理不尽な戦争 7
デークとは、日本では北海道に位置する場所であり、最も隣国に近い場所とも言われており、 ベルム国の人間も多くはないがいるところだ。
デークにいるベルム国人は、全員がベルム国に不満を持った者が多い。
ベルム国は、かなり争いが多い国で、毎日いざこざが続き、それを不快に思う者がいるのだ。それもその筈、ベルム国は多くの小さい国を戦争で買っては領土にしてきた。喧嘩が起こるのは当たり前だ。
デークまでは、休み無しで徒歩で二週間はかかる。そのため、一度ファイアの所まで行き、その後背中に乗っけて貰う予定だ。もう連絡もとってある。
この予定なら、三日後にはデークに入れるだろう。そのせいか、烈毅以外の連中は、鼻歌交じりにスキップをしていた。
「お前らあまり離れるなよ〜」
「「「「わかってる〜!」」」」
「はぁ……あんなに呑気なあいつらが羨ましい」
烈毅は腕をだらんと下げながらそう呟く。が、すぐに背筋を伸ばし、少し小走りでルノ達の元へ向かう。
「って言うか、なんでデークに行きたいんだ?」
「そりゃ決まってるよ! デークでは雪が降るんでしょ? 私、雪ってまだ見たことないのよね! だから見てみたくて!」
ナーシェは満面の笑みを浮かべながらそう言う。その発言に、他の三人もゴクリと喉を鳴らし、雪がどれほどのものかと想像をする。
「私、雪だるま作りたーい!」
「あ、私も私も!」
ルノとレーナは無邪気にはしゃぎながらそう言う。ミーシュも、どこか大人気な雰囲気を出しながらも、雪だるまという単語に敏感に反応する。
「わわ、私は別に? 雪だるまなんて? 子供が作りそうなものなんて興味ないしー?」
「嘘つけ。お前さっきから雪だるまって言葉を聞く度に、ちょこちょこレーナ達の方を見てただろ?」
「そ、そんなことない!」
そのミーシュの反応を見ながら、皆は大声で笑い合う。皆、デークを楽しみにしているのだ。やはり、初めてというのは子供心を擽るのだろう。好奇心に満ち溢れた四人の顔は、いつ見ても癒される。
「まぁまぁ、早くファイアのところに行って、デークへ行こうぜ!」
それから二日後、烈毅達はファイアの住処に到着する。そして、中に入ってファイアを呼ぶ。暫くしてから、ファイアが現れ、早速背中に乗せてくれた。
「た、たかいぃぃい」
「なんだナーシェ、お前高所恐怖症なの?」
「こ、怖くなんかないし!」
「いやでも、今までに見たことないくらいに顔色が悪いぞ? ゲロとかぶちまけるなよ?」
「そんな汚い物、流石に吐くわけが……」
その会話の途中で、ファイアは勢い良く翼を動かし、空へ飛ぶ。バサバサと音と風をたてながら動く翼は、間近で見ると迫力がある。
それから数秒もしないうちに最高到達点まで登り上がると、ナーシェは白目を向きながら、口の端からゲロを垂らしながら倒れていた。
「うわ、ファイアかわいそう……」
そんな感想を漏らしながらも、烈毅はデークまでの空中旅行を楽しむことにする。
手を伸ばせば、青い空の中に走る雲を掴めそうだ。下を眺めれば、今まで歩いてきた道や町が豆粒のように見える。
さらには、遥か彼方まで続く陸地。反対を向けば水平線。この世界は、とても広いんだと、烈毅は心踊らせる。
それから小一時間経った頃、ファイアが下降を開始する。
『お主ら、もうすぐ着くぞ。準備を』
「だとさ。ナーシェは俺がおぶるから、お前らは落ちないようにしっかりと掴んどけ〜」
「「「はーい」」」
そして、ファイアは無事着陸し、烈毅達はファイアの背中から飛び降りる。
『我も少しここには興味があってな、バレない程度にここらへんを彷徨いている』
「わかった。じゃ、また後でなー!」
そう言って、ファイアと別れた後、デーク町向けて歩みを進める。
着陸した所からはそう遠くは無く、徒歩で三十分くらいで到着するだろう。雪が積もって足場が悪いのが少々時間を取られそうだが、太陽が反射して輝いて見える雪は、とても美しい。
「雪綺麗だな」
「だね〜! こんなに綺麗だと、踏んじゃうのが勿体無い!」
「私、これを丸めて味のついたシロップをかけたら上手いと思うのだけど、どう思う?」
「ミーシュ……どうしてそんな馬鹿な発想を……」
「「何それ! 超気になる!」」
「お前らまで……ナーシェがゲロ吐いて寝てんだから、静かにしてやれよ……」
そう言いながらも、烈毅も少しその提案には賛成だ。
「じゃあ、まずはシロップを買わないとな」
そう言って、少し歩くペースを上げてデーク町へと向かうのであった。




