揺らぐ気持ち 4
昼食を終えた明人と春香はセンター街を歩いていた。明人のことなので映画を見たら帰ると言い出すのではないかと思っていただけに、自分からここに行こうと言ってきたのは意外だった。それでもこれは素直に嬉しいと思う春香はかなりご機嫌な様子でウィンドウショッピングを楽しんだ。いつもと同じで会話は少ないが、自分のペースに付き合ってくれる明人をさらに好きになっていく。苺への後ろめたさも今日は影を潜めているせいか、春香はただ純粋にこのデートを楽しんでいた。服を見たりアクセサリーを見たり、雑貨を見たり。意見を求めてもあまり返事がない明人だったが、それでも春香にしてみれば同じ時間を共有できている満足感があった。ずっといつまでもこうしていたい、またこうして2人で出かけたいという気持ちがどんどん大きくなっていく。それでも、その気持ちを明人に伝えるのはまだ先だと決めている。気持ちだけが先行して失敗したくない、それだけは常に頭の片隅においてあった。そうして時間もいい具合に進み、夕方になる。日も随分長くなったせいか、午後4時半になるがまだかなり明るい。夕飯のことまでは頭にない春香が帰ろう言うと、意外な答えが明人から返ってきた。
「晩飯はどうするんだ?」
てっきりこれで帰るものだと思っていた春香にとって、これは嬉しい誤算だった。まだ明人と一緒にいられる、その嬉しさが顔に出ていた。
「てっきり帰るものだと思ってたから・・・食べて帰る?」
「俺はそのつもりだったが」
「じゃぁ、もう少しブラブラして、それからどこかに入ろうか?」
「それでいい」
短く答えた明人に春香は嬉しそうに微笑んだ。その表情からしても恋する乙女の感情が溢れ出てしまっている。それに気づいているのかいないのか、明人は無表情のまま春香を見ていた。
*
結局3ゲーム目は行わず、その後すぐにボウリング場を後にする。ゲームセンターに戻ってUFOキャッチャーなどをした結果、時計を見れば午後4時半。かなりゆっくりしたペースで遊んでいたこともあってちょうどいい時間になっていた。健司の予定としてはこのまま繁華街をぶらぶらし、夕食を食べての帰宅になっている。一応夕食まで食べることは苺に伝えてあるものの、再度確認だけは取ってみることにした。
「苺ちゃん、晩御飯は食べて帰るよね?」
「うん」
しっかり頷く苺に笑顔で頷き返した健司は事前の調査で美味しいパスタの店を見つけていた。人気の店だけに混むことを考慮し、早めに動く必要がある。6時に夕食と決めた健司はあと1時間半を繁華街で過ごすことを苺に告げた。苺は快諾し、まずは健司の希望で大型の本屋へと向かうのだった。
*
センター街といっても、大きな通りに派手な店が並んでいるだけのものだが、細い横道というような路地も多かった。逆にそういう路地の方が安い店や隠れた名店などがあり、雑誌などでも隠れ家的飲食店として載せられている店があるのも事実だった。だが、やはり路地だけあって暗い上に怪しいビルが多いのも現実だ。明人はトイレに行った春香の背中を見送りつつそういう路地へと目をやる。その明人の目が左側の路地にいる男たちを捉えた。薄暗い雑居ビルの入り口にいるのは2人の背の高い男と、そして知った顔だ。
「千石」
間違いなく、その横顔は数学教師の千石である。見るからに怪しい人物となにやら話し込んでいる様子だ。そんな千石の様子を見つつ、明人は少しだけその路地に近づいた。千石にバレる可能性もあるがおかまいなしに。会話までは聞こえないがかなり親しい仲のようだ。時折笑いも確認できる。
「おまたせ」
背後から掛けられた声に明人がそっちを振り向いた。それと同時に千石が明人の方へと顔を巡らせる。
「戸口と、今井、か?」
呟く千石の気配を背後に感じつつ、明人は振り返ることなく春香と歩き始める。そんな明人の様子を見た千石の目に宿る光。
「見られた、とは思えんが・・・」
ため息をつきつつそう言う千石の口の端がつり上がるが、その意図を理解出来る者はいなかった。明人はしばらく歩いた後、後ろを振り返ることなく一度立ち止まってから再度歩き続けた。そうして目の前に全国で大型チェーンを展開している大手のレンタルビデオ店へと入っていく。そんな明人に対して春香の中で疑問が頭をよぎるが、明人は何も言わずに2階にあるアニメのコーナーへと向かった。意外な趣味だと思う春香だったが、明人がやや細めの通路に入ったところで振り返った。人気のない通路で急に見つめられてドギマギする春香をよそに、明人は周囲の気配を探るようにしてから春香にさっき見たことを報告した。
「さっきの路地に千石がいた」
「千石って、千石先生?」
「ああ。怪しげな男たちと一緒にな」
「どういうこと?」
「わからんが・・・」
そこで一呼吸置く。明人としても推測の域を出ないため、春香に余計な心配と不安を感じさせないように説明すべく、頭の中でそれらを整理した結果だ。
「1つは事件に関すること、もう1つはただの知り合いということを仮定する」
その言葉に頷く春香だが、事件に関することしか頭になかった。
「事件に関わっているとしても考えられるのは2つ。1つは犯人である可能性、もう1つは事件を調査している可能性だ」
怪しい路地にいたということだけで犯人である可能性を考えていた春香だったが、明人の説明を聞いて驚いた顔をしてしまった。事件を調査しているとは、つまりは自分たちと同じことをしているのか。
「犯人だと仮定した場合、失踪した科目棟に数学準備室があり、場所的に非常出口のそばだけに坑道と繋がっている場所がどこにしろ動きはとりやすい」
春香は学校の配置を頭に描きつつ頷く。確かに数学準備室は渡り廊下を出てすぐの場所にあり、それに教室のすぐ左側には非常出口もある。そう考えれば動きはとりやすく、教師ならば生徒を呼び出すことも可能だ。
「だが、もし千石が俺たちのように事件を解決すべくなんらかの調査を行っているとしたら、そういう先入観はアダにある」
「でも、なんで千石先生が調査するわけ?」
「向こうにしてみれば俺たちの行動も疑問になる」
言われてみれば確かにそうだと思う。何故生徒である自分たちが失踪事件を調査するのか、千石が同じ立場であったならば理解できないだろう。
「千石はマークする。だが、犯人だと証拠が出るまでは動きは見せられない。このことは俺とお前だけの秘密だ。そして千石をそういう目では見るな。難しいと思うが、努力はしてくれ」
いつもの明人にはない真剣なまなざしには意思のこめられた光が宿っていた。黙って頷く春香を見た明人は短く行くぞとだけ言い、そのコーナーを後にする。春香は千石に対する疑念に揺り動かされつつも、苺にもない明人との秘密の共有に胸をときめかせてもいた。そのまま時間を稼ぐためか、明人はさまざまなコーナーを回ってから店を出た。並んで歩かず、常に後ろをついて回った春香を振り返った明人は無表情のまま口を開く。
「晩御飯にしよう」
「あ、うん、そうね」
今のやりとりがどこか新婚さんのようだと勝手に意識してしまい、春香は顔の火照りを隠すべく平静を装うが難しい。そんな春香を気にもせず、明人は歩き始めた。あわてて並んで歩く春香がどこへ行くのかをたずねようとした矢先、明人が前の方にあるハンバーグの店を指さした。
「美味いらしい。もっとも、木戸からの情報だがな」
その意外な言葉に春香は目を丸くした。そんな表情を見て珍しく苦笑を漏らす明人は店に向かいながら説明をする。以前、健司たち男3人でどこの店が美味しいかという話になったとき、健司は近所のお好み焼きの店を口にし、京也は中学時代に友達と行ったこのハンバーグの店が美味しかったと言ったのだ。当の明人は自分の家から10分どの場所にあるホームセンター前にある定食屋を指名していた。その後、近場の定食屋とお好み焼き店に関しては3人で出かけて試食という名の品評会を行ったという。一番ベストの店にみんなで行こうということになっていたと告げ、今日は場所がこのセンター街だということもあって最後の店であるここに来ることを決めていたのだそうだ。
「それだったら全部に行きたかったなぁ」
「最終的にそうなる。とにかく、試食だ」
どうやら定食屋もお好み焼き屋も甲乙つけがたいほどの美味しさだったようで、また今度、全員で来ようという話にはなっていたようだ。2人が店に入ると6時すぎだというのに結構な混み具合だった。2人が席に着くと同時に2組のカップルが入店し、これで店内は満席になった。まさに間一髪、ギリギリで間に合ったことに2人は微笑みあう。今日一日で随分近い距離につけたのではないかと思う春香だったが、それでもどこか気持ちが混ざり合っていない感じもしていた。焦ることはない、今日はまだ第一歩なのだから。そう思う春香をよそにメニューを開く明人はいつも通りの無表情だった。
*
人気の店だと思って早めに来たはいいが、中にほとんど人はいなかった。本屋で時間を潰した健司と苺がこのパスタ店に来たのが6時を少し回ったところだ。少し広めの店内にいるのは1組の家族連れと1組のカップルのみ。評判の割には人が少ないことが気になった健司だったが、時間が時間だけにまだ早いのだろうと自分に言い聞かせていた。さっそくメニューを見る苺を見つつ水を飲む。心を落ち着けるが、どうにも不安がよぎってしまう。もしかして店を間違えたのではないか、意外と味が悪いのではないかなどネガティブなことばかり考えてしまうのだ。そんな健司に苺がメニューを差し出した。
「決まったよ!健司君も選んでね?」
「あ、おおう、そうだね」
笑顔でメニューを受け取るとパスタとミニグラタンのセットをオーダーした。苺はパスタとミニドリアのセットだ。健司は水を飲みつつ食事をしている家族連れを見るが、別に不味そうにしている様子はない。カップルに至っては楽しく会話を弾ませながら料理を美味しそうに食べていた。どうやら味は大丈夫なようで、自分の考えすぎだと結論を出した。
「でもまさか、しーの乱入で驚いたねぇ」
苺の言葉にそっちを見れば、どことなく嬉しそうな顔をしていた。苺としては親友の茂美と短い時間だったとはいえ一緒に遊べたことが楽しかったのだろう。健司も笑みを返しつつそうだなと返事をする。
「しかし、あいつも1人で行動しないで無理やりにでも関口あたりを誘えばよかったのにな」
「そう言えば、中2の時にしーが言ってた。関口君は思春期で、自分を避けてるって」
その言葉に当時のことを思い出す。茂美の幼馴染である関口貴人とは中1の時しか同じクラスにならずに友達としてはあまりつるまなかったが、クラス内のいじめを解決した強者であることで注目はしていた。その意外な行動力に感心したものだ。
「けど、もうさすがにそういうのもないだろう?」
「うん。高校に入ったら、結構元通りだって言ってた」
「明人と苺ちゃんはそんな感じじゃなかったね?」
「そうだね、明人君はいつもあんな感じだしねぇ」
その言葉に笑う健司。だが、中2の際に自分から明人に告白して振られた過去があるだけに苺の笑顔は心からの笑顔ではなかった。
「美杉さんも可愛かったし、関口もそういう感じになってるのかねぇ」
肘をついた手をあごに乗せてそう言う健司に苦笑する。茂美の幼馴染、つまりは貴人の幼馴染でもある美杉優美はかなり内気で大人しい子だったが、苺に勝るとも劣らない美少女だった。そんな優美が貴人を好きでいることを知らない苺と健司は、優美とはあまり面識はなかった。
「やっぱ幼馴染だけにさ、好きになるもんなのかな?」
苺が明人を好きだと知っている健司にしてみれば、どこの幼馴染もそういうものなのかと思ったのだ。元々中学入学当初から明人や苺と仲良くなった健司は苺の明人への気持ちに早くから気づいていた。自分がまだ同じ陸上部の池谷愛を好いていたこともあって、それなりに相談に乗ったりもしていた。そんな中、愛が同じ部活の先輩を好きだと気づいてショックを受けた。にも関わらず、どこか冷めた感じもしていた。その理由はすぐに分かる。苺を好きになっていたのだ。明人のことで相談にのり、明人や苺、茂美を含めたメンバーで遊ぶうちにその純粋な苺に惹かれていった結果だった。苺の想いを知っているだけに、健司はそれを隠して今日まで接してきた。いつかは明人と苺は結ばれる、そう思っていたからだ。だが高校に入っても明人は相変わらずで苺への想いなどとっくに気づいているくせに知らない振りをしている。そんな態度も気に入らず、とうとう明人への不満と苺への想いが限界を突破し、この間のライバル宣言に繋がったのだ。
「幼馴染だからってみんながみんな、一緒だとは思わないよ。実際、しーは関口君を幼馴染としかみてないようだし。美杉さんは好きみたいだけど、関口君は2人をただの幼馴染だと思ってるみたい」
「そっか。まぁ、そうだな」
相槌を打った健司たちのところにパスタが運ばれてきた。ちなみに健司の注文したパスタはカルボナーラ、苺の注文したパスタは明太子だ。
「健司君ってさ、好きな人、本当にいないの?」
好きな人にそう聞かれることは辛いが、それも仕方がない。
「いるにはいるけど、まぁ、脈はないし・・・今は様子見、かな」
相手が苺自身だとは言わずにそう答える。苺は不思議そうな顔をしつつパスタを口へと運んだ。そうして口の中のパスタがなくなってから言葉を発する。
「健司君優しいし、イケメンだし、絶対OKすると思うんだけどなぁ」
不思議そうにそう言う苺に対し、絶対にOKされないだろうと心の中で愚痴をこぼす。
「その子には好きな人がいるからね」
「あー、そうなんだ?辛いところだね」
「そうなんだよねぇ」
自分のことだと気づかずに同情する苺に苦笑が漏れる。でもいつかはこの想いを告白したいと思う健司は苦笑を笑みに変えてパスタを食べた。
「じゃぁ、やっぱ一番乗りは木戸君か?」
「え?」
「カップル成立第1号」
「ああ・・・」
そう返事をしつつ、明人の言葉を思い出す。あいつには裏がある、そう言った明人の言葉を。確かに、あれだけ可愛い子、しかも性格も申し分ない子が自分を好きだと言っているにも関わらず、まずは友達からと保留にした。自分だったら考えられないその返事に明人の言葉もどこか納得できた。
「でもあいつ、なんで保留にしたかなぁ・・・明人があいつには裏があるとか言ってたけどさ」
苺にその心当たりなどないと思っていた。ただ単に話題としてそれを口にしただけだった。だが苺の反応は違った。明らかに動揺しているというか、何かを知っていますという感じだった。雰囲気などではない、あからさまな表情の変化に変な動作もある。苦笑いを返すその表情からしてもう『私はそれを知っています』と言っているようなものだ。
「心当たりでもあるの?」
その言葉にびくっと体を震わせる。嘘をつけない体質なのか、正直すぎるその反応に健司は苦笑した。その苺はどうするかを悩んでいた。京也が語った木戸無双流の話。紀子には思わず話してしまったが、健司にまで話すわけにはいかない。とりあえず既に破ってしまったが、約束は守りたい。
「んー・・・私もなんとなぁく、そんな気がしてたから」
そう言いながら誤魔化すようにドリアを食べた。そんな苺を見て嘘のつけない子だと思う健司もパスタを口に運ぶ。たまに目が合うと愛想笑いをしてくる苺が何かを知っていながらもそれを言うことを禁じている、そう取った健司はそれ以上の詮索を止めた。相手が春香ならば強引にでも聞きだしたのだが、そうではなく自分の好きな子だけに止めたのだ。
「そっか、何か分かったら教えてね」
「あ、うん、そうする」
ホッとした顔をした苺を見て健司もどこかホッとしていた。気持ちが開放された苺は食事に集中し、健司もそれに習う。他愛のない会話をしつつ、少しは距離を詰めらたかなと思う健司だったが実際は一歩も進んでいない事実に気づいてはいるのだった。
*
京也が美味しいと推したハンバーグの店はボリュームも満点で、味も満点だった。ほどよい柔らかさに溢れる肉汁。焼き具合に味加減も抜群で明人も春香も満足がいくものだった。
「凄いね、めちゃくちゃ美味しいよ」
「ああ、驚いた」
あの無表情の明人でさえ、驚いた顔、さらには本当に美味しそうな顔をしている。ポテトなども美味しく、皿の上に盛られているもの全てが美味しかった。
「んん~、最高!」
「またみんなで来ないとな」
「そうだね」
また2人で、と言われたかったがそれは望みすぎと思える。
「あのさ、またこうして2人で出かけても、いいかな?」
だからこそ、次のデートの約束もしておきたかった。いずれは2人で行こうと言われるためにも。そんな春香の顔を見る明人の表情はやはり無表情だ。どんな時でも大抵はこうなので、表情から感情を読み取ることはできない。春香はただ明人の返事をまった。
「別にかまわない」
その言葉に春香はにんまりと笑った。こうしていれば、いつかは明人の心を自分に向けることが出来るかもしれない。健司が首尾よく苺の気持ちをそちらに向けられれば万々歳だが、そこは期待しつつもあてにはしない。
「でもさ、こうして明人と私、健司と苺が出かけるなんて、なんかちょっとした変化だよね?」
勢いづいたわけではないが、この機会にこういう状況をどう思っているのかを聞いてみた。もちろん裏があるわけもなく、純粋に明人の気持ちが知りたかったのだ。明人は最後のポテトを口に入れ、それを噛み締めながら思案するような仕草をみせた。
「変化というわけでもないだろう」
「そうかな?今までだったらみんなで行動してたし」
「しないときもあったさ。ただ、それを分かれて行動しているだけだ」
「そうかなぁ・・・そうかも?」
「少なくとも、今回はそうだ」
「そっか・・・」
「これからそういうのも増えるかもしれんがな」
どこか納得していない春香にそう言うと水を飲む。そんな明人に困ったような膨れたような顔をする春香を見た明人はコップを置くとそのコップを見つめた。
「木戸がああだし、一枝もこのまま俺たちと一緒に行動するようになるかもしれん。だからこそ、3対3、ペアも出来やすい」
そう言われて納得した顔をしてみせる。確かに今までは5人、男3人女2人で、ペアを作れば誰かが余る。他にも女2人に男1人、男2人に女1人の組み合わせもあったが、どれもしっくりこない感じにはなっていた。そういうこともあって、今回、歩が京也を好いて合流したことは大きいと思える。
「事件のことがあるし、そういう風にペアでいたほうが安全だとも思えるからな」
そのことが一番なのだろう。真剣なまなざしで自分を見るその目に、春香も強く頷いた。女子生徒が連続して2人も行方不明になっている今、女子同士でも危ないと思える。たとえどういう組み合わせだろうが調査をしている自分たちが危険な目に遭う可能性もあり、男女ペアになることでその危険を回避することにも繋がるだろう。結局はそこへ行き着くのかと苦笑するが、自分を含めた女性の仲間を気遣ってくれていることは素直に嬉しく思う。
「気をつけないとね」
「ああ」
最終的に事件の話で終わったが、明人が自分と2人で出かけることを了承したことは大きな前進だ。それが嬉しい春香は上機嫌で残りを平らげるが、明人の表情は少し暗いように見えた。




