電脳世界で青春を part1
なんかふと思い付いたので書いてみました。
西暦2034年というと、最初に書いた「もし君が、本当にそれを望むのなら」と同じですが、そこはパラレルワールド? 的なまったく別次元の世界だと思って楽しんでいただけたら嬉しいです。
こう、日常系も書いてみたいと思っていたので、出来れば「隣の転校生(略)」と並行して更新していきたい……とは思っていますが、もしかすると他の作品とローテーションで(隣の転校生は毎週)更新していくスタイルになるかもしれません。
2034年。日本人は相変わらず社会人になった途端、仕事に明け暮れている。
労働環境は、ある程度大きな会社となると労働組合の力が大きく作用して良い方向へと向かっているが、そうでない企業は「ブラック」のままだ。
しかしそれでも、日本人は「発展」に強く、電子機器や娯楽などの技術開発はどんどん進んでいた。
特に発展したと言えるのが「ネット環境」
つい10年前まではパソコンなどの端末を使った画面越しでインターネットを閲覧するのが一般的だったが、ここ最近では「ブレイン・ウォーカー」という新しいハードを使って、インターネット内を歩き渡る時代となった。
「ブレイン・ウォーカー」とは、ヘッドマウント型に作られたマシンのことで、初回の装着時に装着者の脳を、機械から出される質問を装着者が回答することで発生する脳波をスキャン・分析をし、ブレイン・ウォーカー内にスキャン・分析した脳(思考や性格)を限定的にコピーしたものを保存し、インターネットで得たり、発信する情報を機械が処理したものを更にブレイン・ウォーカー内の脳が機械にアシストを受けながら、装着者に合わせた情報量に処理することで、安全に情報をやり取りできるようにする為の媒体としてアカウント形式で使えるというものだ。
それと同時に、自身の脳とブレイン・ウォーカー内にある脳をリンクさせ、視覚・聴覚・味覚の感覚と思考・記憶・情報を共有し操作することで、まるで自分がインターネット内を歩き渡ることができる。
実際はあくまで、自身の脳とブレイン・ウォーカー内の脳が情報をやり取りしているだけなのだが、長くやっている人ほど自分が現実とネット上を行き来できると錯覚してしまうほどなのだとか。
ちなみに、触覚と嗅覚をシンクロさせない理由は安全対策であり、現実の体で感じた触覚は自身の脳に直接情報が行き渡る為、まるで眠りから覚めるかのようにブレイン・ウォーカーから現実に戻ることができる。
また、現実で感じた嗅覚は、予めブレイン・ウォーカー内に設定された「有害物質の臭い」を現実の脳が感知した時のみ、強制ログアウトが適用されるようになっている。
今や「オール電化」が主流になっているとはいえ、まだガスを使う人はいるし、コンセントから出火した火災も増えてきてしまっているからである。
ブレイン・ウォーカーにはまだまだ沢山の可能性を秘めているとされているが、現時点では有線ネット環境でしか使えず、外でインターネットを閲覧したい時には、携帯端末でなければならないという課題もあるのだ。
しかし、ブレイン・ウォーカーはインターネットの閲覧だけに留まらず、ネットゲームに使うという使われ方もし始めた。
限定的にとはいえ、人の脳をコピー保存するというのはやはり大容量でとてもゲームなどのアプリケーションは保存できないが、「インターネットを歩くことができる」という特徴を生かして、ブラウザゲームをリアルに楽しめるようになったのだ。
色んなゲームが生まれている最中、特に社会人を中心として人気が出ているのが「スチューデンツ・オンライン」
社会人になれば誰もが思う「学生時代に戻りたい」という願望をブレイン・ウォーカーで実現したゲームだ。
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西暦2034年 10月20日
時刻は既に午後8時を過ぎていた。
どうにか残業を終わらせ、家へと向かっている。
やりたいことは特になく、仕事で言えば「やらなくてはならないこと」がまだまだ山積みであることを考えると、生きる気力さえ無くなってくる。
携帯端末と接続されたワイヤレスイヤホンを耳につけ、徒歩で帰宅すること20分。とくに意味はないが、今日は気分的に遠回りしていた為、本来家に着いているであろう時間になっても外を歩いていた。
そこで本当に偶然。普段なら見向きもしない大型家電製品屋が目に入ったので、何を買うでもなく、店の中に入っていく。
中にはテレビや冷蔵庫、洗濯機や照明などといった家電製品が所狭しと並んでいた。
その中で最も1番大きく出ていたのは、最近話題のマシン「ブレイン・ウォーカー」だ。
出たばかりはとても手を出せる値段では無かったが、一般的になってから割と手の届く値段になっており、更に割引価格だった為迷わず購入してしまった。
その日、仕事帰りに買っていったブレイン・ウォーカーで、木崎 孝太は初めてインターネットを歩くことになる。
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夕飯を食べ、お風呂に出てから歯磨きをし、いつでも眠れる準備を整えた孝太は、さっそくヘッドマウント型の機械を頭に被せる。
「ブレイン・ウォーカー、パワーオン。リンク開始!」
音声認識で起動をした瞬間、急に眠気に襲われた。……と思ったらすぐに意識が戻る。
目の前は真っ暗。何も無い空間に1人取り残された感覚に陥り、不安を覚える。
すると突然、その空間に声が響いた。
「ブレイン・ウォーカーへようこそ。これより、初期設定を開始します」
「うわっ!? びっくりしたな……」
「まずはあなたの個人情報を記録します。今後、あなた以外の人が使えなくする為の大切な鍵となる事柄ですので、正しく回答をお願いします」
「あ……はい」
「それでは始めます。お名前は?」
「木崎孝太」
「生年月日は?」
「2010年 6月30日」
「血液型は?」
「O型」
「職業は?」
「会社員」
「住所については、ブレイン・ウォーカーがGPS機能から取得した場所で設定をいたしますが、間違いはございませんか?」
「あ、大丈夫です」
「最後に、あなたがオンライン上で使うニックネームを教えて下さい。変更は後から設定でも変えられますが、フレンドができた際には混乱させてしまう可能性も考えられますので、予めご連絡をしてから変更をして下さい」
「あ、はい。それじゃあ……『コウ』で」
「『コウ』でよろしいですか?」
「はい」
「わかりました。それではアカウントを作成する手続きが完了いたしましたので、これよりコウ様の脳を限定的な複製保存をさせていただきます。これから更に細かい質問をいたしますので、気を楽にしてお答えください」
「あ、はい」
「それでは……」
自分の脳を複製保存するのにどれくらい時間がかかったのだろう。
何を質問されてどう回答したのかを、どんなに頑張ってもなぜか思い出せなかった。
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「あれ……?」
気付いた時、いた場所はまるで自室のようだった。
いや、正確には自室とはかなり違っており、自分の理想的過ぎてふいに自室だと思い込んでしまった。
実際の自室は、長年蓄積された物が多くて居心地は良くとも理想的ではなかったが、この部屋は、至ってシンプルに片付いており、机や椅子。ベッドやクローゼット等の必要最低限なものしか無かった。
ちなみに色は白。清潔感に溢れる部屋だ。……断じて潔癖ではない。
直感的に悟った、ここが毎回スタート地点として設定された「ホーム」なのだと。
つまり、部屋の出入りに見える扉の向こうにはまだ見ぬインターネットの世界が待っているわけだ。
普通に考えれば、膨大な情報量を前にして脳が処理できずに壊れるのが関の山だろう。
しかし、扉を開けた先にはSFもので良く見る「テレポーター」のようなものがあっただけだった。
その上に恐る恐る立つと、脳内に声が響く。
『検索ワードは?』
「エロ画像」
『検索結果が見つかりました。転送を開始します。』
「のわっ!?」
カウントもなく、遠慮なく飛ばされた。
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「いやぁ、すごいなぁ! まさかブレイン・ウォーカーがこんなにすごかったとはなぁ……」
エロ画像のサイトを歩き回った後、動画投稿サイトへ行った。
エロ画像のサイトは、検索結果の候補がまるで廊下から部屋へと入っていくようなシステムになっており、画像自体はまるで美術館で絵を見るかのようになっていた。
個人差にもよるかもしれないが、コウにとってはなかなかに興奮したのだ。
一方、動画投稿サイトはまるで劇場のようになっており、普通の再生なら貸切状態の小さな映画館のようになっていて、生放送ともなると、同じく見ている人が同じ観客席で視聴している状態でコメントと言う名の発言や、普通に笑い声も聞こえていたので、すごく新鮮に感じた。
とりあえず思いついたことをしたコウは、現在ホームに戻っていた。
「まだ何かやり残したことなかったかな?」
そう考えた時、パッと思いつくものはなかった上、時刻はすでに0時を過ぎていたので、今日のところは寝ることにした。
「えーっと……ブレイン・ウォーカー、リンク終了。パワーオフ」
ヘッドマウント型の装置をベットの近くに設置された机の上に置き、同時にボタン1つで照明を夕焼けモードにすると、充電器にさしたままの携帯端末にアラームをセットした直後、そのまますぐ眠りに落ちた。
本当はログインするところまで書きたかったのですが、続きは今週中に書き上げたいと思います。
また、投稿できる日が決まり次第報告させていただきますので、お楽しみに!