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魔王様のリコル  作者: aaa_rabit
魔界扁
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リコル様、交流を深める

連続投稿第一弾。続きは明日の予定です。

「忌々しい。なんであの子ばっかり」


 水晶球には麗しき美貌の魔王に抱かれて眠っている女が映っている。豊満な胸が零れそうな際どい恰好をした女は苛々と整えられた爪を噛んだ。なぜ自分ではなくあの女が選ばれたのか。

 美しい魔王の隣にはあたしのような女こそが相応しいのに。最初に会ったのが自分であれば今頃あそこにいたのは自分だろうと女は確信していた。


「魔王様を手に入れるのはこのあたしよ。あんたは相応しくない」


 美しい顔を醜悪に歪めながら女は嗤った。そして男達はそんな女をうっとりと見上げながら手に足に腕を伸ばした。





 召喚されてからかなり経った。最初は日付を数えていたのだが、今はそれすらしていない。相変わらずアリサは魔王様のリコルとして飼われている。シェナの講義はなくなり、魔術の訓練以外は好きな時間を過ごしている。処構わず魔王様がアリサを拘束することはあるけれど至って平穏に暮らしていた。


「それにしてもつまんないなぁ」


 アリサの身体は以前と変わらない。成長期は終えているから後は緩やかな老いが待っているはずなのだが、訊くところによると強大な魔力を持つ者はほとんど老いな……こほん、成長しないそうだ。永遠の20歳というやつらしい。髪とか爪は定期的に切っているので代謝はしているのだろうけれど。


 少しずつ魔力の制御を憶えてくるのに伴い、行動範囲が広くなったアリサには専属の従者が付いている。彼は竜族の族長の末息子でサハンの弟さんだ。竜族は魔界でも群を抜く魔力を持っているそうで、ルーデリクスの首輪によって制限されている私の魔力に当てられることがないのが一番の理由だ。しかも魔術に秀でているので教師としても優秀なのである。魔力を自覚するようになったアリサは以前よりも増しているようで、外せば正気を保っていられないとジェイルさんが教えてくれた。自覚があるか無いかの差は大きいのだ。


「ザイ。腹踊りやって」

「ハラオドリ?何でしょうかそれは。教えてくださればやりますよ」


 この従者はとっても真面目な美少年。金の髪と金の瞳を持つソプラノボーイは人形のように可愛いのだがかなり堅物で融通が利かない。それを見越して専属にしたとしたら嫌だなぁ。


「外に出たいよ~」

「我慢なさって下さい。今は四年に一度の大議会の準備に追われているんですから」


 夏のオリンピックならぬ春の大議会。魔界に住む一族のお偉方がこぞって参加する大規模な議会が行われるのだ。そのため今やすっかり茶飲み友達のシェナや魔術の先生であるサハンは領地に戻っている。ザイことザイステールも戻らなくて良いのかと聞いたところ、彼はまだ成人していないので問題ないらしい。


 ルーデリクスも帰ってくるのは日にちを跨いでからで、朝は風呂だけ一緒に入って直ぐにお仕事に行ってしまう。話し相手はザイだけという味気ない日々を送っているのだ。ルーデリクスも話し相手としては不的確だが、ここ二年で何となく言いたいことは判るようになっていた。魔王翻訳機、ジェイルには負けるけれど。


「もう我慢の限界!ちょっと遊んできます」

「どこへ?」

「城門。門兵さん達と仲良くしてくる」


 いざというときのために。脱走とかする時便利だと思うしね。


 というわけでランニングです。これだけぐーたらしてると絶対太ると思ったのは大違い。なんせ城の端まで10キロあるので移動で十分消費できるのよ。お陰様で元気溌剌なんだけど、ドレスがねぇ邪魔なんだ。


 魔界では高貴な色=黒で纏えるのは魔王様だけ。ルードのリコルである私も黒を許されてる。というか黒服しかもらえない。着れれば別にいいんだけどさ。デザインが違っても同じ色だとちょっとつまらないよね。着せてもらってるから文句は言えない、というか却下された。(既に経験済み)


「アリー様。僕が運びましょうか?」

「いらないっ、けど涼しい顔で走られるとむかつく」

「は?」

「な~んでもない」


 肉体構造からして違うのでしょうがないけど悔しいじゃん。汗一つ流さずに走ってるってさ。ずるい。







えーと、短めですが、きりの良いところで一旦切ります。その分後半長いのでお許しを。

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