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アイシア=ルーラ

(in食堂)


「いただきます」


「はいどうぞ」


夕食、かなり固めのパン2つ、野菜たっぷりシチュー、コーンサラダの三点。美味です。ただパン固すぎだろ。口に合わなかったのでこっそり自分のもっているパンと交換。罪悪感は微塵も感じませんよ。


「…となりいい?」


「んむ?」


突然声を掛けられる。振り返るとかなりの美女が颯爽と立っていた。めちゃくちゃ可愛い。茶髪のショートカットで身長が結構低い。リースより5cm高いぐらいか?


「あぁ、どうぞ。」


「ありがとう。」


ゆっくりとした動作で隣に腰かける。ていうか席結構空いてる…何故?


「……いただきます。」


「……(もぐもぐ)」


…相手が気にしてないようなので俺も気にせず食べよう。あー、うまうま…


「……ねぇ。」


「……ん?」


と思った矢先に声を掛けられる。他はともかく食事中のおしゃべりはあまり好きじゃないのだが…可愛いので許してやろう。


「何。」


応答すると共にその美女は急に顔を近づけてくる。

…え?俺襲われちゃう?こんな公の場で?貞操の危機?させんわ!

そう思いさりげなく距離を取ろうとするが、思いっきり腕を捕まれ引き寄せられた。


「…さっき空間魔法つかったでしょ。」


「……はぁ?」


小声でそう告げられた。文脈が無いにもほどがある。そして俺は何て返すのがベストなんだよ…。


「……使っちゃダメなのか?」


俺はそう答えるのに精一杯だった。だって!美女の顔が!すぐそこにあるんだよ!?落ち着け俺、素数を数えるんだ。からの深呼吸…


「……使っちゃダメって言うわけじゃないけど…」


「じゃ、とりあえず離れようか。」


何か言いたそうな顔しながらも離れてくれた。何だかんだいって聞き分けのいい子じゃないか。


「コホン…いきなりゴメンなさい、私は錬金術師のアイシア=ルーラ。是非シアって呼んで。世界中を旅しながら錬金素材を集めているわ。」


ご丁寧にも自己紹介をしてくれた。俺もしなきゃいけないのか…


「…俺はアスカ=アカツキ。アスカでいい。ただのしがない旅人だ。」


次の瞬間アイシアことシアは大声を上げて抗議しだした。


「っ何がただのしがない旅人よ!!言っとくけど私はかなり腕の立つ錬金師なの!どういうことか分かる!?鑑定眼持ってんの!あんただって持ってるでしょ!?こんなレベルの高い冒険者初めてみたわよ!おまけに空間魔法使えるとかどんだけ(ry「食事中は静かに。」


声量はリースの方があるけど喋る速さで言ったらシア。よってうっとおしい。食事中は席を立ったり大声で話すのはマナー違反…だと思ってる俺はほんの少し睨みをきかせる。


「……ごめん、なさい。」


やっぱり聞き分けはいいようだ。悪いと思ったら謝る姿勢は素晴らしいです。…目に怯えの色が出てるけど素晴らしいです。……俺そんなに怖いかなぁ。


「分かればよし。」


あまり苛めても可哀想なので許してあげよう。


「……んで、何でしょうか?」


「……はい、えーと、空間魔法を使いたいので教えてください。」


うん、さっきの熱弁はなんだったのかな?まぁそれは置いておくとして…


「何故?」


「…私さっきも言ったけど錬金術師なの。レベルも結構高いって思ってるし魔法も平均以上。でもどれだけ修行を積んでも空間魔法だけは覚えられなかった。出会ってきた人の中にも空間魔法を使える人はいなかった。」


「そりゃそうだ。」


レイヴィスが言ってたけど空間魔法ってかなり高度らしいしな。そんなほいほい使えるもんじゃないだろ。


「でも今日初めて見つけた!お願い、教えてください!」


「えー……何でぇ…」


「空間魔法を覚えたら何でも収納できるのよ?最強の防具を作ることも夢じゃなくなってくるわ!」


「んー……」


まぁ、それは憧れるわな。その気持ちは分かる。でも面倒くさい…俺にメリットないじゃんか。


「お礼とかあんの?」


「え?……あるわよ。」


「何?」


「……。」


「……何?」


「………。」


「……ごちそうさまでした。」


「待って待って!ある、あるから!」


「いや、ないだろその顔は。」


恐らくただで教えてもらえると思ったのだろう。悪いが俺はそこまで優しくない。シアはあ~とかう~とか言いながら必死で食い止めてくる。……面白い。


「くっ…こうなったら最後の手段よ!」


「そうか、トンズラしようとしても無駄なことを踏まえた上での最後の手段だからな。」


「……もちろん。」


「おぉ、何?」


シアはキッと挑戦的な目でこちらを睨んでくる。これはどう見てもお願いする態度じゃないよね?怖くないけどさ、ほのぼのするけどさ。


「あなたのセフレになってあげるわ!これで満足でしょう!」


食堂に居る皆の目がこちらに集まる。とりあえず殴っておこう。


(ゴヅンッ!)


鈍い音を上げシアは頭を抑えて地面にしゃがみこむ。


「っ~~~~~~痛いじゃない!!!」


「……脳が飛び出なかっただけでも感謝する所だろ。」


「何でげんこつされてお礼言わなくちゃいけないのよ!」


「お前がセフレとか抜かすからに決まってんじゃん。」


ちなみに俺はセフレ関係とかレイプする奴とか性にだらしない人は大っ嫌いだ。愛する人もセックスする人も生涯に1人でいいじゃないか!……という持論を推し続けて16年。おかげ様で彼女居ない暦=年齢になってしまったが全然後悔していない。


「お前それでも女か…可愛い顔してるんだからもうちょっと発言に気ィ使えよな。」


「可愛っ……!?可愛くなんかないわよ!変な事言わないで!!///」


「や、可愛いって。」


可愛いという度顔が赤くなるシア。きっと慣れてないんだろう、可愛いです。


「……じゃあ、あんたの言うこと一つだけなら聞いてあげるわよ。それでいいでしょ?」


「……その代わりに空間魔法教えろと?」


「そうよ。」


「んー…乗った。」


「ホント!?」


ぱぁっと笑顔になるシア。うぐ、眩しい…直視できない…


「これからよろしくねアスカ!」


「…あぁ、よろしく。」

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