第6話 Why is it in with Shell ?
あれから数日、 博士の造り上げたスライム人造生命体SL2-Sは相変わらずの様子だった。
活動範囲は基本に研究室の一角と偶に博士が連れ歩く場所くらいで、その行動は常に気まぐれであり、何か考えがあってのものとは思えない半ば反射的なものが殆ど。
そんな人造生命体SL2-Sだが、やはり生物であることに変わりはなく、あるときは与えられた餌を、またあるときは偶然近くを過ろうとした小型生物を捕食することを繰り返し、かつては小瓶に収まる程度だったサイズが今では大瓶に収まるかどうかも怪しいサイズへと成長していた。
「う~む、さすがにここまで大きくなるともう大瓶ってわけにもいかなくなってくるか。そうなると次を考えなきゃならんわけだが……」
ここは食堂の一角。
食事中の博士が食べかけのパンを千切り足下へと放った。
そこではスライムがそれを沼に沈む木片であるかのように静かに取り込み食している。
「はは……。
もうすっかりと大きくなっちゃって。
このサイズとなるとお鍋とかバケツってことになるんですかね……」
相席していた蟹型の怪人カルキノスが相槌を打つ。
なるほど確かな意見であるが──。
「ぷっ、寄居虫かよっ。
でも、どっちかといえば、こいつの場合は蝸牛って感じだよな」
ツッコミを入れたのはカルキノスの隣のスラッガーだった。
堅強な甲殻に被われたカルキノスと違い、強力なパワーを誇る強靭な肉体の彼であるが、実は蛞蝓型怪人だったりする。
「殻に閉じ籠ったスライムなんて聞いたことがないぞ?」
さらにツッコミで返しながらもその様子が脳裡に浮かび思わず苦笑する博士。
当のスライムは他人事のようにポコポコと泡を立てるばかりであった。