0043:ここからの休暇はメンバーシップオンリーだ
実は、本州や北海道、九州、四国を除き、日本には大小合わせて6852個の島が存在する。
そして、県別に見て最も多くの島が存在しているのが長崎県で、その数971個。
かの有名な『軍艦島』も、長崎県内に在った。
島は無人の物ばかりではなく、ヒトの住む物も多い。
だが、交通の便が悪いのは言うまでもなく、島の集落から住人が出て行ってしまう一方で、個人が不動産として島を購入するという事例も見られる。
前述の通り小島の多い長崎県では、そういった海の上の物件が数多く在ると言うワケだ。
荒堂家が都会の喧騒や周囲の雑音から逃れる為の避難所として購入したのも、そんな島のひとつ。
とはいえ、政治的、経済的に強い影響力を持つ名家だ。
海によって隔てられた孤島でさえ、招かれざる客が乗り込んで来た事があるのを、幼い荒堂家のひとり娘も目にした事があった。
今そんな侵入行為をやらかせば、ここに集まる武闘派魔法少女に、どんな目に遭わされるか分かったものではないが。
◇
日曜日。
午後2時00分。
魔法少女の海賊船は島にある桟橋に着けられ、降ろされた渡り板を歩いて魔法少女達が島へと足を踏み入れた。
その後から、船員の海賊たちが、ポーターよろしく少女達の荷物を運び出していた。
「おー……地面が揺れる…………」
「乗ってるだけでもケッコー疲れるもんだねー」
黒いミニスカエプロンドレスの金髪娘の腕に三つ編みの地味目な少女が抱き付き、互いに頼りない足元を支え合っていた。
そんな文科系魔法少女達を他所に、体育会系魔法少女達は足取り軽く、桟橋を島の方へと小走りで駆けて行く。
露出改造巫女装束の少女は、すぐさまミニスカエプロンドレスの方へダッシュで戻ってきたが。
忙しない事である。
「んならカティが抱っこしてあげるデスよー! アマネはカティのお姫さまデスしねー」
「あたしはお姫さまこそ自立するべきだと思うわ。あとそれなら荷物の方持って来るの手伝ってよ」
つれない嫁の言葉に、巫女装束の少女はテンションダウン。
それでも素直に荷物運びを手伝っていた。
「にしても…………運び込む時も思ったけど、この量は一体」
「半分くらいはビキニお嬢さまの物だよねー」
三つ編み文学少女が言う通り、お嬢様のビキニカウガールが持ち込んだ荷物だけで、大型スーツケース十個分だ。
そもそもビキニカウガールが乗ってきたクルマの、どこにこの量の荷物が入っていたのかと。
ミニスカエプロンドレスの黒アリスなど、中型のキャリーケース一個だけである。しかも、巫女侍と共用で。
他の魔法少女の荷物全てを集めても、お嬢様の荷物の量には対抗は出来ないだろうと思われた。
対抗する意味もなかったが。
「実際こんなに、何に使うんだろ?」
ゴロゴロとローラーの音を響かせ、ズングリムックリのヒゲ海賊に押されて、大型スーツケースが黒アリスと三つ編み文学少女の前を通り過ぎて行く。
桟橋を渡った黒アリスは、待っていたビキニカウガールにそこの所を訊いてみるが、
「旅行に出てこんなに荷物が少ないのは初めてよ!」
という、想定外過ぎる上にズレた答えが返ってきてしまった。
それはつまり、普段は引越しするような荷物を持って移動しているという事か。
このお嬢さま、黒アリス達の荷物の量が見えていないんだろうか見えていないんだろうなぁきっと。
やっぱり金持ちの感性は庶民じゃ計れないな、と諦め風味の黒アリスに、お嬢さまは何故か「ワクワクするわね!」と声を弾ませながら歩いて行ってしまった。
「ありゃ将来が少し不安になるねー」
「ぅうむ…………」
あまり詳しく訊いた事はないが、確かこのお嬢さま、将来的には家を出るような事を言っていた気が。
今のうちに庶民感覚を養わせておいた方がいいのか、それとも余計なお世話なのか。
自由気ままに揺れるハイレグビキニのお尻を眺めていると、世間知らずのお嬢様への不安を掻き立てられた。
荒堂家所有の名も無き島は、大きさ約0.45平方キロメートル。これは、千葉にある日本最大級のテーマパーク(陸)の面積とほぼ同じになる。
が、個人で所有される島となると、これでも小さな部類に入る。
金持ちの「島? 持ってるよ。まぁ小さな島だけどね」(笑)、という科白は、彼らの感覚で言えば事実である事が多いのだ。
大富豪なら10平方キロ、100平方キロクラスの島を買うのも珍しくない。
そして、小さな――――――金持ちの感覚で――――――島というのは、庶民の感覚でも意外と安価で買える。
だが、別途海を渡る手段が必要となる上に、生活環境を整え維持するだけでも島を購入する以上の資金がかかるのは当たり前の話で、その点でも本当に富裕層のみの贅沢と言えるだろう。
荒堂家所有の島も、購入価格の10倍近く金がかかっていた。
海賊船を着けたコンクリの桟橋に、現在魔法少女達が歩いている道もアスファルトで整備されている。
島はアルファベットの『C』を左右反転させた形だった。
桟橋は真南の端。島中央は入り江、と言うよりは規模的に『湾』と言っても良い形になってる。
東側の海に面した部分は周囲より少し高く、海側は切り立っており、別荘は長崎県を望むように建てられていた。
魔法少女の一団は、まずは荷物を置きにその別荘へ向かうワケだが、これが割と距離があった。
海賊集団に荷物を持ってもらっても、約一名が大量に使うんだか使わないんだか分からない数量を持ち込んでいるので、結局は各々自分の荷物は自分で持って行く事になる。
「もう疲れて足が棒だよ黒アリスエモーン。竹じゃないヘリコプター出してよー」
「いつかやると思ったわそのネタ!」
早々にへばった体力の無い三つ編み文学少女が、禁断のネタを持ち出すのは時間の問題ではあった。
大した距離じゃないから歩かんかい、と黒アリスは言いたかったが、船旅でそれなりに体力を使ったか、三つ編み文学少女以外にも疲れが見える。
こんな事で魔法を使って良いものか、と思いながらも、黒アリスは魔法の杖を発砲。
定番の足である角ばった軍用車両、自衛隊でも使っている軽装甲機動車を2台、その場に出現させた。
運転は、黒アリスと免許を持っているチビッ子魔法少女のお姉さんである。
もっとも、軽装甲機動車は基本的にATなので、運転するのに特に難しい事もない。
難しいのは、公道を走る為のルールを覚える方なのだが、個人所有の島なら問題ない。
免許を持つ者として譲れないチビッ子のお姉さんも、頑張って目いっぱい背伸びして爪先でペダル操作をしているので問題ない。
それでも事故の可能性はあるので、やたらと乗り回す気も起きないが。
「そういえば島の中で乗るカートが別荘のガレージに置いてあったわ。失敗失敗」
「そっちの方が安全そうでいいですね。後で消しちゃいますよ、このクルマ」
「えー、もったいない。運転の練習が出来ると思ったのにー」
「教習所に行きなさいよ」
流石にこの規模の島だと、移動手段も用意してあるらしい。
が、基本的に使用人任せだったお嬢様は、島に来るまでその辺も失念していた。
そして、案の定黒アリスのオモチャは三つ編み文学少女にロックオンされていた。
俗世間を離れた島と言う事で、解放的だったり治外法権だったり色々箍が外れるのも、黒アリスの想定の内ではあった。
木々の間からは、白い砂浜に、眩く光を返してくる海面が見える。
季節はとっくに秋なのだが、九州の方はまだまだ暑い。泳ぐのにも良さそうだ。
だが、その前に荷物を置き、昼食の用意をしなければらない。
緩やかな登りになっている道路を軽装甲機動車が走って行くと、間もなく林の切れた広場に出る。
周囲を疎らな樹木に囲まれ、そこに姿を現したのは、木造二階建てで幅広の建物。
東と西にそれぞれ海を見下ろす、荒堂家の隠れ家的別荘であった。
「ひゃー! すっごいステキー!!」
「あー着いた着いた」
「こんなに早くまた来るとは思わなかったでござるな」
「へー、こういうのも良いよねー」
アイドルがはしゃぎ、オーナーのお嬢さんが感動も薄くボヤき、親友が勝手知ったる感じで玄関に歩いて行き、何故か三つ編み文学少女は上から目線。
黒アリスや他の魔法少女達もクルマから降り、建物を見上げて溜息をついていた。
「えーと、鍵はどこにあったかしらね―?」
「持って来なかったのでござるか!?」
「いつも置いて行くらしいのよ。確かガレージの中にあるランタンの中……ランタン?」
ちょっとばかり不安になる会話をしながら、ビキニカウガールは建物と木々の間にある小屋の方へ。
シャッターではなく横にある扉から入ると、10秒もしないうちに出て来てしまう。
「黒アリスガール! 明りちょうだーい!」
「何言ってるんです。あたしが出せるのは銃とかだけだって、ストーン姉さん知ってるでしょうが」
島に電気は通っているが、ガレージ内の照明のスイッチがどこにあるのか、暗くて分からないのだとか。
いつも使用人に任せっぱなしにしているから以下略。
まぁ黒アリスはこう言ったが、ビキニカウガールの言わんとする所は分かる。
文句を言いながらも、黒アリスはオプションでフラッシュライトの付いているハンドガンを出し、ビキニカウガールに渡した。
ついでに自分の分も出し、手伝いをしにガレージへ入った。
ランタンって物を仕舞うような物じゃ無かったよね? とか言いながらも、黒アリスがそれを振ると、中からカラカラと固い物が跳ねる音が聞こえた。
ランタンの底になっている燃料タンクを開けて傾けると、予想した通りに銀色の鍵が転がり出て来る。
使ってみると、別荘の鍵に相違なかった。
何でこんな所に、と思うかもしれないが、何せ滅多に来ない遠く離れた別荘である。
万が一鍵を忘れても取りに戻るワケにもいかず、また、他の人間が来る事もまずないのだから、現地に置いておく方が確実だし便利なのだ。
それに、もしも押し入ろうする者が来たならば、窓を壊せば良いだけの話し。
多少派手に破壊行為を行っても、周囲に音を聞かれて警察が来たりはしないのだから。
この別荘に関しては、防犯装置が付いていたが。
そのように多少もたついたが、別荘の扉は開かれた。
一階は広いリビングにキッチンとダイニング、が複数。バーに和室まである。他に、露天風呂や東の崖に面した中庭など。
地下には食糧庫、倉庫、ワインセラー、上下水道等のインフラ施設。
二階は寝室が複数と広いベランダ。ちなみに各部屋にもバスルームがある。客室も想定しての物らしい。
非常に贅沢な作りになっていたが、別荘の中を楽しむのは、後回しだ。
予定では、別荘に荷物を置かせてもらった後、道具も借りて砂浜で昼食を、という事になっている。
が、その前に、
「では皆さま、よろしいでしょうか」
割り当てられた各部屋に荷物を置いて来た魔法少女達は、一階玄関前エントランスに集合していた。
何であたしやねん、と思いながらも言われるがまま音頭を取る黒アリスは、魔法少女諸氏を見回し準備が出来ているのを確認すると、徐に彼を呼び出す。
「ジャック」
「お雪サーン」
「エド!」
「剋天号!」
「カミーラー?」
「タケゾウ先任伍長、出頭!」
「ちょーさん、よろしいですか?」
魔法少女達の声に応え、サングラスにアロハの厳つい巨漢がトイレから、着崩した着物姿の美人がキッチンの裏口から、林の中から白馬と栗毛の馬が、地下室への入口から悪魔ボンテージファッションの金髪美女が、ガレージから旧帝国海軍の白い制服を着た少年が、廊下の入口の陰からくたびれたスーツのおじさんが、マスコット・アシスタントが一斉に姿を現した。
「こ、こうやって見ると凄い事になっている…………」
もとから出ていた海賊7人とアイドルの私設マネージャーも加えて、総勢23名に馬2頭の大所帯となってしまった。
そうそうたる面子を前に、黒アリスも呆然と呟く他ない。
「四五朗大変よ! お姉ちゃんが! エロいお姉ちゃんが! 新顔のエロいお姉ちゃんが!! ヒャッハー!!?」
「荒堂家の跡取りで雅沢の生徒会長なのですからストーン殿自重するでござる」
「ヤベぇ!? ちょーさんが!! 『仏のちょーさん』が!!?」
「お馬さんだー!?」
お互い初見となる魔法少女とマスコット・アシスタントの組み合わせも多い。
ビキニカウガールが悪魔ボンテージの美女を見て興奮のあまり嘶き、海賊ヤンキーがドラマに出て来るベテラン刑事を見て戦慄いている。
かと思えば、アイドルが無邪気に白馬に飛び付き、喋るのに驚いてひっくり返ったりしていた。
何でまたこんなビックリ人間――――――馬を含む――――――大集合の構図となったのか。
それは、巨大生物戦やそれ以外の時にも、お世話になっているマスコット・アシスタントの皆様方にも打ち上げに参加してもらおうという主旨によるものである。
呼べば現れ、いつの間にか消えてしまう、魔法少女のマスコットキャラクター達。
銃砲兵器系魔法少女の黒アリスも例に漏れず、今までどれほど助けられたか。
しかし、家族に自分が魔法少女だなんて言えない、ましてやマスコット・アシスタントが見た目40台のゴッツいオヤジだなんて言えない雨音は、日常生活においてロクにジャックを解放してあげる事も出来ない。
だが今いるのは、俗世間とは隔絶された、関係者以外立ち入り禁止の島。
マスコット・アシスタントの皆には、魔法少女以上に羽を伸ばしてもらいたいものであった。
と言いながらも、働き者のマスコット・アシスタントは、率先して仕事をしてくれる。
浜辺での昼食の為、必要な道具や食材を持ち、全員での移動。
南の端にある桟橋から別荘までは遠かったが、別荘から砂浜までは歩いて3分から5分という近さ。カートを使うまでもなかった。
タイヤの径が小さいので、砂浜の上ではあまり使えない乗り物だったが。
「どの辺が良いのかな? どこでやっても良さそうだけど、かえってどこでやって良いか分からない」
「プライベートビーチもはなはだしいデスねー」
「じゃ波打ち際で良いんじゃないかしら?」
「潮が上がってきたら面倒でござる。少しは考えるでござるよ」
「つか日差しちょっとキツくないスか? 木の近くとか良いんじゃないスかね?」
「ターフあったからそれで良いんじゃないー?」
「じゃ、あの木の側にターフ建てよう」
と、考えが有るんだか無いんだか分からない先頭を歩く少女達により、浜の方へ突出して立つ木の横に、クーラーボックスが詰まれて行った。
この木の横に、オリーブグリーンの細長い袋から出されたアルミの骨組みが突き立てられ、側面の無い天幕のような日除けが作られる。
同時に、大型のコンロが組み立てられ、炭が積まれ、火を付けようと上手くいかず、すったもんだした末に、仕方なく黒アリスが火炎放射機を作り出して強引に着火した。
屋外用の携帯テーブルとイスも組まれて並べられる一方、クーラーボックスからは一口大に切られた肉や野菜、魚介といった食材が、生のまま刺された鉄の串が取り出される。
ジュースや炭酸飲料、極少量だがアルコール飲料もテーブルの上に置かれ、皿やナイフ、フォークといった食器も人数分揃えられた。
コンロの炭の上では、肉が炙られ脂の弾ける音が立ち、炭特有のキナ臭さと香ばしさの入り混じった匂いが漂っていた。
人数が人数なので、調理されている食材の量もそれなりに多い。
しかし、コンロが業務用かという勢いのサイズだったので、生産力に問題はなく。
「ぼちぼち焼けるわね。やっちゃう?」
「黒アリスガールが言ってくださるかしら?」
「なんでやねん。ホストはストーン姉さんでしょ?」
「いやー黒アリスさんでしょー、ここは」
「共通の知り合いとなれば黒衣殿しかいないでござろう」
「みんなもう知り合いみたいなもんじゃんよ?」
だから誰がやっても良いんじゃないですか、という黒アリスの抵抗は、じゃあオマエがやれ、という見事なブーメランとして返って来た。
この展開が読めないとは、雨音にしては迂闊である。
こうなっては是非もなく、黒アリスは息を整えると、魔法少女やマスコットアシスタント達に聞こえるように、気持ちいつもより声を張った。
「えー……皆さん、6月の巨大生物戦から色々大変な事がありましたが、今日までお疲れさまでした。誰も死ななくて何よりでした…………」
魔法少女の親玉が話しを始めると、ほかの魔法少女とマスコットアシスタントたちが一斉に注目していた。
いきなり殺伐とした語り口調だったが、修羅場を経験した魔法少女達には、黒アリスの気持ちに大いに共感できる。思い出せばあんな顔にもなるだろう。
振り返ると、よく生きてたな自分、と思わずにはいられない魔法少女ばかりであった。
「アレから能力者が当たり前に世間に出てきたり、そのせいで騒ぎになったりで、それに巨大生物戦の事で話しておきたい事があったり、とにかくあたし達の間でしか出来ない話もあると思うので、こんな機会を作りました。
でも今後の為の対策がどうとか面倒臭い話にするつもりはありません。
溜まってるモノを吐き出して、美味し物食べて遊んで、ついでにお互い魔法少女同士でちょっと仲良くなっておくと、後で良い事あるんじゃないかな、と」
今後の為、なんて言うとヘンなフラグになって、本当に何か面倒な事が起きる気がしてしまう。
そんな事あるワケねぇ、と思いたくても、吸血鬼だって巨大生物だって超能力者だって実在した以上、もはや人生何が起こっても不思議ではない。
なので、明確に「何か大事が起こった時の為に相互の関係強化を計る」とも口にしない。
もっとも、黒アリスの性格を知っている少女達は、隠されたその意図に薄々感づいていたが。
どこまでも気苦労を背負込む魔法少女である。
「勉強とかお仕事とかで忙しいヒトも来てくれて、ありがとうございました。色々とお世話になっているマスコット・アシスタントをフル参加させる事に賛同してくれたのにも感謝。
別にあたしの島じゃないけど、2泊3日、ゆっくり休んで楽しんでくれると、あたしとしても安心です。
そんじゃ、乾杯の音頭は島のオーナーの娘さんに」
「ウソ!? ここでわたしに振るの黒アリスガール!!?」
軽く先ほどの反撃を喰らい仰け反るビキニカウガールお嬢様。
やられっ放しではない黒アリスである。仕事はしただろうし。
とはいえ、多少面食らっても、ヒト前に出るのは慣れているお嬢様の生徒会長である。
「そんな目新しい物がある島じゃないけど、いくら騒いでも周りは気にしなくて良いし、逆にいくらでも静かに過ごせますから。使用人とかはいないからセルフサービスでよろしく。でも、島にあるのは全て好きに使ってね。
それじゃカンパーイ!」
ビキニカウガールが満たされたグラスを掲げて乾杯を告げ、魔法少女とマスコット・アシスタント達もそれに唱和した。
時刻は午後3時05分。
黒アリスとビキニカウガールの挨拶の間に、肉も良い塩梅で焼けて来ている。
こうして、やや遅い昼食と、2泊3日の島打ち上げ生活は、このように始まった。




