0017:フロンティア波状ビッグウェーブ攻撃
ナラキア地方、エルリアリ大湾沿いの国家『イレイヴェン』と、東の隣国『ローアンダー』の国境『グラグツ』。
ローアンダーが『死の濁流』と呼ばれる怪物の大群により壊滅的な被害を受けた後、イレイヴェンは国軍と諸侯軍を国境に結集させ、水際でそれを喰い止めようとした。
国境を抜かれるような事態になれば、凶暴で凶悪で強大な力を持つ無数の怪物により、ローアンダーと同様にイレイヴェンも国土を喰い荒される事は必定。
『死の濁流』の真の恐ろしさは、今は亡きかつての大国が教えていた。
誰かが何とかしてくれる、という意識はあっただろう。
当たり前ではあるが、貴族は国の方策によって自領の力が落とされるのを非常に嫌う。
例え、国境線が破られ怪物が国内に雪崩れ込もうと、どうせ国軍や自分以外の大貴族が何とかしてくれる筈。
ならば、自分の所の領民や資金、資材の持ち出しは、最小限で良いだろうと、貴族達は考えていた。
結果として、本当の意味で総力を結集したとはいかなかったが、それでも国境である『グラグツ』に集められた兵士の数は膨大だった。
動員数、約3万人。
その後、軍が崩壊するにあたり、どれだけの人数が野に逃れる事が出来たか。
そして、どれだけの兵が外道に堕ちたか。
「何人いるんだ、アレ?」
若手の海兵が、我が物顔で村の中を突き進んで来る大集団に目を向けて、呆然とした声を上げていた。
軍の敗走と崩壊により生まれた野盗とは、つまり少し前まで列記とした兵士達であった者達だ。
自然と、力のある者、声の大きな者、カリスマの欠片が在る者、等をリーダーとして選び、集団を維持している場合も多い。
数の力を知っているが故だ。
魔法少女の黒アリス、海兵、そしてイレイヴェンの王族である銀髪の少女の前に現れたのが、そんな集団のひとつだった。
「ザックマー隊長! あいつらだ! あの変な兜のヤツらだ!」
人数は、ざっと見ても50人程。
構成は歩兵ばかりではない、馬に乗った者も見られる。
村中央の広場で、海兵を指差し喚いているのは、アフリカ系のスローン上等兵と無口な大男のグルナット伍長に返り討ちにされた男だ。
横には、騎乗した鎧姿の男が居る。
他と比べれば立派な鎧だったが、その中身は他と大して変わらない。
「ああ? なんだあいつらぁ? 『ダソト』の野蛮人にしちゃ格好が――――――」
ところが、馬に乗る集団の頭らしき男は、広場に居た奇妙な集団を見下ろして考え込むと、
「――――――おい! ありゃこの国の王族だぞ! 捕まえろ!!」
立派な鎧を付ける銀髪の美少女を指差し、周囲の男達へ叫んでいた。
王族の顔を知っているとは、どうやらただの雑魚でもないらしい。
馬の乗るリーダーの科白に、50名程いる男達が声を上げた。
マズい、と顔を引きつらせる銀髪娘は、絞め上げっ放しな黒アリスの後ろに隠れる。
村のご老人達は、これからいったいどうなってしまうのかと、家の中や物陰から不安げに事態を見守っていた。
「やりますか…………二等軍曹?」
「チッ……弾足りるのかコレ」
こうなる前に逃げたかった海兵達だが、この状況ではそれも不可能だ。
分配された弾丸は、アサルトライフルではひとりあたり弾倉ひとつ分も無い。
「へっへっへ………」
「気を付けろよ! 護衛も結構やるからな」
「売るとしたらナラキア以外か? どうせイレイヴェンも、もうダメだろうしな」
銀髪の姫を見て涎を垂らさんばかりの野郎どもは、広場周辺から黒アリス達を取り囲みつつある。
仲間が海兵にやられたのを警戒してか、ジリジリと慎重に包囲の輪を狭めて来ていた。
手にしているのは剣やナイフだけではなく、槍や斧といった凶器まである。
本当にコイツらは一体何なんだ、と思わずにはいられない海兵達。
それらの武器は決して飾りではない、刃の部分に赤い物がこびり付き、実際に使った事があるのだろう使用感を見てとれた。
「……全員、合図したら撃て。向かって来る奴だけで構わん。だが確実に排除しろ」
昨夜の襲撃の例もあり、もはや交戦規定がどうとか言っていられる場合でもなかった。
二等軍曹が小声で呟くと、海兵達はトリガーガードに人差し指を乗せ、銃庄を肩に押し付ける。
弾丸が尽きる前に、力の差を知ってならず者達が逃げるのを祈るばかり。
だが何より、自分と部下達の生存が何にも優先するのに変わりは無い。
「王族の小娘ひとり居れば充分だ! 男は殺せ!!」
「撃――――――――!」
馬上から見下ろして来る男が号令を叫んだ。
鎖から解き放たれた猛犬のように、刃物を振り上げた野盗が走り出し、海兵が銃口を振り上げる。
「待って二等軍曹!」
そして、真っ先にブッ放されたのは、黒アリスの回転拳銃だった。
ドカンッ! と、初弾が馬上のリーダーを直撃。
続けて黒アリスは、某ビキニカウガールに迫る超高速連射を駆使し、突っ込んで来る4人を吹っ飛ばす。
一秒に満たない発砲後、弾倉を解放、薬莢を振り落とすと同時にスピードローダーで弾丸を押し込み再装填、銃を捻り弾倉を戻した直後に片手で発砲、片手で撃鉄を弾き高速連射。
以下リピート。
銃砲兵器系魔法少女の特性、発砲時の反動無視により、尋常でない速度で発砲が連鎖する。
なお、初弾から5秒後、第2斉射が終わったあたりで、ならず者どもは悲鳴を上げて逃げ出した。
ハイパワーマグナムのド派手な激発音、それに、黒アリスが見せるあまりの戦意に恐れを成した為である。
声で機先を制され、発砲のタイミングを奪われた海兵達も、黒アリスの凄まじい勢いに、呆気に取られていた。
「く、クロー、もういい撃つのをやめろ!」
「お前それ何発入ってるんだ?」
「フー……フー……フー…………!」
二等軍曹に止められも、興奮のあまり肩で息をする黒アリスは銃口を下げない。
50口径の放つ爆音は、逃げる男達がひとり残らず森に消えるまでやまなかった。
◇
一度負けると負け癖が付くのか、元カート伯爵諸侯軍ザックマー隊、立て続けに二度目の敗走である。
「冗談じゃねーぞふざけんなあのメイド魔道士じゃねーかしかも何されたか全然分からなかったぞ!?」
「あんな格好のメイドが居るかよ考えれば分かるだろうがボケ!」
「誰だ囲んで近づけば楽勝だとか言ったバカは!?」
「隊長だよ真っ先にやられたよ!!」
「あんな魔法見た事無いぞ!? てか魔法なのか!? 王宮魔道士どもと全然違うぞ!?」
元々連携も何も無い烏合の衆だったが、今は背後から響く轟音に追い立てられ、バラバラに森の中を這い回っていた。
恐怖を紛らわせる為か、口々に悪態をつきながら逃げる男達だが、かなり離れたにもかかわらず追撃が終わっていない。
「グベシッ――――――――!?」
「ナッソー!?」
何かに背後から撃ち抜かれた男が、顔面から地面に突っ込み沈黙。
どう逃げて良いか分からない他の男達は、恐怖で一杯になりながら、力の限り脚を動かしていた。
彼等は最初、50人以上いた筈だ。
これが、黒いミニスカートのメイドのような魔道士によって、最初の5秒で10人減った。
魔法は止まらず、凄まじい勢いで仲間が吹き飛ばされ続けた。
この時点で戦うという選択肢は消し飛び、逃げる間にも容赦なく見えない攻撃が飛んで来た。
残ったのは、15人程度。
自分達が一体何に手を出したのか、混乱する頭で答えが出るワケも無く、ただひたすら村から離れようと森を転げ回り、
すぐに踵を返して、村の方へと突っ走る事となる。
◇
ギリギリの決断だったが、どうにか上手くいった。
連射性能の限界に挑んだ回転拳銃――――――ではなく、黒アリスの細腕は、疲労と緊張でプルプル震えている。
海兵に撃たせて死人が出る前に、かつ誰かが殺される前に自分が、と考え独断専行に踏み切った雨音だが、もしも失敗していたらと思うと、今すぐ吐いて失神したい気分だった。
「フン……一発も撃たせなかったな」
「ごめんなさい…………」
「謝らなくていい。上手くやったな」
「ようガンマン、ワイアット・アープか」
また変な呼ばれ方をして、定着しやせんだろうな、と雨音は怯える。
ていうか確かそのヒト西部のガンマンだったと思うけど東米国的には良いのか、と余計な心配もした。
何にしても、黒アリスが人死を嫌がって先手を打ったのは、二等軍曹には見透かされたようで。
甘い、と怒られなかったのは良かったんだか悪かったんだか、海兵達は黒アリスに微妙な笑みを見せていた。
「ホントに…………スゴイ。なんて魔法…………」
そして銀髪娘は、つい先ほどまで絞め上げていたミニスカエプロンドレスの少女を、呆然と見つめていた。
目にも止まらぬ高速の魔法。狙った敵を逃がさない精度。鉄の鎧を破壊する恐るべき威力。
これほど直接的に攻撃の意思を示す魔法を、銀髪の少女は見た事が無い。
昨夜は分からなかったが、変わった鎧を装備する騎士に、マントのような上着を羽織るミニスカメイドの使う、いっそ凶暴とも思える攻撃の意思を感じさせる魔法。
(しかも全員が同じ魔法を……!? やっぱり、コレしかない…………!!)
銀髪姫のエアリーは、自分の考えが間違っていないと確信を深める。
が、彼女が黒アリスの力を思い知るのは、これからだった。
「き、貴族さま? 大丈夫でございましたか?」
「お怪我などございませんか!?」
嵐は過ぎ去ったと見て、銀髪や黒いミニスカエプロンドレスの少女を心配し、村の爺さま婆さまが寄って来る。
黒アリスが一方的に撃滅しただけなので、当然、銀髪娘に怪我はない。
ちなみに、非殺傷とはいえ50口径弾を喰らったならず者達は、満足に身体を動かせず、痛みにもがいている。
そして、昨夜同様に海兵によって、使えそうな物を剥ぎ取られていた。
なにか吸血鬼狩りをしていた時の事を思い出す雨音さんである。
アレから何をどうすればこういう事になってしまうのだろうか。
「二等軍曹! コイツらどうします?」
「適当な所に吊るしておけ!」
「『吊るす』!?」
二等軍曹の耳を疑う科白に目を剥く黒アリス。
だが、二等軍曹は「殺しはしない。単なる案山子だ」と仰る。
村人からも、「蛮行を続ければ次は死ぬ」と、賊どもに言い含めさせるそうだ。
むろん、脅しでしかないワケで、どこまで有効かは分からないが、これ以上できる事は海兵にも黒アリスにも無いのだった。
ひとまず脅威は追い払ったが、海兵や黒アリスがここに長居して良い理由は無い。
ならず者どもは、また戻ってくる可能性が在る。あの手合いはしつこい。
そうなると問題は、銀髪少女のエアリーだ。
「スローン、エアリーに訊け。俺達は戻らねばならんが、どうするか」
どうするもこうするも、銀髪少女は此方側の人間である。
向こう側に戻らねばならない黒アリスや二等軍曹ら海兵とは一緒に行けない。
しかし、先ほどの山賊のような人間達が真っ先に狙って来たのを見て、二等軍曹はこの少女をひとりで行かせるのは危険過ぎると判断した。
ならば、銀髪の少女を連れて一度戻る、という選択肢もあり得る。
黒アリスが乗っていた輸送ヘリも、燃料残量から考えれば、まだ2000キロ以上飛べた。
海兵達は黒アリスと接触する前に、此方側に来た地点から、ある村へと辿り着いている。
銀髪の少女がどこに帰るにせよ、ヘリでその村に行ってみるのも、ひとつの手だった。
「『どうする』って…………?」
そんな事を聞かれたって、銀髪の少女もどうにか家に帰りたいに決まっている。
だがそれは、黒いメイド魔道士と、他の騎士達も一緒にだ。
かと言って、現時点で銀髪少女は、黒アリスや海兵をどう説得して良いか分からない。
言葉の壁も、依然として健在だった。
だがそんなエアリーの悩みも、二等軍曹の危惧と気遣いも、すぐに無意味なモノと化してしまう。
『二等軍曹! 北から来ます!!』
村の北側で巨漢の白人とふたり、ならず者を吊るしていたラテンのインテリ海兵が、急接近する脅威の存在を警告して来たからだ。
森に面した畑を踏み荒らし、死に物狂いで突っ走って来るのは、つい十数分前に森に逃げた傭兵崩れの野盗達だった。
とはいえ、それが理由でインテリ海兵が、非常用の短距離通信機を使ったワケではない。
「おいアレは…………!?」
「ヒッ――――――――――――!!?」
二等軍曹が目を見開き、銀髪の少女が血の気を失い、黒アリスは軽くキレる。
3人が見たのは、畑で転び、泥に塗れながら半狂乱で逃げて来る傭兵崩れ達と、その後方から四肢を張る重戦車の如き怪物が、猛然と迫る光景だった。
「全員家に入れ! 海兵は住民を家に誘導しろ!!」
全身の皮膚を剥いだかのような筋肉の塊。
猛獣の本性丸出しの頭部。
全長は3メートル超。
陸上哺乳類に例えればホッキョクグマの最大サイズと同等になるが、腕や脚の太さ、全体の横幅は、比べ物にならない程分厚い。
そんな怪物が、20体以上。
更に、ややサイズは劣るが甲虫に似た特徴の怪物も複数。
二等軍曹は、この状況では最善の――――――は定義によるが、速やかに悪くない判断を行った。
司令官としては重要な事だ。
例え最善の選択をしても、足りないモノは埋めようがない、届かないモノは届かない、どうにもならない事態、というのはあるのだが。
海兵は近くにいた老人を誘導し、そのまま手近な家に閉じ籠った。
逃げていたならず者は早々に追い付かれ、見るも無残な最期を迎えている。
二等軍曹も、黒アリスと銀髪の少女を老人と一緒に民家へ押し込んだが、逃げ遅れた老人を別の家に避難させた所で、自分も同じ家に避難せざるを得なかった。
「地下室! 地下室は無いのか!? 地下室が在る家はすぐそこに避難しろ!!」
老人に早口で問うが、やはり英語は通じない。
短距離無線機で部下に指示するも、地下室が在るという報告は返って来なかった。
『ヤバいです二等軍曹! こんなボロ小屋じゃとても防ぎきれませんよ! 失礼!!』
『二等軍曹! こんなワケの分からない所でくたばるのはゴメンであります!!』
「やるしかない! 全員気合を入れろ!!」
こんな精神論しか言えないのかと自嘲しながら、二等軍曹はアサルトライフルから弾倉を外して残弾を確認。
しかし、最後に確認した時と同じで、勝手に弾丸が増える筈も無く、心許ない事この上ない。
あとは、ハンドガンの9ミリ弾倉が2本だけ。
手榴弾2個も、あの数の怪物達を前にしては、まるで足しにならないだろう。
とても戦えないと考え家の中に逃げ込んだが、状況はこの上なく最悪だった。
(クロー達だけでも逃げられないか……!? クソッ!!)
甚だ不本意だが、自分はもちろん海兵の中で死ぬ事を想定していないヤツは居ない。
酷い話だが、老人から死ぬのは世の理だろう。
だが、黒アリスも銀髪の少女も、まだ子供だ。こんな所で死なせたくない。
そうは思っても今の自分ではどうにも出来ぬと、二等軍曹は憤死せんばかりに歯がみしていた。
部下や民間人ばかりか子供まで。
悔やんでいる間もなく、二等軍曹の居る家の壁に、何か重たい物が激突する音が響いた。
板張りの民家が大きく揺れ、柱は軋み、天井からパラパラと木片が落ちて来る。
外からは耳慣れた5.56ミリ弾の発砲音が鳴り始めた。
単射ではなく3点バースト。
制圧力を得る為だろうが、分配した弾では、5秒も連射すれば終わりだ。
その後、部下がどうなるかなど考えたくない。
それに他人事でもなかった。
「ヒィッ!?」
ただ怯えるしかない老夫妻は、家の隅で小さくなって震えていた。
壁の外では何か大きなモノが唸り声を上げ、バリバリと木の壁を抉っている。
「クソッ……!」
ただ張り合わされただけの壁板は簡単に歪み、圧力に耐えかねて中程からヒビ割れて来る。
小さな孔でも空いてしまうと、後はもうそこから裂け目は広がるばかりだった。
「ガァアアアアアアア!! ギィイイイイイイイイイ!!」
まだ腕一本分も孔を空けていないのに、怪物は奇声を上げて身体を捻じ込もうと暴れる。
叩き出すように、二等軍曹は孔の外へ向けてアサルトライフルを発砲。
残念な事に5.56ミリ弾は一瞬で使い切り、しかも射撃の効果は薄く、なおいっそう怪物は激しく巨体をぶつけて来た。
『ストークより! こっちは残弾無し! 二等軍曹、後よろしく!!』
『こちらビーツ! もう持たない!』
部下達が絶望的な窮地に陥っても、二等軍曹は助けに行けない。
ここで、海兵達の物ではない、大口径マグナム弾の発砲音も聞こえ始めた。
もはや、昨夜と先ほど見せた黒アリスの射撃能力に、一縷の望みを託すしか無い。
上手く転がれば、自分達を囮に逃げてくれる可能性もあると、二等軍曹はそれだけを願っていた。
旋崎雨音がさっさと自分の能力を説明していれば、ブライ二等軍曹もここまで悲観的になる必要は無かっただろうが。
外から聞こえる音にある音が混じり始めた時、二等軍曹は状況が変わり始めたのを直感した。
ダダダダダ――――――! という高い発射速度の炸薬音。
アサルトライフルやバトルライフルではない発射音は、明らかに軽機関銃の物だ。
ヘリと一緒に残して来た仲間が応援に来たのか、と一瞬思う二等軍曹だが、それにしては早過ぎると考え直す。
軽機関銃の音はひとつではなく、炸薬音の連弾が輪唱するかのように複数重なっている。つまり、一挺や二挺ではないという事だ。
その激しさが耳に付いたか、二等軍曹の居た民家に突っ込んでいた怪物も、腕を引っ込めそちらに向かう。
が、次の瞬間、無数の弾丸に張り倒され、怪物は地面に転がり無茶苦茶にもがく事となった。
「なんだ…………!?」
二等軍曹はハンドガンを構えたまま、外に飛び出し応援らしき者達と合流しようとする。
何にしても、この状況では地獄に仏。
強力な部隊か故国からの救援か、期待を胸に急ぎ民家を回り込み、広場の方へ。
そこで二等軍曹が見たのは、
「ハッハー! 逃げる奴はバケモノだよ! 逃げないヤツは良く躾けられたバケモノだよ!」
「ホント戦場は地獄じゃよーフゥハハァアアアアア!!」
軽機関銃を腰溜めに撃ちまくり、猛り狂っている地元の老婆達と、2挺持ちのフルオートで怪物の一体を集中攻撃する黒アリスの姿だった。




