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いまさら魔法少女と言われても  作者: 赤川
Wave-02 ヒロインはもうひとりの方で良かったのでは
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0027:5分後にはブラックホークのドアガンにより激しい弾丸が降るでしょう

 .50S&W弾という鬼のように強力な弾丸を、反動をものともせず、4発連続でブッ放した雨音は、最後の一発で新たな銃器を形成する。


銃器形成ガンスミス・アーセナル!!」


 発砲と同時に唱えられる、魔法の呪文と呼ぶには硝煙の香りが強い科白(セリフ)

 空中で静止する弾丸。それが微かに震えると、一瞬で数十倍に膨張する。

 S&W M500という金床で、撃鉄によって叩き出されたのは、『ベネリM4』。

 12ゲージの散弾(ショットシェル)――――――今回は6粒弾――――――を、薬室(チェンバー)に入る分を合わせて、7発の連続発射が可能なセミオートショットガンだ。

 接近距離には無数の標的(マト)が。

 ストックを肩に押し付け、雨音は一番近い等身大フィギュアへ向け引き金を引く。

 ズバンッッ!! と、炸薬音が弾けると同時に、美少女フィギュアの上半身が吹き飛んだ。

 ベネリM4は火薬燃焼ガスを利用し、ピストン機構で薬室に次の散弾を自動で装填。雨音は立て続けにショットガンをブッ放し、次々とカティに群がる生き人形を(ゴミ)へと変える。

 が、しかし、装填出来る散弾は、最大で7発だけ(・・)


「――――――――チッ!?」(近距離でショットガンてのは浅はかだったか!!?)


 何せ慌ててチョイスしたので、弾数にまで頭が回っていなかった。所詮は素人JKである。

 雨音はショットガンを放り捨てると、エプロンポケットに入っているM500を掴み出し、


(しまった……こっちも!!?)


 掴み出した所で、5発全弾使い切ったばかりなのを思い出した。


(予備弾! ポケット!?)


 .50S&W弾が5発装填されたシェルローダー。これに限らず、弾はポケットの中で用意出来るらしいので、その意味ではショットガンも捨てる必要はなかった。

 しかし、何せ不慣れなのだ。

 勢いよくエプロンポケットに手を突っ込むと、バネの付いた円筒形のプラスチック部品に、5発の弾が円になって刺さったリローダーを掴み出す。

 M500のシリンダーを横にリリースし、勢いよく身体に引き付けて空薬莢を5発分引っこ抜くと、シェルローダーの弾丸をシリンダーに押し込もうとし、


 その時には、雨音の目の前に美少女フィギュアが飛びかかって来ていた。


「ッ――――――――」(――――――ヤバッッ!!?)


 再装填は間に合わない。逃げるにも相手が近すぎる。こんな時の為の補助兵装(サイドアーム)だろうが。と様々な思考が雨音の脳裏を駆け巡るが、結局雨音にはこの状況を回避する(すべ)は無く、


「あいや待つデース!!」


 巫女侍(カティ)によって、そのフィギュアは袈裟がけに両断された。

 飛び込んで来たカティは、その勢いで後に続いていたフィギュア2体も薙ぎ倒す。片手なので刃が立っていなかったが、鉄の棒で力任せに殴り倒せば、その威力も馬鹿にならなかった。


「こっ、このテロメイド! こんな所で何をしているデスか!!?」


 助けられた相手の見知った姿に、巫女侍が目を剥く。

 雨音的にはえらい言われようだが、銃を乱射して一面を穴だらけにした挙句にカティを連れ去ろうとすれば、控え目に見ても犯罪者ではあった。


「うるさいテロとか言うな! あとメイドでもない!! あんた追いかけてきたらこんな事になってたのよ!!」

「カティを……!? ま、またカティを拉致監禁するつもりだったデスか!!?  カティを誘拐してどうするつもりだったデス!? な、何をされてもカティの正体は明かさないデスよ!!?」

「だからあんた自分で正体バラしまくっちゃってるし――――――――――って!!?」


 必然的に背中合わせな熱い体勢になっている雨音とカティを、悪の組織の構成員の如く、個性豊かな美少女フィギュア軍団が取り囲む。相変わらず、ごく普通の女子高生にはハードルの高いシチュエイションだった。


「……どっち道これ全部ブッ壊すかしないと、落ち着いて話も出来ないワケだ……」

「む! 『ここは一時休戦』というやつデスか!? お約束デスが、でもテロメイドとじゃ背中を撃たれないか心配でしょうがないデース!!」

「まぁ………これが終わってから逃げようとしたら………」

「『したら』なんデスか!!?」


 雨音がトリガーハッピーモードに近い微笑で呟き、カティは顔を絶望に曇らせる。

 蘇るのは一昨日の夜の悪夢。死神の哄笑と、鳴りやまない銃弾の雨音(あまおと)だった。


「あ゛ぁあぁあぁぁあぁあぁあぁぁァアア俺のガンドライトニングがぁぁあぁああぁあぁあぁああああ! 死ねッッ!!」


 そこに響く、小デブのロボットフィギュアマニア、ケンヂの怒声。

 ガタガタと震えるカティだったが、美少女フィギュア軍団を割って現れる相手を見て、表情が引き締まった。

 カティに2度も痛手を与えた白赤青と3色(トリコロール)のロボットフィギュア。雨音がブッ放した一発で肩周辺が消し飛んでいたが、動くのには問題が無い様子。一番のお気に入りをキズものにされ、持ち主は怒り狂っていたが。


アレ(・・)だけはカティがブッ壊すデース!! テロメイドは似たような格好してる人形を射殺するデスよ!」

「予告してあげるわ……あんたは発言の数々を後で深く悔いる事になる……」

「ヒィッ!!?」


 何かに追い立てられるかのように、カティはトリコロールロボットへ向かい突撃する。


「でもちょっと待って……それじゃあたしがこれ全部一人で相手しろってか………?」


 なし崩し的に始めてしまったカティを横目に、雨音は自分に割り当てられたフィギュアの群れへ向け、魔法の杖ガンスミス・リボルバーという名の兵器を振り上げる。


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