表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

ほら吹き地蔵 第四夜 これでいいのか

【お断わり】今回も三題噺ではありません。


ボクのうちの裏庭に、かなりいいかげんなお地蔵さんが引っ越して来ました。

でもまあ、とりあえず、ありがたや、ありがたや。


**********


その男は昭和38年(1963)日本に生まれた。


大きな自然災害も社会的変動も経験していない、東日本大震災を除けば。


裕福ではないが不自由もない家庭だった。

母親は病的な嘘付き。

父親は自分の感情をコントロールできない男だったが、その男は社会人にはなれた。

偏屈者にもなったが。


学校を卒業してお硬い会社に就職したが15年後に会社都合解雇された。

勤労意欲を失って3年遊んだ。


その後、中途入社した会社は今どき珍しい温情的な会社だったが12年しか持たなかった。

文学への未練が断ち難かったのである。


10 年で貯金を使い果たしたのでアルバイトで食いつないでいるが、まだ文学を諦めていない。

その証拠に、こうやって文章を書いている。不要不急の文章を。


こうやってダイジェストしてみると、苦労と言うほどの苦労はしていないし、お世辞にも堅実とは言いかねる。

金のかかる趣味はなかったが貯金も不動産もない。


本人は「生かしておいてもらえるだけで、ありがたい」と思っている。

これからも、何も考えずに生きて、そして死ぬのだろう。


妻にはずいぶん迷惑をかけたが、いや、かけているが、子どもにつらい思いをさせた事はない。いないからだ。


「こんなブレーキもアクセルもない。ハンドルもあるんだか無いんだか分からない人生で、いいんでしょうか」とお地蔵さんに問いかけたが、答えてくれない。


きっと本気で祈ってないからだろう。


「助けてください。助けてください」と本気で祈れば、お地蔵さんは必ず報いてくれる。

たとえそれが死であっても。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ