0006:先進国から来た癖に、セクハラという言葉は知らんぷりした
貞操の危機にあった女子大生を救ってしまった事で、正義に萌える――――――誤字に非ず――――――爆竹金髪少女、カティーナ=プレメシスは完全に調子に乗ってしまう。
それからというもの、両親――――――古米国総領事と秘書――――――が留守にしっ放しであるのを良い事に、夜毎街を徘徊し、悪――――――というより獲物――――――を探して歩き回っていた。
が、日本の治安の良さは半端ではなかった。
最初の夜が運が良かった(?)だけで、その後は何の事件にも出くわさない。
(ニホンの安全神話は健在デース……)
それ自体は喜ばしい事だ。
始めからカティに火を付ける事件自体が無ければ、もっと良かったが。
アテもなく、空が白み始めるまで歩き回れば、睡眠時間などあろう筈もない。
これで学校生活に重きを置いていなければ睡眠時間の確保を優先するのだろうが、カティにはそれ以上に優先しなければならない事があった。
「寝不足? また……時代劇の一気見でもしてた?」
「エーと……お、鬼平は見始めると止まりまセーン…………」
それとなく探りを入れる雨音に、カティはポケポケと気の抜けた表情で、適当な返事を返す。
カティにとっては雨音は癒しの存在だ。授業中は寝ていても学校には来る。
不意に、この親友になら……と、カティは全てを話してしまいたくなるが。
「……きちんとご飯食べてるの? 寝ないと背が伸びないわよ?」
「ウー……」
二重の意味でさり気ない雨音の気遣いが物凄く嬉しく、カティは机越しに、雨音へと抱き付いていた。
「ぅおい……!?」
柔らかく良い匂いのする楽園にあって、小さな悩みは後回しに。
「ハフー……アマネのおっぱいは寝心地さいこーデース…………」
「アンタはあんまり無いもんね。だから牛乳も好き嫌いせずに――――――――いだだだだだだ苦しい苦しい」
「…………アマネのおっぱいはカティのモノだから無問題デーッス!」
失礼な物言いに胸を締め上げて報復しつつ、カティは親友の胸の谷間から、雨音分をたっぷりと摂取した。
なお、雨音とカティがじゃれる――――――というよりカティが一方的にじゃれ付く――――――のは今に始まった事ではないので、クラスメイトは「また始まった」、と生暖かく眺めているだけであった。




