病み患者の生き方。
中学2年の美琴はまだ幼い歳にしてリスカをしていた。彼女の家は家庭内分裂が起こっており姉は高校生ながら飲酒・喫煙。母と祖父は毎日のように喧嘩。美琴はいつも1人だった。学校へ行ってもいつも合わせてばかりそんな人生をどう歩んで行くのだろうか。
なぜ人はこうも群がるのだろう。なぜ、こうも大きな声で喋るのだろう。そしてなぜ私はそれに合わせて笑顔を向けているのだろう…?
カーテンの隙間から光が差し込んでいる。今日も外は明るい。最近はずっとこうだ。無駄に天気がいいのだ。そこまで嫌いではないのだが…。重い足どりでリビングにむかう。テーブルの上には何も置かれていない。ここ数日私は朝ごはんというものを食べてはいない。私の母は私が小2の頃に離婚してして今の家族構成は、祖父・祖母・母・姉・私の5人家族である。そしてその母が再婚したいと言っているのだ。それは突然のことだった。いつものように夕飯を食べていると突然母がポツリと
「私再婚したいんだ。」
と、言ったのだ。その一言でその場が一瞬にして凍りついた。そして火種がついたように祖父が怒りだしたのだ。
「いきなり何を言い出すんだ!どういうつもりだ!!!」
祖父の怒鳴り声が響く。そこから母と祖父の関係は最悪に。今では口も聞いていない。それからというものご飯を食べる時は自炊をしなければならなきゃいけない。そんな生活を続けているのだ。だから作るのがめんどくさくて朝は食べていない。仕方なく部屋に戻り制服に着替え始める。ふいに左手首に目線を落とす。そこには、おびただしい数の傷。中には肉が見えてしまっている深い傷もある。この傷は自分でつけたものだ。今の家庭環境に耐えきれず自傷行為に及んだのだ。
「だいぶ…増えたなぁ…」
消えそうな声で呟くとその声は一瞬にして違う音にかき消された。姉が起きたのだろう。ドアのバタンという音が重く響く。姉は今年から高校生だ。高校生になってすぐの頃に家がそうなってしまい今ではグレまくりである。髪も染め、私が知る限りたばこもしている。私のリスカが姉にとってはたばこなのであろう。めんどくさいので関わらないが。支度も終わり家を出ようとした時怒鳴り声が聞こえてきた。
(また、喧嘩か…)
いい加減慣れてきたなと思い始めるくらい最近は頻繁に喧嘩が起こっている。
「ま、どうでもいいか。学校行こ。」
そう呟き玄関のドアを閉めた。
浅い傷、深い傷、様々な傷がある。その日の心情によってそれは変わる。彼女にとってはリストカットはストレスの解消法でしかない。決して死にたいわけではないのだ。