未来屋
こちらは、未来屋です。未来はいりませんか?
自分のやりたいことから、目指す学校・職業まで。
すべて、こちら未来屋がお売りします。
はい、お客様。
理想の未来が欲しい、ですか。
ありがとうございます。
いえいえ、お金はいりませんよ。
貴方が一番幸せだと感じている瞬間に、私のことを思い出してくれるだけでいいのです。
それだけのことをしてくだされば、私は何も求めません。
ええ。本当にそれだけでいいのです。
本当です。
『医者になりたい』ですね。
素敵な夢です。
……まいどありがとうございました。
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それから数年が経ち、『お客様』は無事医者になることができました。
しかし、仕事に夢中で未来屋のことなどすっかり忘れていました。
自分が医者になれたのは、実力だと。
そう思い込んで。
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――数年後――
お客様。お代をまだ貰っていませんでしたよ。
ちゃんと思い出していた?
嘘はいけませんよ、お客様。
私は知っていますから。
それでは、貴方に売った未来を返してもらいましょうか。
医者という地位を。
嫌だ?
……お客様、何を言い出すのですか?
貴方は万引き犯なのですよ。
それでも抵抗しますか?
……仕方ありません。
クーリングオフにしましょう。
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『お客様』が気が付くと、数年前に未来屋と出会った公園にいた。
「って、あれ……?未来屋って、何だっけ?」
なんだか、すごく長い夢を見ていた気がする。……まあ、いいか。
『お客様』は家に向かって歩き出した。
『お客様』が家に帰ると、そこは空き地だった。
「え……?」
たしかにここが家のはずなのに。
隣の家に住んでいた人に尋ねると。
「この場所に家が建ってたのは、2年前までだよ。前に建っていた家の息子さんが医者になって都会に出て行ったもんだから、旦那さんたちは近くのアパート借りて、ここを壊したんだ。かなり古かったからねぇ」
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こちらは、未来屋です。
未来はいりませんか?
この後、『お客様』はどこで生活するのでしょうか…。気になります。
未来屋を忘れないようにお気をつけください。




