0055:魔法少女市民戦争
魔法少女近況:今の世界にあるのは壊していいものか違うかそれだけでいいと思うの。
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六月第3週の土曜日。
午後7時46分。
東京都麻布十番、ニルヴァーナ教団本部。
現行の砲熕兵器に用いられる155ミリ砲弾は、最も強力かつスタンダードな弾種と言える。
野戦砲による戦車など戦闘車両の破壊、戦闘艦の主砲による湾岸部に存在する建造物の破壊。
そんな用途の砲弾が、美術館のような建物に突き刺さり壁の一面を崩壊させた。
落雷にも似た爆音が一帯に轟き、立ち上る噴火の如き煙が警察車両の照明で闇の中に浮かび上がる。
爆発の振動が地面の上にある全てを揺るがす中、全長11メートルもの155ミリ口径ハンドガンを担いだ黒ミニスカが、大股で粉塵の狭間を突っ切っていた。
親友の銀髪姫が誘拐されて、既に三時間超。
旋崎雨音のテンションもとっくに振り切れ、気分はクライマックスだ。
「別のチームが陽動してくれた後に突入、って話じゃなかったー?」
「こっちを陽動だと思ってくれればイイなって」
「オウ……こがいに考えナシなアマネはじめて見ましたヨ?」
教団本部殴り込みグループ先頭集団、黒ミニスカの斜め後ろにいる三つ編みの少女とグラマー巫女侍が、下から覗き込むようにして表情を窺っていた。
前しか見ていない黒アリスは、眉を顰める仲間に対しても、素知らぬ顔。若干目が据わっているだろうか。
東京、トライシア、ラバルドーズ、マムス、世界各国の主要都市、と戦い続けて来た魔法少女だが、本物の軍人でも漏らすほどの戦場にあって、常に思考を止めず理性も手放さなかった圧巻の16歳である。
でもこんな日もあるだろう、と。
今回はカティと桜花が、それに仲間の魔法少女が、雨音のお尻を持つ事とした。
「黒衣さん、こっちは会議室やイベントホールのある区画です……! 代表の部屋や地下に向かう最短ルートではありません!!」
「向こうははじめからやる気ですし、壁抜けの能力を複数人が使ってきます。狭い場所はこちらだけが不利です。こっちも入口は使わず壁をブチ抜いて進攻した方がいいでしょう」
そんな魔法少女のお尻を持つべき大人のひとり、機動隊の格好をした自衛隊員は、自動小銃を持っていなければ頭を抱えるところだった。
この隊員たちは、対テロ訓練で屋内戦闘に熟練した玄人たちだ。釘山三佐が黒アリスに付けてくれた。
警視庁はこれまでの教団への内偵で建物の構造を把握しており、自衛隊とも情報を共有していた。
そこで魔法少女突撃部隊の先導役に加えられたのだが、黒ミニスカのヤツは初手から間取りガン無視でエントリーと。
それも、対能力者戦を想定しての事と言われれば、これを全力で援護しろと統合幕僚長からまで言われた身としては、もうどうしようもなかった。
エアリーが囚われている場所は代表の部屋か地下の集会場、と一応は予想されているが、実際には全く分かっていない。
よって、場合によっては施設内全捜索を想定しなければならず、それを邪魔する全ての障害は排除しなければならなかった。
最優先が浚われたエアリーの保護である以上、教団側にどれだけの犠牲を出そうとだ。
などと雨音がオーバーヒートした頭で考えていたら、粉塵の中から刀持った超ミニスカのJKギャルが縦回転しながらブッ飛んできた
「ふッ――――!」
「ハァッッ!!」
集中力限界の雨音が即反応して砲を向けたが、その砲身の上に飛び乗り鎧武者が駆けていく。
抜刀する『島津四五郎』こと武倉士織は、プロペラのように振り回される太刀を空中で跳ね返した。
壊れない以外は普通の赤備えなのだが、武器を踏み台にされた黒ミニスカにさえ重量を感じさせない見事な軽技である。
「ヒュー! かーっこいいー!!」
「貴様か!?」
「いやリアルで『貴様』とか言うのはじめて聞いたわー」
着地する襲撃者と鎧武者。
士織が黒アリスを庇う位置で刀を下段に引いた構えを取り、自衛隊員がアサルトライフルを正面に向け、巫女侍やカウガールなど能力者も一斉に攻撃態勢に入った。
対して、着崩した制服に極ミニのスカート、蛍光色の小さなパンツが覗く脱色ツーテールギャルは、ニヤニヤとして恐れる素振りすらなかった。
両手には、長めの太刀。
以前、雅沢女子学園に乗り込み、士織に死合いを吹っ掛けた能力者のひとりだ。
「まったくらしくないが、教団の人間だったか……。だが今日は相手をしている暇はないぞ!!」
「えー? まー宗教とかはウチはどうでもいいんだけどー、能力で遊んでイイっていうしお金もらえるっていうからさー。一応幹部って言うの? そーゆーのやってる」
見た目は授業サボって遊びまくるギャル系女子高生だが、本人曰く教団の幹部とのことだった。
だがそんなの雨音にはどうでもいい。相手をしている暇が無い、という鎧武者と同感である。
「しおりん、やらないならあたしが吹っ飛ばしていい? コイツ邪魔なんだけど」
「む……こやつこんな感じですが結構早いですよ? 技も筋もありませんが飛び跳ねる上に軌道が変わります」
「うわーおコワーい。でもあたしのお仕事は黒アリスちゃんと遊ぶことじゃあないんだなー。
ウチのしゃちょーが黒アリスちゃんと面接するから、黒アリスちゃんだけ通して後はぶちのめせ、だって♡」
ヒトを食った物言いの蛍光パンツに、
は? と片眉を上げる黒ミニスカ、
あ゛? とメンチ切る極道のようなツラになる巫女侍や三つ編み吸血鬼といった魔法少女勢であった。
大事な魔法少女の親友をひとりだけでやるとか舐めてんのか殺すぞ、という少女を捨てた殺意である。
雨音としても蛍光パンツのセリフに一瞬疑問を持ったが、そもそも敵の言う事は信じるな、という教育を受けているので、考慮するに値しない話であった。
一方的に押し潰すだけだ。
「招待には及ばないわ。皆で勝手に行くんで。足は止めない。障害物は蹴散らすから」
「おーっほっほー、スゲーさすがは本物な『ドラゴンスレイヤー』。さっきだってビルごと潰されるかってマジビビったっしょー。
アレでしゃちょー、実際のところ超ビビってたと思うわ。だからあたしら全員で行けってさ。
最初はビルの中に入れてから囲んでボコす予定だったけど、こっちの方が楽しくね?」
邪魔なモノ全てを薙ぎ払い、どんな交渉も要求も聞かずただ一直線に目的にまで進む。
そんな傲岸不遜な宣戦布告にも、蛍光パンツは動じる様子もなく軽口を叩くのみだ。
本来の予定では黒アリスを誘い込んで他の能力者はハメ殺すつもりでした、などと臆面もなく言う。
自信の根拠は、崩れた壁面、粉塵の向こうに姿を表し魔法少女たちを見下ろす無数の人影だろう。
ドラゴンスレイヤー。
巨大生物を倒した者を意味するとして、陳腐ながら最近話題となっている称号。
それを持つ魔法少女と知りながら、教団の能力者には関係ないようであった。
「あたしらだって怪獣退治に参加したかったけど、年齢とかで弾かれたんだよね。でもここであんたたち全滅させれば、あたしらの方が強いって事じゃん?」
「上等だわ。あたしらが本物の鉄火場ってもんを教えてやる」
黒ミニスカは155ミリ口径11メートルの砲を直接軽機関銃に変形させ、明確に対人戦の構え。
崩落した壁からも、教団側の能力者が出てきた。2階3階部分から飛び降りてくる者もおり、身体能力の高さか、あるいはそういう能力を思わせる。
もはや交わす言葉も無し。順に射撃のマトにしてくれようと黒ミニスカが銃口を向け、
「それじゃわたしから♪」
その前に、スキップするように出てきたゴスロリワンピースの少女が、僅か数秒で見上げる巨人と化し立ち塞がった。
「うわ、これ系の能力者までいるんだ……!」
「でも大きくなるタイプは制限厳しいじゃんねー。これも1分持たないんじゃね?」
突如として現れるゴスロリ巨女に、アルバトロス混成部隊の能力者からどよめきの声が。
一方、敵を見上げるのに慣れている魔法少女勢は、それほど驚きはしないものの面倒臭そうな顔をしていた。
割合として多くはないが、身体のサイズを大きく変える能力者も珍しくない程度にはいる。
一方で巨体を維持するのは難しいようで、時間や能力の使用回数に制限が付くのが常であった。同系統で最も有名な東米国政府付きの巨大化能力者『タイタン』などは、サイズと連続使用時間が反比例するらしい。
それは置いても、面倒な相手であった。
大きい事は強い事。見かけ倒しでない限り、質量を増やした巨大化能力者はそれだけで脅威だ。
どれくらい継続する巨大化かは分からないが、雨音の方には1秒たりとも時間の余裕など無い。
故に考え、そして優先順位に従い決断する。
エアリーを傷付けられる可能性がある以上、邪魔になるなら敵の殺傷もやむなしと。
そんな大量虐殺の覚悟を決めてしまったところで、どこからかドシーンドシーンという地揺れと重低音が近付いてきた。
新手の敵かと緊張感が高まるアルバトロス陣営。ところが、教団側も能力者達も、その振動に浮足立っている。
そうして警察車両の照明の中に姿を表したのは、全高200メートルを超す巨大ロボット、
護衛戦艦『ムサシ』だった。
「ぅわぁあああああ出たぁああああああ!!!!?」
「――――ちょ!? 艦長!? 宮口艦長なんでここにいるの!!?」
「あーあー東京がまた廃墟にー」
魔法少女の仲間にして雅沢女子学園の生徒、長い黒髪も美しい自衛官一家のお嬢様、『宮口艦長』こと梅枝文香さん。
その能力は約200年前に実在した巨大戦艦『武蔵』を再現するというモノである。
これがレベル2、超巨大ロボット決戦兵器としてヒト型に変形するようになったのだが、なにせそのサイズと、46センチ3連装砲が3基、15.5センチ3連装砲が2基、12.7センチ連装高角砲が6基、25ミリ3連装機銃が35基、25ミリ単装機銃が25基、13ミリ単装機銃が2基、12センチ28連装噴進砲が2基56門、という加減しろバカと言いたくなるほどの重武装により、こんなの街中で運用できるか、という話にはなっていた。
でも実際いるという。
アルバトロスもビックリしているが、教団側はもっとビックリしている。無線通信を聞く限り警察もビックリしている。
そして、魔法少女たちは身内がやらかした大惨事に、目が死んでいた。
「コラァ! おまえテメェこのバカぁ! そんなもんで街の真ん中来たら大騒ぎだろうがぁ!!」
ひとり激オコなのが、魔法少女側のギャル海賊、『キャプテンマリー』こと安保茉莉だった。ロボットの頭に向けて中指立てている。
出会いは海賊船と戦艦との海戦という、因縁浅からぬふたりであった。若干ライバル視している節もあり。
そんな海の魔法少女からの返答は、いつも通り無線で行われてきた。
『提督がエアリー殿下を助けに敵勢力の中枢に突入すると聞いて、傍観など出来るものか! 本艦「ムサシ」は援護に入る! 黒アリス提督、武運を祈ります!!』
「将来の自衛官さまのやるこっちゃないねー。でも面白いから合格」
「ええいもうこの際ありがたいから都市部への被害はなるべく抑えて! フォローは後でどうとでもしてやるわー!!」
黒ミニスカは援軍のヒト型地上護衛艦とその艦長に無茶振りして自分はダッシュをかけた。教団側の能力者が巨大ロボをアホ面で見上げている今を好機と見てのことだ。
数テンポ遅れて、これに続き走り出すアルバトロス部隊。
だがこの動きに気が付き白と黒のゴスロリ巨女が動く。
「なにこれブリキのキコリ!? わたしはドロシーじゃなくてアリスなんですけどー!!」
『黒アリス提督を差し置いて不思議の国のアリスを名乗るとは笑止! 提督こそが真のアリスだ!!』
「そういやあたしなんで黒アリスとか名乗ることになったんだっけ……」
「にゃるほど巨大化は『わたしを食べて』のアレかー、んじゃ長持ちしないなー」
どうやらアリスの意匠だったらしい白黒ゴスロリ巨女が、巨大護衛艦ロボに足裏を叩き付けるヤクザキック。サイズがサイズなので轟音が響く。
黒ミニスカ上官のアイデンティティーを守らんとする宮口艦長は、護衛艦ムサシを踏ん張らせてこれに耐え、逆に巨女を押さえ付けんと前に出た。
巨大質量同士の揉み合いに、地震のように地面が揺れ続ける。スポットライトも集中して向けられていいるので、完全に怪獣映画だった。ロボとゴスロリの戦いだが。
改めて自分の通り名の存在意義を問われ、教団施設に駆け込みながら首を傾げる黒アリス提督。この忙しい時にどうでもいいことで思考が乱される。
三つ編みの本好きが巨女ゴスの方向性から能力を類推するが、彼の児童小説版アリスを踏襲していたとしても、正確な効果時間は不明だ。実際興味もない。アリスの名を冠するのは親友の黒ミニスカだけでいいと思っている。
肝心な本人には特にこだわりもなかったりするが。
ドドンッ! と、鋼と巨少女が地面を踏み鳴らす。
護衛戦艦ムサシ、割と容赦ない右フック気味のビンタ。黒い口紅と人形のようなアイメイクのゴス顔に鈍器が直撃する。
ギギンッ! という音に何かと思えば、蛍光パンツギャルと鎧武者が剣戟を再開していた。
忙しなく動き回る蛍光パンツ丸出しJKに、全方位から来る刃を尽く斬って捌く鎧武者自動兵器。
ここへ更に、オレンジジャージに長ドス持った茶髪女子が突っ込んでくる。
「うるぁああああ往生せぇやぁああグベァアア!!?」
直後に、顔面を巫女侍に蹴っ飛ばされて教団本部の方へ転がって行った。カティが攻撃したと言うよりは、たまたま足の前に出て来たのでそのまま叩き付けたというところだ。
「今のなんデス?」
「知らんけど、今日に関しては障害物は脳死でブッ飛ばして構わないわ! あたしが許す!!」
「……アマネがリミッタ無くすと世界がポスアポになるデスのでカティが上手くやりマスよ」
銃と兵器の魔法少女が全ての制限をオフにしているので、巫女侍の中のヒトは人類存亡の危機感を覚えた。
先ほど決意した通り、今日は自分が抑え役になるのだ。
カティはまた少し大人になった。
「おおっと来た来た来たぁ!!」
「全員相手を殺さないように! でも自分が危ない場合はその限りじゃないから正当防衛よ! みんな命大事に! でも敵の全滅を目標に! エアリーはその後ゆっくり探すつもりで! ごめんねーこんな指示でー!!!!」
「黒衣さん弾をください! 先行します!!」
巨人の足元を駆け抜けるアルバトロス部隊の前方、教団施設の方からも、蛍光パンツ、巨ゴス、長ドスジャージに続き、能力者らしき者達が突っ走ってくる。
機動隊に化けた自衛隊員へ、黒アリスは魔法の弾倉を投げて渡した。非殺傷弾。これで発砲条件は大分緩和される。
集団の先頭、黒いミニスカエプロンドレスの魔法少女と機動隊員の格好をした自衛官6名が足裏で地面を擦りつつ銃を構えた。
容赦なく同時に発砲、軽機関銃とアサルトライフルが派手に炸薬の音を放ち、普通の人間の格好をした能力者を打ち倒す。
掃射によって薙ぎ倒される様は、まるで虐殺だった。
それでも黒アリスは躊躇わない。毎秒16発の5.56ミリ弾をバラ撒き、その破壊力で以って全ての敵を殲滅する覚悟だ。
それに実際、銃撃にさえ対応してくる者共もいる。
曳光弾の光の隙間を縫って俊足で駆けて来る者、恐らくニンジャ。
表面部分で弾丸を弾きながら少しずつ削れ、しかしそれを一顧だにしない巨大な頭部らしきシルエット。
サビの浮いた板金仕立てのようなロボット。
頭部と胴体のみ覆う刺々しいハイレグアーマー女。
地面を泳ぐような赤いレインコート。
地を這い駆けるトカゲ人間。
ギョッとするようなサイズのストライプスネーク。
砲口初速950メートル/秒という速度の弾丸をかわすか、あるいは受け止めるかしてみせる、人智を越えた特殊能力者たち。
銃器という現代の戦闘における普遍的かつ絶対的な秩序をものともしない、超人類どもである。
だが、これに対するのも同じ、常識を無視した超常の力を持つ者たちなのだ。
「こんのクソカルトがぁあああ!」
「天誅ぅうう!!」
「炭酸ブラストーッ!」
「日本クラッシュ工業ぉおお!!」
『機関いっぱい全速前進!』
『全速いっぱいようそろー!』
黒ミニスカの横を突っ切り雪崩れ込むアルバトロス合同部隊。現代日本にしては珍しく血の気の多いのが集まっており、打ち上げを邪魔された上に喧嘩売られた事でまぁまぁキレている。
ミサイルのように併走し、集団を追い抜き教団の能力者たちの中で爆発する炭酸飲料ペットボトル。世界中の飲料メーカーから総スカンの能力者。
人間より大きな回転ノコギリが地面を掘り返しながら、能力者本人ごと突っ込んでいく。
正面から教団能力者に体当たりしていく土人形スプリンターズ。
人間のモノより遥かに大きな骨の腕と、蛇腹のマジックアームがガッチリと組み合っていた。
頭上では護衛艦ロボが白黒巨ゴスを教団本部の方へと押していく。
アルバトロスは教団の能力者集団と正面衝突し、大乱戦に。
そこを、軽機関銃で道を切り開き、黒ミニスカが突破していく。
「あたしは先に行きます! 杉森さんここよろしく!!」
「了解しました気を付けて!!」
教団本部内に突入する魔法少女たちに代わり、本部前の乱戦を任されたのは、銀色の耐火服を纏った消防庁より出向中の『ファイヤーマン杉森』だった。
黒アリスと機動自衛隊員、それに魔法少女とほか能力者たちが建物内に雪崩れ込むと、外の騒音がフィルターをかけられたように遠くなる。
「入られてる! スピアヘッド! スピアヘッドこっちだー!!」
「スピアヘッドは何してるんだ!? アローヘッドも呼べぇ!!」
「誰かファイナルガードに連絡を!!」
そして今度は、建物の奥から白いブレザーのような制服を着た人間が何人も湧いて出て来た。
アルバトロスの能力者集団を見て慌てて逃げている者がいれば、逆に向かってくる者もいる。
「異世界の手先だ! 我々にはこの世界を守る正義と大義がある! 構わんから殺してしまえ!!」
「有為の御前様がこの世を治めれば、我々が罰せられることなどない! 躊躇うな! 我等こそが正しいのだ!!?」
今までにも見たハリガネを伸ばす能力者のほか、魚の骨や火炎弾、手裏剣、火を吹く謎の小型生物などの攻撃が山ほど飛来し、教団員の中には銃を使う者まで。
これを、チビッ子魔法少女刑事の防弾盾、芸術品のような動く像、騎士のカイトシールドが受け止め、直後に巫女侍や胴着袴姿の老人が突撃。
敵集団の中に飛び込み、大刀や木刀で教団員を爆発させた。
アルバトロスとニルヴァーナ教団所属の忍者同士が空中で火花を散らす。
魔法使いスタイルの能力者も、同スタイルで魔法の撃ち合い合戦。
その横っ腹から7人の海賊も突撃し、剣の峰を金属バットの如く叩き付けて蹂躙していた。
「西木さん後続は!?」
「機動隊が突入口から来ます! 西側裏庭を制圧中!」
「了解です! 背中と退路確保は任せてみんなどんどん行くよ!!」
「おっしゃー!」
「突撃キター!」
「行け行け行けー!!」
偽装機動隊員、西木一曹に状況を確認すると、黒ミニスカは殴り込み部隊に前進を指示。自ら敵を蹴散らし前線を押し上げる。
大勢の能力者たちの中にあって、軽機関銃装備ということを差し引いても圧倒的な突破力であった。
弾丸をはじめ、あらゆる特殊能力により爆砕される教団施設の壁や柱、砕け散る調度や内装、ついでに空を飛ぶ教団の人間。
突撃兵と化した黒アリスは、乱れ飛ぶそれらの中で、我が身を一切省みずに突き進んでいた。
感想、評価、レビュー、読み返すと色々マズイかと思いましたので改めて本作はフィクションです。




