それは姿を表す。現れたのは、幾匹もの変異種。全て、魚類のモンスターを交えており、中には人間を混ぜたものもいた。


「また変異種……お前らは何が目的なんだ?」


「目的ですかぁ……まぁ、簡単に申し上げるならぁ、世界征服ぅ?」


「世界征服だと? なぜお前達はそんな事をしたいんだ?」


「さぁ? 私はただ()()()に従うだけなのでぇ」


 その名前に、烈毅達一同は、身を震わせる。


「あぁ、そう言えば、魔王様に頼まれてる事があったんですよぉ。烈毅さん、あなたぁ、私たちと共に世界征服しちゃいませんかぁ?」


 その突然の誘いに、烈毅は思わず言葉が出なくなる。さも平然とした顔でそう言う。


「あれれぇ? 言葉の意味がわかりませんでしたかなぁ?」


「……嫌だと言ったら?」


「まぁ、力尽くで持ち帰りますよぉ。本当は無傷で連れて来いって言われてるんですけどねぇ……」


「ほう? なら、俺は無傷で尚且つお前らを撤退させるとしましょうかね?」


「おやおやぁ、この数を相手にそんな大口を叩けるなんて大したお方ですよぉ。私、尊敬をお送り致しますぅ。申し遅れましたがぁ、私はヘール。魔王様に仕える下僕でございますぅ」


 ヘールは、再びハットを取り、深々とお辞儀をする。そして、ハットを被るとすぐに、指を鳴らす。それが戦いの始まりの合図となり、後ろで控えていた無数の変異種達が襲いかかってくる。


 右から、左から、上から、正面から。四方八方から襲いかかってきた変異種の目は、人殺しよりも恐ろしい目付きをしており、そして、放たれる殺気は禍々しかった。


 それに応戦すべく、烈毅は瞬きよりも早く変異種を殴りつける。ナーシェは、目の前の敵にだけ集中し、一薙で、いくつもの変異種を葬る。ミーシュは、後ろの方からゾロゾロ来る変異種に、範囲魔法を放つ。レーナは、少し周りとは劣っているものの、それを感じさせないような剣さばきで、変異種を屠る。


 何十という変異種が血飛沫を上げ、その場に不様に転がり落ちる。が、休む暇は無い。次から次になだれ込んで来る。


 ルノを庇っている分、烈毅は少し行動範囲が狭められるが、拳圧でも変異種を木っ端微塵にすることが出来るため、そこまでハンデは感じられなかった。


 そして、真白く輝いていた砂浜は、ものの数分で血の色で染まり、変異種の死体で砂浜など見えはしなかった。


 すると、それを見兼ねたヘールは、ため息を付きながら指を鳴らす。すると、変異種の動きが一斉に止まった。


「はぁ……変異種が使えないのは分かっていましたがぁ、ここまで使えないとはぁ……ため息が止まりませんよぉ」


 更に何度もため息を付く。その場から動こうとはせず、唯ひたすら同じ行動を繰り返す。すると、何もされていないはずのレーナが、突然力なく倒れる。続いてルノ、ミーシュ、ナーシェ。その状況に、烈毅は困惑する。


「…………まさか魔法!?」


「やっと気づきましたぁ? 何故貴方に効かないのかはわかりませんがぁ、そこの四人は回収させていただきますぅ」


 そう言われた瞬間、烈毅はユニークスキル"防御結界陣"を発動させる。


「ほぅ? 貴方魔法が使えたのですねぇ? 村人だから魔法が使えないとお伺いしていたのですがぁ……楽しませてくれますねぇ?」


 魔法と勘違いしてくれたのはありがたい。そうなればきっと、烈毅が使えもしない魔法に警戒してくれるという事だから。それなら、少しは動きやすくなる。


 烈毅は首をコキコキと二度鳴らし、静かに呟く。


「いっちょ派手にやりますか」

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