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電脳世界で青春を part4

すいません、久々の更新なのでちょっとあらすじを。


主人公・木崎(きざき)孝太(こうた)こと「コウ」は、ブレイン・ウォーカーを介して『スチューデンツ・オンライン』へログイン。

2年10組に仮配属となったコウは、その教室で「ソング」という女の子と出会い、校内を案内して貰う。

ひと通り案内して貰った後、教室に戻る階段を上がる途中で、下りてきた男3人組のうち中央にいた男にソングが話し掛けられーーーー

 

「あれぇ? ソングちゃんじゃ〜ん?」



 ソングに話し掛けた男はそう言いながら、躊躇いなく近付いてくる。話し方の割には真面目な学生の格好で、制服は崩さず着用し、眼鏡をかけている。


 しかし、ソングの表情からはとても「友達が話し掛けてきた」というフレンドリーで気楽な感情が見えない。むしろ「馴れ馴れしい」と思っているのではないかという感じがする。


 ただ、その「馴れ馴れしく」近付いてくるのは真ん中を歩いていた男だけで、その男の両サイドを歩いていた男2人は、流石にマナーを弁えているのか、ソングとコウの顔を見ることが出来るだけの位置で止まった。


 馴れ馴れしい男はソングの返事を待つことなく言葉を続ける。



「ねぇ、ソングちゃ〜ん。そろそろ、俺たちのクラスに来てくれてもいいんじゃな〜い?」


「な、何度言われようと答えは変わりません。お断りします……!」


「え〜! いいじゃ〜ん!! ソングちゃん可愛いし〜? ソングちゃんがクラスメイトになってくれたら、俺は毎日が楽しいんだけどな〜」


「私は、今のクラスが大好きなんです! だからあなたのクラスへは行けません!」


「ん〜。そこまで強く断られたらさ〜……。無理矢理にでも連れて行きたくなっちゃうよねぇ!」


「……っ!」



 なかなか誘いに乗ろうとしないソングの頑固さに痺れを切らしたのか、無理矢理引っ張ってでも連れて行こうと右手でソングの右腕を強く掴んだ。


 それに対し、後ろにいる男2人は注意するのではなく、その様子を見てニヤニヤしていた。


 もちろんソングは抵抗する。



「は、放してください……!」


「大人しく俺たちに付いて来てくれるってんなら、放してあげてもいいんだけどな〜。……あのおっかねぇクラス長もいないことだし、こんなチャンス逃すわけにはいかないんだよね」



 ソングと男のやりとりを、少し離れたところで待機している2人はニヤニヤとにやけて見ているだけだが、ソングの隣にいたコウは黙って見ているわけにはいかず、ソングの腕を掴んだ男の腕を掴む。


 すると、男はソングの腕を掴んだまま引っ張ることをやめ、腕を掴んできたコウを睨みつけた。



「あ?」


「彼女は嫌がっています。無理矢理というのは良くないと思いますが?」


「はぁ? ってか、あんた誰?」


「俺はいわゆる『新入生』ってやつですよ。たまたま自動的に彼女の所属するクラスに配属となったので、案内をしてもらっていたところなんですが……」


「あっそ? 新入生なら新入生らしく出しゃばってくんなよ!」



 男がソングの腕を放したのでコウも男の腕を放すと、男は「邪魔者」を排除する為に、ソングの腕を掴んでいた右手でコウの胸を強く押した。


 この世界なら、階段で突き落とされても痛みはないが「突き落とされる」という恐怖感は感じてしまう。


 幸い、コウは階段を2段しか上っていないので、落ちても精々尻餅をつくくらいだろう。


 だが、大人しく突き落とされるコウではなかった。



「おっと、危ない」



 押してきた男の右腕を即座に再び掴み、強く引っ張った。


 右から左へ受け流す要領で引っ張っているので、男はコウの左側を通過して階段から落下。受け身を取れずに、落下した先で顔面強打した。


 コウもよろけたが、落下するには至らない。


 今まで傍観に徹していた男2人が急いで階段を駆け降り、顔面強打した男に「大丈夫か!?」と声を掛けているその隙をコウは逃さなかった。



「今だ、階段を一気に上って行きますよ」


「は、はい」



 コウとソングは男3人を無視して、階段を駆け上がった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 階段を駆け上がってから口を閉ざしていた2人だが、教室の付近まで来たことに一先ず安心したコウはソングに疑問をぶつけた。



「ソングさん。彼らは一体何なんです?」


「3年生所属の方でクラスはわからないのですが……」



 教室に続く道を歩きながら、ソングは暗い顔でコウの疑問に答えた。



 ソングが『スチューデンツ・オンライン』を始め、2年10組の正式なメンバーになって1ヶ月ほど経過したある日の事だった。


 最初こそクラス長や他のクラスメイトと一緒に校内を歩いていたが、各教室の場所がわかるようになってからは1人で行動することが増え、音楽の授業を終えてから教室に戻ろうと廊下を歩いていたら、すれ違いざまに声を掛けて来た男がいた。


 それが、先程階段で話し掛けて来た男。名をカートスという。


 カートスはソングに「一目惚れ」だと言って、その日を境にソングへ迫るようになる。


 一見、真面目で危害を加えてこなさそうなカートスだが、ソングは直感的に「関わらない方がいい」と思った。カートスのしつこさに恐怖を抱いたソングはクラス長に相談を持ちかけると、クラス長はしばらくソングと行動を共にし、話し掛けてきたカートスを撃退。それ以降、ソングがクラス長やクラスメイトと行動するときはすれ違っても話し掛けてこなかった。


 それが今日、仮にもクラスメイトであるコウと行動していたにも関わらず話し掛けてきた。何故、他のクラスメイトと行動している時には話し掛けてこないのに、コウと行動した今日は話し掛けてきたのかはわからない。



「なるほど。つまり、ソングさんにとって彼はしつこい迷惑男だってわけですか」


「そうなんです。話し掛けられたのは今日が久々なのですが、やっぱりちょっと怖いです……」


「…………」



 話の最中、既に教室の目の前まで来ていたのだが、話が終わるまで教室へは入らなかったのでひと段落したところでコウが教室の戸を開けて中へ入っていくと、後に続いてソングも入り、戸を閉めた。


 2人が教室内を見ると、そこにはまた1人、女子がいた。


 ツヤのある長い黒髪を後ろで縛っており、凛々しい顔立ちをした彼女の左腕には『クラス長』と書かれた腕章が付けられている。


 壁にもたれ、腕を組んで外の様子を見ていた彼女は、こちらを見る2つの視線に気付き、コウとソングの方を見た。


 1番反応が速かったのはソングだ。



「あ、レイ!! こんにちはー!」


「ん? ソングか、こんにちは。そして、隣にいる君は……初めまして、かな?」



 レイと呼ばれたクラス長はそう言いながら歩き出し2人の目の前まで歩み寄ると、右手を自身の腰に当て、足は肩幅で立ち止まった。


 その姿はとても「お淑やか」には程遠いが、下品ではない。どちらかというと「出来る女」をイメージさせる。


 職場的に女性と縁が無いコウだが「もしも上司が女性ならこういう人がいいな」と思いつつ、自己紹介を始めた。



「初めまして。コウといいます。スチューデンツ・オンラインは今日が初めてでして……」


「成る程、新入生というわけか! 私はレイ。2年10組のクラス長を務めている。よろしく」



 レイが腰に当てていた右手を差し出し握手を求めてきたので、コウは素直に応えた。


 その様子を微笑ましく見ていたソングだが、クラス長と新入生が揃っているという、クラスメイトを増やす絶好の機会を逃すつもりはなく、レイの方を向いて次なる話題へと切り替えた。



「レイ。彼は新入生で、ここへ仮配属となったの。だから、彼にエンブレム付きの制服を渡してあげるべきだと思うんだけど……」


「ん、そうだな。だが……」



 レイは右手を顎に当て「考えるポーズ」を5秒ほどすると、余裕のある笑みから真剣な顔へと表情を変え、コウを真っ直ぐに見てクラス長としての意見を述べた。



「コウ。恐らくは君も知っているだろうが、このクラスは人が少ない。だから新しいクラスメイトは喉から手が出るほど欲しいところだ。

 しかし、エンブレム付きの制服を身に付ければ所属クラスが確定する。いかに1ヶ月の無料期間であろうとも、クラスが確定してしまえば、変更は有料となるし、次の配属先はランダムだ。

 クラスが確定しないうちは、何度でも仮配属をやり直せるからよく考えてみるといい」


「えっ。でもレイ、それじゃあ……」


「ソング。確かにクラスメイトが増える絶好の機会だと私も思う。だが現実、このクラスに所属したものはいいものの馴染めず、お金を払ってまで他のクラスに変える生徒(プレイヤー)が大半だっただろう? 私はもうそんなことが無いよう、仮配属の生徒(プレイヤー)にはしっかり考えて貰いたいと思っているんだよ。

 ……他ならぬ、皆んなが楽しめる為に、ね」


「うん、わかった……」



 しょげて下を向くソングの頭を、身長が割と高めに設定されているレイの手が優しく撫でた。


 レイの表情は真剣な顔から、優しく包容力のある微笑みと変わっている。



「わかってくれて何よりだ。さて、そんなところでコウ。何か質問はあるかな?」


「クラスに関してで言えば今のところありませんが……」


「うん? 他の事でも構わないぞ。遠慮せず何でも聞くといい」


「ではお言葉に甘えて。先程、ソングさんが校内を案内してくれたのですが、教室へ戻る途中に3人組の男と少し揉めまして……」


「……詳しく」



 コウは、再び真剣な表情に変わったレイにカートスと傍観に徹していた名前の知らない2人の話を始めた。


 その間、ソングの表情が暗くなったのが、レイはもちろんコウにもわかったが、構わず話を続けた。



「成る程。カートスめ、相変わらずしつこい奴だな」


「そういえば、彼はソングさんを自分のクラスに引き込もうとしていましたが、クラス変更はランダムなんですよね?」


「そうだ。だが、そもそもクラスの配属にそこまで拘る必要は無いんだよ。カートスはソングの配属を変えないまま、無理矢理にでも自身のクラスへ連れて行き、一緒にこの学生生活を楽しもうと企んでいるんだろう。……もっとも、奴は自分勝手なのでソングの気持ちを考えていないだろうがな」


「俺としては生徒(プレイヤー)同士のトラブルに自ら首を突っ込みたいわけではないのですが、だからと言って放置していい案件だとは思っていません。何か対策みたいなのを立てる必要があると思いますが?」


「そうだな。他のクラスメイトとはリアルの連絡先も交換しているので、この件について共有しておこう。この教室は入室制限を掛けてあるので、カートスの奴が入ってくることは無いので安心して欲しい。それからソング。教室外に出るときは、私かウーナ。アユムと一緒に行動してくれ。ウェッキーは頼りないから駄目だぞ」


「わかった……!」


「改めて奴を撃退する必要がありそうだな。私の方でプラスαを考えておくが、それまではそれで頼む。……新入早々に嫌な話ですまないな、コウ」


「あ、いや、俺は別に……」



 人数が少ないとはいえ、流石はクラス長といったところか。


 クラスメイトの問題を我が事のように考え、仮配属とはいえ巻き込んでしまったコウに頭を下げている。



「無関係にも関わらず、私のクラスメイトを助けてくれてありがとう。君が優しく度胸のある男で良かったよ。だからこそ、ソングは君と仲良く出来たのかもしれないな」


「俺は本当に何も……。カートスの件、無事解決できるといいですね」


「ああ、そうだな……」



 コウの言葉には謙遜が混ざっていたが、どちらかというと後半の「他人事」な発言の方が目立っただろう。


 その「他人事」な言葉にソングは「ムッ」とした顔をしていたが、むしろレイは「それでいい」と割り切っていた。


 冷たいかもしれない。薄情かもしれない。


 だが、今日たまたま巻き込まれたとはいえ、コウはまだ仮配属であって、2年10組の正式なメンバーではない。


 だから本当にソングの一件は「他人事」なのだ。


 しかし、神は、世界は、ネットは、スチューデンツ・オンラインは、コウを「部外者」として見ていなかった。





前書きにも記した通り、久々の更新となりましたことお許しください!


しかも、最後に更新したのは11月30日。去年ですよ。


我ながら「どんだけ放置してたんだよ……」って感じです。そして、次回の更新がいつになるかも残念ながら、また不明です。


今回は4日間のゴールデンウィークがあったので、書く余裕がありましたが、ここ最近は仕事の方が忙しくて「隣の転校生は重度の中二病患者でした。」で手一杯となってしまっているのが現状ですので、また気長に待ってくださると嬉しいです。


ところで、この作品に出てくるハードウェア「ブレイン・ウォーカー」というのは、私が中学生の頃、徒歩1時間の通学距離を歩きながら考えた「過去改変」がもとになっています。


「過去を変えるにはどうしたらいいか?」という問いに対し、一番ポピュラーな答えは「過去に戻ってやり直す・変える」だと思います。

ですが、その為にはタイムマシンを作らなくてはいけません。生憎、私にはタイムマシンを作る方法が思いつかないので「過去を変える」という点に目を向けました。


それが「人の記憶」というのをデータとしてバックアップし、データベースを作り上げて、1つの出来事に関わった人全員の記憶を改竄後に塗り替える……という方法です。

タイムマシンで過去に戻ることが難しくとも、将来的に人の記憶をスキャンし、データ化することは可能なのではないか? という、スキャン方法は他人任せのひどい発想でした。


それに、記憶を改竄して脳に定着させるのは、脳に負荷が掛かるだろうということを考えれば、まず駄目でしょうし、仮にその方法で過去を改竄出来たとしても、死者が蘇ることは無いので本当の意味では変えられません。


そして過去を変えた時「幸せだった者が一転して不幸になる」ということも考えられます。結局、結論を言えば、「過去を変えよう」という考え方自体、やめた方がいいのだと感じました。


……とまあ、それが数年経ってこういった形になった。というお話でした。

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