0014:不本意ながら見た目的には大差が無いのも事実だった
第×××話『危うし秋山勝左衛門! 逆転の一手!!』
南蛮渡来の生き人形軍団相手に、矢尽き刀折れる勝左衛門。
人形遣いの蘭の呪術師の手に落ち、勝左衛門もまた、生き人形へと変えられようとしていた。
しかし勝左衛門はまだ諦めていない。
侍たる者、武士道とは死ぬ事と見つけたり。死中に活有り。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もアレ。
フハハハハ愚かなり巫女侍、秋山勝左衛門。我が堕悪根棲陰陽術、偉大なりし泥門閣下より授かりし我が力に敵うとでも思うてカ。
無様に地を舐める勝左衛門。
その身を邪法にて侵し尽さんと、呪術師の魔手が迫る、
そしてこの瞬間を、勝左衛門は待っていたのデス!!
「スキありデェェエェエエエエエエエエス!!!!」
「ぶわぁぁあぁぁアアああアアぁぁァアア!!!!!?」
まさに間一髪。
気を失った女の子に卑劣な行為を働こうとしていた外道を抹殺――――――まだ死んで無いが――――――した旋崎雨音は、あらゆる意味で物凄い格好になっている巫女装束の少女を、助け起こそうと、した。
が、その瞬間。
雨音の首から髪の毛一本分しか離れていない所を、秋山勝左衛門の大刀の切っ先が、物凄い勢いで通り過ぎていく。
後一歩踏み込んでいたら、雨音の首が胴体から泣き分かれになる所だった。
「こッ……!? こッッ……!! このバカ娘ぇぇええええ! あたしまで殺す気かッッ!!?」
「ハッ!? バ、伴天連の暗黒呪術師は!? 敵の黒幕が勝利を確信シタ瞬間、秋山勝左衛門起死回生の一撃! ここから巫女侍の逆転劇が………逆転……アレ?」
尻もちをついた雨音が涙目で抗議するも、夢から醒めきってない勝左衛門には、まるで聞こえていなかった。
ついでに、下が褌だけになっているのにも気が付いていなかった。雨音にもフォローのしようがなかったのだ。
健康的かつ肉感的な脚と、太腿とお尻を丸出しにしたままの勝左衛門は、状況が掴めぬといった様子で、キョロキョロと周囲を見回す。
倉庫や建物の壁際に転がる無数のヒト型。
道路の真ん中で、真っ裸の下半身を――――――というか股間を――――――押さえて気絶している、トレーナーにフード姿のひょろ長い体格の男。
電柱に突っ込んでフロントをヘコませている警察車両に、近くに倒れている警察官。
そして、アスファルトに座り込み勝左衛門を見上げている、胸元が大きく開いた超ミニスカエプロンドレスという、少々普通ではない格好の金髪美少女。
「斬り捨てゴメーン!!!」
「わぎゃぁぁあぁアアぁァアア!!!!」
勝左衛門は徐に大刀を振り上げると、黒いミニスカエプロンドレスの少女へ思いっきり振り下ろす。
だが、またしても間一髪。
雨音は真っ二つにされる前に、その場から転がり勝左衛門の凶刃から逃れていた。
被害は最小限で済んでいた。
「か、かかかカティー!!! アンタあたしに喧嘩売ってんの!!? 戦争したいの!!? いいわよ買うわよ今のあたしはちょっとスゴイわよ!!?」
「んなッッ!!? なしてマネキン人形がその名を知ってるデスか!!?
「ハァ!? あ…………!」
そこで雨音は、忘れていた事実を再確認。
(しまった……あたしも今変装しちゃってるじゃんか)
今の雨音はカティ――――――勝左衛門の正体で間違いないらしい――――――と同様、普段の姿とはまるで違っていた。
カティは分かり易いキャラクターをしていたので、外見が違っても雨音にはすぐに分かったが。
何処から説明したものかと雨音が迷う一方で、喋る等身大フィギュアに正体を掴まれたと思い込んでいる秋山勝左衛門=カティの動揺は尋常ではない。
「い、生かして帰すワケには逝かないデース! 可哀想ですがあの世に逝ってもらうデスよ!!」
「はぁッッ!!? ち、ちょっと待ちなさいよそりゃあたしもこんな見た目ですぐに分かれってのも酷な話かもしれないけどだからってあのキモい人形と一緒にされるのはマジへこみするわ! あたしはカティだってすぐに分かったわよ!!?」
「キモいとか言うな三次ビッチが神造形師によって産まれた拙者の嫁ディスてっとヌッ殺すぞゴルルァァアア!!」
「ギャァァァア!! この面倒な時に面倒な変態まで!!?」
思い込んだらそのまま突っ走る、普段の猪武者っぷりを変身して更に悪化させているカティだけでも始末に負えないのに、このタイミングで人形使いのひょろ長男まで再起動してしまった。
前門の暴走巫女侍、後門のハーフストリーキングwith等身大フィギュア軍団。
何故か挟まれる形となった雨音が、手にした大砲を使う以外に取り得る手など、存在しやしなかった。




