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ドイル王国VS死者兵団  作者: 赤石火飛
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国境東部方面62番小隊隊員エアロ・アンペール測量長

ノベリスト暦1305年8月10日、ルブラン中央合衆国ダザイ州で薬剤師の家に生まれる。


1310年4月7日、州立初等学校に入学。

1315年3月7日、州立初等学校を卒業。

同年4月7日、ドイル王国国立中等学校へ留学。ノック・メネラウス、チェスター・スミス、フレイヤ・シューマン、オーリンズ・シュヴァルツと出会う。

1317年9月27日、両親が流行病で死亡。奨学金を借りて留学を続ける。

1320年3月7日、学年2位で国立中等学校を卒業。

同年4月7日、国立高等学校へ入学。

1322年8月11日、ドイル王国へ帰化。

1323年3月7日、国立高等学校を卒業。

同年4月7日、国立大学軍事学部へ入学。

1325年12月21日、奨学金の早期返済を完了する。

1327年3月7日、国立大学軍事学部を卒業。

同年4月10日、ドイル王国国軍へ入隊。上記の4人と小隊を組み任務をこなす。

1328年6月19日、ショウ煉国と戦争を開戦。

1329年3月25日、国境の平原で初陣を飾る。

1330年8月11日、同平原にて戦死する。

1330年11月3日、戦争終結。

ここは?


あの世ではない?



「お前、名前は?」


知らない声が聞こえる。


「俺はエアロ・アンペールだ。お前は?俺は死んだ筈なのに何で現世にいる?」


目を開けて答えると目の前のローブを着た男がいた。

目に隈があり、髪はボサボサでどこか不健康そうだ。


「俺はジン。お前をあの世から蘇らせたネクロマンサーだ!10年ぐらい前の戦争で死んだ奴らを生き返らせていたんだがこの辺にはドイル王国の兵士がお前しかいない。大隊長かなんかだったのか?」


なるほど、こいつはネクロマンサーらしく死者を操ろうとしているわけか。てか、俺が死んでから10年も経ってんのか。あいつら元気かな?


「期待外れで悪いが違う。末端小隊の平隊員だ。

撤退の際に殿を務めて頑張ったから俺しかドイル兵士がいないんだ。」


「なんだ、つまらん。」


失礼な奴だ。


「ところで、俺たちを蘇らせて何と戦うつもりだ?」


正直、周りにいるショウ煉国兵士の視線が痛い。まあ、こいつらを殺したのは俺だから仕方がないか。


「ああ、それはまた後で教えるよ。しばらく、この中にいとけ。」


は?


俺は訳もわからずにネクロマンサーの空間魔法に取り込まれた。



………



(ドイル王国へ攻撃しろ。)



空間魔法から吐き出されたと思ったら目に前に大量のドイル王国の兵士がいた。

そして、ネクロマンサーの指示が頭の中で最優先事項として認識される。

なるほど、戦争か。

正直、自国の兵士たちと戦いたくはないが抵抗しようとしても命令で体が勝手に動く。ただ、生き返らされた他国の兵士たちは自発的に動いてるように見える。自分が死んだ時は戦争で敵国同士だったのだから恨みはあっても恩はないか。


ふむ。


「あー、あー。」



口は自由らしいな。

命令の発信場所は…大体しかわからないな。ジャミングして見つからないようにしてるな。


王国陣営とぶつかり腰に挿してあった剣を振り下ろす。


「クソッ!!アンタ、ドイル王国の兵士かよ!!やりにくいぜ!!」


キイィィン!!


俺の剣を受け止めたのはまだ若い兵士だった。


「見ない顔だ。10年の間に入った兵士か?」


「3年前入隊した!って、話せんのか!?」


「何を驚いている?話すことぐらい出来るだろ?」


「いや、他のドイル王国の兵士は話せなかったからな。アンタ、結構強かったりすんのか!!?」


「エアロ・アンペールだ。平兵士だった。」


「の割には一撃が重いッ!!」


はて?

小隊メンバーの平均より少し下だったんだが?


「エアロさん!!小隊メンバーの名前わかるか!?」


「ノック・メネラウス、チェスター・スミス、フレイヤ・シューマン、オーリンズ・シュヴァルツだ。」


「その人たち軍のトップばっかだからぁッ!?!?」


あ、あいつら生き残って出世したんだ。


「そうだ兵士君、ファーブル火山に俺たちを操るネクロマンサーがいるぞ。」


さっさと要件を済ましとかないとあのネクロマンサーが気付くからな。


「!!、何でわかるんだ!?」


「命令の発信場所を逆探知しただけだ。早く本部へ伝えろ。」


バキイィィン!!


「え?うわあぁぁぁぁぁあああ!?!!?」

兵士君を思いっきり軍の後方へ吹き飛ばす。ついでに剣が折れてしまったが多めに見てもらおう。



さて、早く俺を解放してくれよ?




………



ん?



兵士君を吹き飛ばした翌日のお昼。

今日もドイル王国兵士と戦っているとネクロマンサーとの繋がりが薄れていくのを感じた。


「やったのか。」


死者なせいか身体的な疲れを感じなかったが精神的には自国の兵士と戦うので疲労が激しかった。


ネクロマンサーの力が途切れて命令が無くなったので俺は自分の意思で体を止める。

体が光とともに消えていこうとしている。


戦っていた王国兵士たちも立ち止まり俺を眺めている。



だがしかし、



一瞬だった。




ネクロマンサーとの繋がりが一瞬だけ今までで最も強くなり命令が下った。



(死者兵士のあの世との繋がりを封印しドイル王国へ全力をもって攻撃しろ。)



「は?」



俺の口から気の抜けた声が漏れた瞬間、俺の手は一拍手をしていた。


これは!?


「命令解除封印。座標確認。状態固定封印。


しまった!?」


測量と封印魔導のスキル!!


急いで座標確認するとさっきまで光に成りかけていた死者たちが元に戻っていた。



「な、なんだ?

アンタ、何したんだ?」


いきなり元の状態に戻った俺に王国兵士が恐る恐る聞いてくる。


「やられた。さっきネクロマンサーから最後の命令が入った。スキルを最大限に使って戦争を続けろだってよ。」


「スキルを最大限に?」


「俺のスキルにある封印魔導はありとあらゆるものを封印出来る。物体はもちろん繋がり、法則、意識などその制限は俺にもわからねぇ。


今やったことは最後の命令の解除を封印してその後、俺たち死者とあの世との繋がりを封印した。」


「なるほどな。今までは手加減してたってことか。」


「振り出しに戻ったどころかより厄介になったな。」


王国兵士の中から数人が出てきて声を出した。この声はまさか?


「久しぶりだな。エアロ。」


「ノックか…。」


「俺たちもいるぞ。」


「チェスター、オーリンズ、フレイヤ。」


先頭に並んだのは俺のかつての小隊メンバーだった。その周りにも共に国軍に入隊した時の同期たちがいた。


「止める方法はわかるの?」


フレイヤが聞いてきた。真面目に聞いてくるところ悪いが学生時代からチェスターにゾッコンだったその後が気になる。


「ああ、わかる。

俺を身動き出来ないようにして第一封印である命令解除封印を解除して最速で浄化すれば良い。


この時に俺が身動き出来ると折角解除した封印が浄化されるよりも速くまた封じられる。


ただし、今の俺は生前よりも全力で抵抗するようになっている!!」


頭の中で瞬時に視界内の王国戦力を確認、そして座標魔導を発動して一気に飛ぶ。


「後ろだ!!オーリンズ!!」


「ッ!?」


移動先はオーリンズの背後。

オーリンズは咄嗟にしゃがみ、後ろを見ずに蹴りを放つ。


俺はそれを受けて吹き飛んだ。


そこに大量の矢が打ち込まれたが死なないので復活。


「これは?」


「お前は見たことないだろ?エアロ。」


弓を構えていたのは少し耳の長い男。


「シーザーか?」


大学時代の同期だった天文バカがいた。確か卒業後は軍ではなく冒険者になったと聞いたが、助っ人か?


「そうだ。もう一度だ!?」


また、飛んで今度はちゃんとシーザーに奇襲した。上手くいったみたいでシーザーに拳が入った。


なるほど、危険と思った奴から攻撃していくのか。


2つの強烈な殺気を感じたのですぐに離脱して距離が取る。


さっきまでいた場所にいきなりクレーターが出来て、オレンジ色の斬撃が飛んできた。


「チェスターの圧力魔導とノックの闘気乗せの斬撃か。」


「これでも魔導長の称号持ってるからな。」


「ボクも今では元帥ですから。」


出世しすぎじゃね?

モテんだろうなぁー。


「しかし、これはなかなかキツそうですね?」


「そう悲観するな。オーリンズ。


…お前は今の役職は?フレイヤも。」


「え?中将ですけど。」


「私も中将。」


みんな出世しすぎじゃね?



「なんか、命令抜きにしても手加減できそうにないわ。」


「何でそうなるのよ!」


投槍しながら文句を言うフレイヤの槍を左に避けると避けた先に横からの圧力を感じる。

座標魔導で飛ぶとノックが剣に闘気を乗せて切りかかってくる。

流石に俺の腕では剣でも受けれないし生身で受けると身動きが取れなくなるのでノックの剣の上に手を着けるように宙返りして手が触れた瞬間、闘気を封印する。


「ゲッ!?そんなことも出来たの!?」


「生前はする必要がなかっただけだ。」


ノックに座標魔導を発動さs


「では、私も参戦しましょう。」


丁寧な品のある男の声が聞こえると同時に背後から衝撃を受けた。

気配はなかった筈!?


飛ばされる前にノックに少し私怨を含んだ蹴りを入れて振り返るとそこにはサングラスを掛けた生気のない男女。


こいつらじゃないな。てか、こいつら人間じゃないし。

男女の後ろに伸びるアレは確か…。


「ジャックか?」


「はい、お久しぶりです。エアロ様。」


男女の間に現れたフォーマルスーツにサングラスの山羊獣人。


「それが1人で3人分の働きが出来る操糸術か。…糸が途中で切れてるように見えるんだが本当に操ってんのか?」


「もちろんです。」


測量スキルでも途中から糸が認識出来ねぇんだけど。俺の測量スキルLv8で結構上なんだけど。


「よそ見は禁物だぞ?エアロ。


天上より穿て、衛生軌道砲撃(サテライトキャノン)!!」


ジャックと話しているとシーザーの声が聞こえて俺は光に照らされた。



コレは終幕か?






いや、まだだな。



「スキル封印!」



パシュゥゥゥゥゥ


空気が抜けるような音と共にシーザーの攻撃が消える。

成功か。


「しまったな。ノックにやったのと同じ封印か?」


「そうだ。さて、どうする?」


周りの王国兵士たちは不死身の死者兵士の相手に忙しくて増援は期待できないぞ?早く俺を止めろよ?


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