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魔王様のリコル  作者: aaa_rabit
魔界扁
12/66

クリスマス企画という名のちょっとした日常編

今後に繋がる一幕を書いてみました。

ラブ糖度は皆無。クリスマスすら無理やりくっつけた感が否めないなんとも微妙な内容になってしまいましたが、それで良ければ読んでやってください。

「そっか。今日はクリスマスなんだ」


 一年という概念があまりにも希薄なこの世界ではどこまで正しいのか判らないが、少なくともアリサが数えた限りでは今日はクリスマスなのだ。


 本から顔を上げた私をルードがきょとんと見返した。その間にも手は休まず動いているのだが、視線は何それ?と語っている。


「うーんと、クリスマスっていうのは神の息子かなんかが生まれた日を祝う日なの」


 神の息子、と聞いてルードの目が不機嫌そうに細められる。いつになく露わな感情に、アリサは珍しいと目を瞬いた。考えてみれば神って魔王とは正反対に位置しそうだし、やっぱりお互い啀み合っているのかな?うん、そう考えればルードが不機嫌な理由も判るかも。嫌いな奴の誕生日なんて祝うはずもないし。しまった。


「とはいっても私の国は外国の祝祭日にかこつけてご馳走を食べたりプレゼントを贈ったりと、まぁ神様を祝うよりも寧ろそっちがメインというか、キリストなんてぶっちゃけどうでもいいというか……」


 べ、別に言い訳じゃないんだからね!


 ところが、アリサの思惑とは全く別に、ルーデリクスは深く考え込んでしまった。会話?をしながらも絶えず動いていた手は止まり、心なしか疲れているようだ。窓の外を睨みつけるようにして、溜息なんてついている。間違っても今日も長閑で良い天気だなぁとか考えているのではないだろう。


「えーと、なんかごめんルード。気を悪くしちゃったよね?」

 あのルードにここまであからさまな態度をとられると、どうしようもなく悪いことをしてしまったかのように思える。ごめんなさいと頭を下げてみたのだが、ルードといえば不思議そうだった。どうした?って……え?それは、こっちの台詞なんですけど。


「え、いや、だって、私の失言のせいでしょ」


 わたわたと意味もなく慌てる私をルードがいつもの如く膝に呼び寄せ、落ち着けとばかりに頭を軽く撫でる。


 怒ってないの?


 恐る恐る顔を上げれば、別に怒っているわけでもないようだ。ほっとしながらも、じゃあさっきの態度は一体何だったのだろう?と首を傾げると、再びルードが嫌そうに溜息をつく。訳が判らない。


「うーん、こういう時にジェイルさんがいたらなぁ」

「呼びましたかリコル様?」

「うひゃい!!?」


 ジェ、ジェイルさんたらいつの間に?咄嗟にルードに抱きついちゃったじゃないか。あー、ご免ねルード。


「えー俺のせいじゃないですって。寧ろ俺のお陰……あはは。それはご自分でどうぞ」


 服を握り締めた際に寄ってしまった皺を直す。生地が良いのか、すんなりと元に戻った。良かった、良かった。……あれ、どうしてルードはまた不機嫌に?困惑していると、ぎゅっとハグされた。


「????」

「暫くそのままにしてやってください、リコル様」

「はぁ……?」


 加減を憶えたせいか、抱きしめられる力は強くはないのでそのまま放っておく。最初の頃は骨がみしみしと悲鳴をあげるほど強かったり、触れるか触れないかくらい弱かったりと、統一感がなかったことを考えれば進歩したといえる。基本魔属の皆さんは力が強いですからね。なんせ、本体が本体なんで。ルードは生まれた時から人型らしいけど、その力は人外で、流石魔属というかやっぱり私から見れば規格外だ。要は総じて皆さん頑丈で、力も強いというわけです。そんな彼等にしてみれば、人間種なんて魔属でも最弱で(肉体的な意味で)簡単に壊してしまう存在だそうな。私はルードのリコルで滅多に他の者に触れられる機会なんてない――というかこの世界に来てリコル認定されてからは一度もないはず――けれど、相手は細心の注意を払っているらしい。尤も皆さん、伊達に歳をとっている訳ではないので、その辺りのコントロールはばっちりですが。


 ルードの頭を今度は私が撫で撫で。ほんっとに羨ましい髪質だなぁ。


「……というわけなんですよ」

「あー、成る程」


 ここまでに至った経緯を簡単に話せば、苦笑が返ってきた。というか、ジェイルさんまで笑顔の裏に隠せない疲労の影が見えるんですけど。


「以前俺が魔界の他に天界と人界があるって言ったの憶えてます?」

「はい」

「天王……人界では神とか言われている天界の王がいるんですけど、その人とまぁ、色々あって」


 一体何をしたんだ、天王とやら。色々の中に多分な意味合いが含まれているだろう事は難くない。あのジェイルさんが諦観するくらいだ。


「兎に角あんまり気にしないでください。その内リコル様にも判りますから。……はぁ。憂鬱だ」

「げ、元気出してくださいね、ジェイルさん」

「ありがとうございます」


 とぼとぼと哀愁漂う背中が扉の向こうに消えていく。本当に何をしに来たんだろう、ジェイルさん。ルードに用事とかあったのではないだろうか?まさかわざわざ説明するために?……それこそまさかね。





 アリサの元に天王からの招待状が来るのはもう少し後のこと。


本編は明日の更新予定となっています。

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