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海を渡る橋

どこまでも続く海

そしてそんな海にかかる橋

ただそれだけが水平線の向こうまで続いていた。


いったいどれだけ歩けばここまでたどり着けるのかもあとどれだけ歩けば陸地につくのか

いや

陸地が見えるのかすらわからない橋


出発したはずの陸地はとっくの昔に水平線の向こうに消えていた。


この橋を使う人間はさほど多くない

目的の陸地の方向から人が来ると談笑が始まる程度には人は多くない。

ただ橋は広い。

どこでも休憩をとれるように幅はかなり広くつくられていた。


橋を使っている人間の数を考えても橋が大きすぎる。

もともとは多くの人間が使っていた橋ではあったが

陸路の発展により使用者が多少減り

海路が開発され、船が使われるようになったことにより

橋を使う人間は

歩いて世界を見て回ることに意義を見出す者や

船を使えるだけの金がない者くらいになっていた。


ただ治安は悪くはならなかった。

どちらかというと良くなった。

人が多く行きかっていた時はしょっちゅう問題が起きていた。


人が多く通るということはそこで商売すればそれなりには売れるということである。

そして商売人と購買人との間で言い合いが起こる


これの繰り返し。


しかし今は人通りが少ないため商売人なんてものは存在しない。

そして橋は想像を絶するほど長い。

ゆえに食料や飲料も多く準備しなければならない。

なくなったとしても橋は海にかかっているので魚を取ればいい。


つまり他の通行人を襲って身ぐるみを剥ごうとしたところで

このご時世に橋を渡る人間は弱いか強すぎるかの二択といっていい。

弱いなら持ち物に期待できない。

強すぎるならどうしようもない。


喧嘩をするだけ無駄なのである。

だったら出会った通行人どうしで仲良く釣りした方がお得だという結論に

橋をいまだに利用する全員がたどり着いた。


いま、この橋は平和に使われている。

陸路では傍若無人な態度をとっている人々ですら

橋を通るときは気のいい旅人となる。


だからこそ橋で関わったことのある人が陸路での悪評を聞くと

驚くことが往々にしてある。


そんな橋だが

いつ

だれが

どうやって

海に橋を架け切ったのか

それを知るものは誰もいない。

文献にすら残されていない。


陸路すらままならなかった時代には既に存在していた橋

いままで補修すらしたことのない橋


それでも海にかかるこの橋は

人々に愛され続けている。

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