表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ三題噺  作者: ツンヤン
巫女・生肉・東京メトロ
9/34

匙投げ熊のカオス脳内

東京メトロは今阿鼻叫喚、地獄絵図になっている。

赤、赤、赤……所々ピンクだったり白かったりするけどとりあえず血にまみれ生肉が飛び散っている。

電車は未だ動いている、何せ停止させるための運転手すら今や肉塊となっているからだ。


「ふふふ……次はアナタですね」


巫女さんは微笑む、その赤袴を赤黒く染め片手には日本刀、胸元をかなり開いていてかなり扇情的だ。

俺は知らず知らずのうちに後退っていた、怖い……むせるような血の匂いとねっとりと肌にへばりつく返り血に正常な判断はできない。

何がどうなってこうなったかなんて覚えてない。


とりあえず吐いたり失禁していない俺は褒められるべきだろう、巫女さんはまだ動かない。

俺は今度は意識して後退った、一歩、また一歩と……巫女さんはまだ動かない。


「アナタ、何を怯えているの?」


巫女さんは笑った……花が咲いたようなそんな華やかな笑顔だ。

場にそぐわないそんな笑顔に俺は見惚れてしまった、だが俺は止まらない……また一歩下がった。


巫女さんはまだ動かない……ふと思ったがこういうのは東京メトロでなくても山手線とかそんなのでもいいのではないのかと、何故ここでなければならなかったのか、それは巫女さんにしか分からないことだ。

俺はまた一歩下がった、巫女さんはまだ動かな――――巫女さんが俺の視界から消えた。

俺は倒れたらしい、足元に転がっている生肉を踏みつけて足を滑らせたらしい。

血だまりに身を沈め、そこだけ綺麗な天井を見つめた……巫女さんはまだ動かない。


「アナタは何を見ているのですか?」


巫女さんの声が聞こえる、ぺたりぺたりとこちらへ歩いてくる。

俺と巫女さんの距離はそんなに開いてはいない、だというのにぺたり……ぺたり……明らかに俺が後退った歩数より多くの足音が聞こえる。


ぺたり……ぺたり……。


俺の五感は全て血で覆われ、巫女さんの様子を探れない。


ぺたり……ぺたり……。


どこだ、どこから来る?


ぺたり……ぺたり……ぺた――――巫女さんが立ち止まったらしい、そして俺の目の前に巫女さんの顔が現れた。


どうやら横を回り込んで俺の頭の方へと来て、俺を見下ろしているらしい。


「アナタはワタシがどう見える?」


俺は、巫女さんを見つめる……凄く綺麗だ。


「……アナタには本当の赤を見せてあげる」


巫女さんは刀を振るった、刀は俺の首を横切り、巫女さんの首を横切った。

巫女さんの首が落ちてくる、俺の事切れた首へと向かって――――そして俺達は唇を重ねた、巫女さんの赤い口紅がやけに色濃く見え、俺の視界は黒に染まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ