さらば紗理奈、ダメにするヒモではいられない
先週くらいからか、アパートに帰っても紗理奈の様子がつかめない。
思えば雀荘の話をしても少しずつ盛り上がりに欠けてきてはいた…。
潮時なんて嫌な言葉は使いたくないし、思う事も止めたい。
そうじゃないのかもしれない
料理の話も少なくしてしまっていたし、麻雀以外の話も減ってしまった。
何より一緒に遊ぶ事が減ってしまっていた…。
バカだな俺は―アイツの気持ちを何も分かっていないのかもしれないな…
紗理奈は妙にカッコつけた俺が嫌になってきているんだな…
こんな雨に打たれて何も分かってないのは俺か…
ジャラジャラと牌を並べても何も感情がわかないし、人の言葉に耳も傾けられない…
今の関係そのものが間違いの大元なんじゃあ…
勝ってんだか負けてんだかも分からなくなってきやがった。
背中を押されてマスターに送ってもらったが
最後に本当の事を言えるだろうか―
本当は俺は大学生なんだ―
紗理奈が俺の事を聞いて回っていたなんて―
いてくれたなんて―
本当の事って何だろう―
何故か玄関のチャイムを鳴らしてしまい、
出て来た紗理奈には驚きは無く、半分の喜びと涙が見える―
「紗理奈、悪い」
「バカッ!!本当に貴方はバカ」
「賢いのに気付くのが遅いでしょ!!」
「どれだけ私が心配してたと思ってるのよー」
背伸びをして抱きつく紗理奈を見て、俺は自分の言葉が頭に出なくなった―
少ししてこのままじゃダメだと
「最後にご飯が食べたい。とびっきり美味しいのを」
「あと風呂に入ったら一緒にゲームをしよう。明日帰るよ」
バカバカと笑って俺の気持ちを迎えてくれた紗理奈はちっとも俺の物なんかじゃ無かったんだ。
お風呂で少しうつむいたあと一杯遊んで普通の兄ちゃんに戻れた俺は最後に紗理奈の横で寝た―
翌日にお別れのキスをしてサヨナラをする。
帰りの洋服まで用意してくれていた紗理奈の為にも今後しばらくは普通にするかと笑みを浮かべて紗理奈と過ごした街を後にするのだった―
さよなら 紗理奈
また巡りあえたらいいな