4、ミドリ+帰り道
「・・・というわけで一緒に帰ることになったんだけど・・・」
「・・・・・・」
上での詳細を言い終わる頃には碧の顔はあからさまに嫌そうに歪んでいた。
そこまで嫌そうにしなくても・・・。
「何・・・その顔・・・」
「・・別に・・・決まった事なら仕方ないか」
碧はそう言って思いっきりため息を付いた。
・・・何・・その言い方・・・!
ムカツク~!!
「お待たせ~・・・どうしたんだよ二人とも」
用事を終えて翠達の元へ来たときに葵が見たのは翠を包む目に見えるほどの険悪なムード。
「別に、何も」
「・・・・・・」
碧はさらっとごく普通に答えたが翠は納得がいかないという風に目の前の人物を見ていた。
「用事は終わったんだろ?帰ってやることがあるんだ」
「わかった。急ごうか」
ニコニコと翠の元へやって来た葵は小さい声で話しかけた。
「ごめんね翠ちゃん。あいつちょっと口下手なんだ・・・でも根は良い奴なんだよ」
根は良い・・・本当だろうか。
そんな疑問を抱きながら、先に学校を出ていた碧を追って翠と葵は学校を後にした。
「そうだ翠ちゃん。俺これから君のこと『ナツミ』って呼ぶとこにしたから」
無言が続く学校からの帰り道、葵がいきなり切り出した。
「へ・・・?なんで?」
「ほら、ミドリだと碧とかぶってややこしいだろ?」
「でも、何でナツミ?」
「名前、夏目 翠だろ?名字の『なつ』と名前の『み』を取って『ナツミ』」
「・・・ナルホド」
お好きにどおぞ、と返すとありがと、と帰ってきた。爽やかな笑顔付きだ。
何故か顔が熱くなって葵から目をそらした。
目をそらした先に碧が移る。
何ともおもしろくなさそうな顔をしている。
やっぱり私嫌われてるのかな?
そんな事を考えていると、突然二人が立ち止まった。
「え?」
「じゃね、ナツミちゃん俺、家こっちだから。また明日ね!」
と葵は手を振りながら真横の道へ入っていった。
「・・・・・・え・・・」
えぇぇえ!!?
こんなに早くいなくなるとは聞いてないよ!?
・・・葵がいなくなった、ということは・・・。
「なにしてる。行くぞ」
いつまでも横道を見つめている翠に不機嫌そうな声がかかった。
翠は碧に気付かれないようにため息を付いた。