第14話 立札
実はこの作品、無謀にもネトコン13に応募しております。(笑)
とはいえ一話当りが700~800文字程度なくせにこの話で漸く14話目。
一応文字数制限なしともなっておりますが、さすがにこの文字数でこの話数ってのはねぇ。加えて未だプロットといえるものはありませんし。
なのでなんとかある程度の形は調えようと構想を練っていたのですが、甲斐もなく日だけが過ぎていき、気づけば今日に至ってました。
応募期限は2025年7月23日。今の調子じゃ何もしないままで終わってしまいそう。
ならばと開き直って、今できている分だけでもと慌てて投稿を再開することにしました。拙速は巧遅に如かずといいますしね。
でも、今度はいろいろと調整不足な齟齬が出てきそうで不安です。
鬱蒼とした森の中を調査隊は進む。
辛うじて届く僅かな日射しは、ただじめじめとした蒸し暑さを感じさせるばかりで、鳥たちの声さえも苛立った狂気の叫びのように聞こえてくる。
「ったく、とんだ貧乏くじだぜ。
せっかくの新領地といっても貰ったのはこんな未開の辺境地。貴族の仲間入りとはいえ実態はただの開拓要員で、そのくせ税金の上納は都並に求められるってんだからやってられないってんだよな」
一行の最後尾を歩く青年が後頭部で手を組みながらぼやく。
「まあ、中央の連中ってのはそんなものですよ。
ほんと、揃いも揃ってろくなもんじゃありません」
隣を歩く中年男性が彼を宥めはするが、その言葉は寧ろ肯定的。ふたりの今回の仕事に対するスタンスがよく理解できようというものである。
「ん? どうした?」
先頭を進む隊員たちが突然足を止めた。
青年が不審げに問いかけるが、返ってきた言葉は──。
「いえ、それが、なにやら気になる立札が……」
《これより私有地
無断での立ち入りを禁ずる》
「はあ? 何だこれは?
こんな僻地に所有者がいるなんて聞いたことがないぞ」
青年が補佐についてきた中年男性を訝しむような眼差しで見る。
「と、当然です。
たとえこれまで誰にも委ねられることのなかったとしても、ここはれっきとした王国の土地。況して今は辺境伯様へと任されているのです。その許可なく勝手に所有権を主張するなど許されることではありませんっ」
興奮気味に応える補佐官。
どうやら彼は青年にあらぬ疑いを受けたものと怯えているようで、その弁明に必死な様子だ。
「これはあれですかね。
辺境の僻地を隠れて開拓し一山当てようって連中の仕業ってやつ。
もしくは中央を追われた組織とかが密かに拠点を築いたとか」
隊員のひとりが他人事のように応じる。
「なんて不遜なっ!
これは王国に敵対する行為。決して許してはなりませんっ!
直ちに引き返し兵を率いて討伐しましょう!」
補佐官のこの提案により、この件は領主へと報告されることとなった。