緑に戻る夢の世界
『緑に戻る夢の世界』
ああ、なんて心地いいんだろう。
中学生の僕は今、とても爽やかな気分だ。
なんてたって、僕の理想の世界が作れるからだ。
家にいるときは母が「勉強しろ」と言って、うるさいし、
授業も生徒が騒いでいて、集中できない。
そんな現実に苦しめられていた。
だが、今の僕は違う。
青い空。白い雲。
太陽とたくさんの木々。そして、空中を優雅に飛ぶ蝶々。
ところどころには綺麗な花が咲いていた。
その中に寝そべっている僕がいる。
穏やかな表情だ。
まるで夢の世界にいるようだった。
僕が作り上げた世界では好きなものが何でも手に入る。
食べ物でも動物でも大丈夫だ。
その気になれば、東京スカイツリーだって出せるぞ。
それほど、僕の世界はクオリティーが高い。
だから、いつまでもこの夢の世界が続いてほしかった。
しかし、現実では無理だった。
何度作り上げても無駄に終わる。
そして、またこの世界の邪魔をする、あの人が来た。
「何回描けば気が済むのかしら。もうコレで五回目よ」
そして、僕が作り上げた夢の世界は黒板消しにより全て消されてしまったのだ。
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『赤と青の世界』
緑のある野原。その先には森がある。
天気は晴れだ。
突然、森の奥から足音が聞こえた。
人だろうか?
足音はだんだん大きくなっていく。
これは人じゃない。
まさか……。
現れたのは恐竜だ!こちらに向かってくる!
ぼくは動けない状況なのに……。
恐竜が出てきたら倒してやる、と意気込んでいた自称恐竜ハンターのあの男は逃げてしまった。
なんてことだ。
しかも、あの恐竜がものすごい勢いで走ってくる。
絶体絶命のピンチだ。
そして、恐竜は僕の目の前まで来た。
大きな口を開けて。
ぼくは急にこわくなり、体がぶるっと震えた。
そして、思わず掛けていたメガネを落としてしまった!
その瞬間、目の前にいた恐竜は綺麗さっぱり消えてしまった。
ぼくは思った。
やっぱり映画で『3D』は迫力あるな~。
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『白の世界』
高校生のわたしは今、戦っている。
目の前にある、白い世界に。
わたしは迷っていた。
この白い世界に、わたしの黒を付け加えるべきか。
本来なら、加えるべきだ。
でも、黒を入れてしまったら、白が少なくなってしまう。
わたしは白が好きだ。
だから、白を尊重した方がいいのでは?
タイムリミットが迫るなか、わたしは黒を足すのをやめた。
いいではないか。ありのままが美しいのだ。
何も飾らずに、そのままで。
答えなんて、いらない。
蛇足だ。
これでいい。
他の人と違うのも、個性のひとつだ。
キーンコーンカーンコーン……。
学校のチャイムが鳴った。
数日後、わたしは担任の先生に職員室へと呼び出された。
「おい、お前どういうことだ」
「なんですか?」
「テストの解答用紙を白紙で出しただろ。あとで保護者と三者面談だ」
きっと、わたしは顔面蒼白になったに違いない。




