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村人が世界最強だと嫌われるらしい  作者: 夏夜弘
第一章 嫌われ者
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旧友に会いに行こうと思います 4

「もう一度そいつの名前を教えろ」


 烈毅は、こわばった表情になって、ナーシェに問いかける。


「フィルレって名前だ」


「嘘だろ……」


「なんだ知り合いか?」


「…………俺の命の恩人だよ」


 その言葉を聞き、皆ご飯を食べる手を止め、烈毅の方を見る。


「俺のレベルがまだ百の頃だよ。俺がモンスターの大軍に襲われそうになっててさ、もう死ぬってところでそいつが助けてくれたんだよ。偶然な」


「……強かったのか?」


「ああ、めちゃくちゃな。そいつはさ、世界でも結構有名な冒険者でさ、二刀剣の鬼とまで呼ばれてたんだよ」


 皆俯いてしまう。烈毅は、悲しい感情とら怒りの感情が混ざり、殺意が剥き出しになる。徐々に殺気が漏れ出していき、それはその場を支配する。


 それに気づかない烈毅の手の甲に、ルノが優しく手を置く。すると、烈毅の殺気は自然と落ち着いた。


「すまん。取り乱した」


「それ程までに大切だったんだな……」


「ああ。その後もレベル上げ手伝ったりしてくれてさ。武器を持てない俺からしたらかっこよく見えたわけよ。その後も一緒に酒飲んだりいろいろな……」


 当時の烈毅は、ロクなスキルも無ければ、戦闘力もない雑魚だ。当時の強さで言うと、レベル一の勇者に勝てるか勝てないかの強さだ。

 今はユニークスキルや経験のおかげで、このレベルまで来れている。


「それで、俺のレベルが三百に到達した時だよ。突然姿を消したんだ。丁度ルノと会ったのもその時くらいだ」


「ルノ、見たことある?」


「ないかな?」


「ないと思うぞ。俺がルノに会ったのはフィルレがいなくなってから数日後だ」


「でも、それなら可笑しくない?」


「ああ、おかしい。俺とルノが会ったのはこいつが七歳の時。それから十年以上経った今に出てきた事がおかしい」


「でも、そんな変な情報聞かないけど……」


「それを探しに行くんだよ、これから。それに、多分前日の事件と関連があるかもしれん」


「前日って?」


「ああ、ナーシェさんは知らないですよね。何週間か前に、一人のフードを被った変な男の人が、変異種とかいうモンスターを作り上げて攻めてきたんですよ」


「そんなことが!?」


「ああ。最悪だったよ」


「その時、ルノが殺されそうになってブチ切れた烈毅が、とんでもない殺気を世界中に放ったんですよ?」


 レーナがちょっかいを出す感じに言う。その言葉に、烈毅は顔を隠して下を向く。


「あ、あの時は本当に……!」


「こら! 烈毅にちょっかいだすなタレパイ!」


「なっ……! 誰がタレパイよ! このぺちゃぱい!」


「いーえー! 私こう見えてCはあるんですぅー! あんたのはよっぼよぼのババアの六千倍は垂れてるわよ!」


「それじゃあ地面付いちゃってるじゃない!」


 二人の取っ組み合いで、その場の暗かった雰囲気が明るくなる。烈毅も、笑顔を取り戻す。


 ミーシュは、話の長さに呆れて寝てしまっていた。


 その後、旅の疲れで寝てしまった一同を、テントに移動させ、烈毅は一人見張りをする。


「なんでだよ……なんでフィルレじゃなきゃダメなんだよ……」


 その独り言は誰にも届かない。

 こっそり起きて聞いていたナーシェは、烈毅に肩を貸そうか迷ったが、そっとしておくことにした。


 翌日の朝、事件は起こる。


「ない……ないないない!」


「どうしたのルノ? 朝から騒いで……」


「私の……私のパンツが無い!」


「「「烈毅ね。殺しに行きましょう」」」


 そう言いながら袖をまくり、レーナ、ナーシェ、ミーシュは烈毅の元へ行く。だが、外にいるはずの烈毅はどこにもいない。


「あいつ、パンツ持って逃げたわね!?」


「最低! せっかく信用し始めてたのに! 見損なったわ!」


「私のパンツ盗めば良かったのに……」


「「えっ!?」」


「あっ、ちがっ……これは……」


「ナーシェさん。あなたは勇者ですよ? 選ばれし者なんですよ? そんな方がパンツを盗んで欲しいだなんて……」


「お前ら朝からなんの話してんの?」


「あっ! 現行犯よ!」


 テントの裏からひょっこり現れたその右手には、純白のパンツを握っている。


「烈毅最低!」


 それを見てレーナが辛辣な言葉を投げかけるが、烈毅は「待て。これは取り返したの。俺は悪くない」と言って、左てに持ったものをドサッと雑に地面に置く。


「こ、これって……」


「そうです。こいつが犯人です」


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