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いちごいちえ  作者: 夏みかん
終章
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終章

夕焼けが空を朱に染める。春の風はこの時間になるとさすがに肌寒さを感じさせた。長い影が前に伸びるのを追いかけるように歩く2人がいる。ただ黙って並んで歩く2人。影は繋がらず、ほんの少しの間を空けてそこにあった。そんな夕焼け空を見上げる苺をチラッと見た明人は複雑そうな顔をしてみせた。過去の事件のトラウマで、苺は夕焼けが苦手になっている。それは10年経とうとしている今でも変わりがなかった。そして、それは明人にとってもトラウマになっていた。助けられなかった悔しさが後悔になって蘇る。あの時、木戸周人が来なければ取り返しのつかないことになっていただろう。非力な自分を呪った。そして空手を極め、周人が見せた左右同時の蹴りを身に着けようと努力してきた。だが、結果としてそれは叶わず、去年の事件でも苺を守れなかった。守ったのは京也であり、自分ではない。今度こそ自分が守ると誓いながらそれも出来なかった。だが、今は違う。京也から教わったのは技だけではない。大切な人を守りたいという強く純粋な気持ちも教わった。そう、だから自分は苺を守る。たとえどんな脅威からも。そう思う明人がそっと苺の手を握った。苺はそんな明人を見つつも指を絡めてしっかりと繋ぎあう。


「明人君?」

「なんだ?」


明人は前を向いたままで表情はない。手の温もりを分かち合いつつ、苺は続きを口にした。


「夕焼け、もう怖くないよ」


その言葉に明人は怪訝な顔をして苺を見る。苺は夕焼け空を見上げつつ、小さな微笑みを浮かべていた。


「明人君がいるから、そばにいてくれるから、もう怖くないよ」


苺は笑っていた。その言葉が嘘ではないと証明するかのような笑顔。


「こうして手を繋いでくれるし、好きだと言ってくれるし、そばにもいてくれる。だから平気。あの日以前の明人君も帰ってきたし・・・だから、私はもう平気」


明人は微笑んだ。苺はもう乗り越えたのだ。明人という心の支えを得て。だから、今度は明人の番だ。


「俺はお前を守るよ。いろんなものから、必ず、絶対に守る」


明人は微笑を強くしてそう言う。それは決意であり、誓いでもある。もう、恐れるものは何も無い。ただ守るのだ。自分が全力を込めて。


「うん!」


苺もまた微笑んだ。握った手に力がこもる。微笑みあう2人が歩き出す。ゆっくりと、それでいて確実に前に向かって。自分たちのペースで。

少々駆け足気味に更新しましたが、年内に終わらせることができました。


元々は「くもりのち、はれ」の続編を設定する際に、どうしても避けて通れない木戸無双流の因縁があり、そこで色々考えて京也を設定。ですが、また木戸が主人公なのはどうかと考えて盛りつけた結果がこの物語です。


当初は短編で繋ぎの物語のはずでしたが、いろいろ広げてこうなりました。


この物語を経て、「くもりのち、はれ」の続編へと至ります。

要するに木戸三部作ですね。

紀子はゲスト扱いで、「のんこ」がどういう想いで10年を過ごしたかを描きたくて登場させました。


さて、これで準備は整い、次のステージへ。

「くもりのち、はれ」続編でも、少しだけ京也は出てきます。

もちろん、その彼女も。

残る彼らがどうなっているかは、お楽しみということで。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また他作品もよろしくお願いします。

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