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雀力!麻雀列伝  作者: pon
2/7

雀力、さえずる鬼共!

「…オイ兄ちゃん、ちょっと勝ちすぎじゃねぇか…」

すっと席を立った俺に鬼がスーッと寄ってくる…


…なら倍プッシュ…受けますか…?


俺の声とは思えない俺の声で小さく呟くと鬼は本当の顔を出した。


「…いいだろう。ショバイ勝ち負けなんて興味ねぇ…。俺と差し馬を握れ…」


…差し馬は握りません。只し、俺が負けたら倍の倍払っても良い…


「小僧…。その言葉覚えておけよ…」


対面に座っていた男は俺の右側に座り直す。

別に対面ばかりを狙っていたわけでは無いが、俺の弱点でもある右手に座られてしまった。

強い言葉が俺の運気を下げてしまったのかな?という懸念になる。

俺は心の中で


『これは限定戦だ…』

と、心を決めるしかなかった…。


俺はいつも左手の相手には最新の注意を払う。

自分より上家の相手という意識と過去の苦い経験からだ。

上家の荒い技に苦しんだ事もあったしな。


それに流れを作るには上家を殺さないと自分の運気を上げれないと踏んでいたからだ。

 今日は下家からの放銃を二回喰らっている。安手とはいえ。


奇しくもいつも苦手意識のある下家をとられてしまった。

いつも対面を好んで座るこの鬼が実は着実に「見」に周って牙を研いでいたわけだ。


「小僧…覚悟しろよ…」

「さっき言った言葉も忘れるんじゃねぇ…」


親は対面から始まる。下家には絶好の条件…


『俺は喰われるわけにはいかない』


出だしもマズい…対面の親がツモりやがる。

下家はそれを見て嗤う…

俺に残された局は四局もない。

二局か三局だ…

それまでに二位にはいないと下家と闘う事も出来ない…


閃きと共にぶっつけ本番の策を立てる。親の連荘が止まらないこの状況、上家のリーチにわざと差しこむ。

これで三対一だ…


下家は舌打ちをする。

これで俺は四位…

ここで流れを寄せたい


幸い上家の上がりは満貫以下…

配牌も最悪に見える…


…ここは速さよりも高め聴牌だ…


親が来たこの局、この番の俺の配牌で俺が分かる!

二、三とおよそ三向聴、悪くない!

むしろ下家とやり合うには二位か良い。

下家からの放銃を狙うには上がって親を流すしかないんだ!


ロン!と対面からの振り込みで上がり、上家からのテンパイ流局、起家親からの差し込み。

…あとはツモか…。いや、四位を下家に喰らわせるには俺が鳴きをいれてブラフで振り込ませるしかない。


頭は空っぽだ。いつもと違い牌の上下も気にしない。流れは淀んでいない。紗理奈が笑って見てくれている。


少しスッキリした所で俺は自分の上がり役を宣言する。

そしてポン、ポンと続け様に鳴きを入れる…

途端に汗をかく下家。対面と上家は俺の味方になろうとするだろう…


そこを揺さぶる


カンと一声上げて残る牌は少なくなった。

王牌を1枚あけて三人に戦慄が走る…


俺は言う


四位が俺と差し馬を握れ、と。


焦る三人に下家があけてはいけない牌を倒し俺は下家を飛ばし1位が決まる。


平謝りをする三人と談笑し俺は少しスキップで紗理奈の元へ帰るのだった。



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