フラッシュ+衝撃=?
新章です。newです。短いです。
「え、誰?」
「リコル様?」
「今、声が聞こえたような……」
しかもかなり低い、ダンディーな声が。あれでもっと落ち着いた話し方ならさぞかし素敵(な声)であろう。乱暴なところが残念だ。
一通り幻聴に対する評価を下して、何してるんだろう自分、と少し落ち込んだ。頭の中の妄想に一人突っ込みなんて痛すぎるよ!!疲れてるのかな?うん、きっとそうだ。私の睡眠時間を削るルードが悪い。昨日の夜だって散々……。あー、駄目駄目。忘れろ、私!
今更ながらに隣にウォーリーがいることに気づき、アリサは固まった。
やってしまった。
「あれ。もう終わったんですか?残念ですね。面白かったのですが」
「デスヨネー」
うう、恥ずかしすぎる。
何となくばつが悪く思いながらも、アリサは作業に戻ることにした。ルードとは目で会話が成立してしまう間柄なだけに、最近では声に出すことが少なくなってきている。これはちょっとまずい兆候なのではないだろうか?例えば誰かに助けを求めるとして、目で訴えたところで判るだろうか。眼力を鍛えなければまず無理だ!だったら眼力を鍛えればいいのか。ところで眼力って鍛えるものだったっけ。
湧き上がる疑問に考え込みながらも、今度こそ手の平から炎を出して手紙を翳す。
『燃やすん』
「アリサ!」
「じゃねぇーつってんだろ!」
幾分か切羽詰まったルードの声が私を呼び、驚いた弾みで手元から手紙が舞い落ちる。しかし手紙が床に落ちることはなく、空で眩しく発光したかと思うと、代わりに地面を叩いたのは四本の足だった。
急な光のせいで視界が白い。慣らすように何度も瞬きしていると、急に何かに引っぱられた。
「え、何?」
「行くぜ」
「どこへっ……うわぁっ!」
首に生暖かいものがかかった次には、ぽいと大きく放り飛ばされる。下から吹き上げる風を全身に浴びたと思えば、身体が何かに軽く衝撃を受けて止まった。次いで今度は正面から受ける強い風。
一体何が起こったのか判らない、瞬間の出来事であった。