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2、ミドリ+みどり

「あの、今朝はごめんなさい。急いでたから・・・」

指定された席に着いた翠は取りあえず話す口実として謝ってみた。

「・・・別に」

河合は返事すらしたが相変わらず窓の外から目を離さない。

「えっと・・・私夏目 翠っていうの」

「さっき聞いた」

聞いていたんだ。

少し感心しながら、よろしくと続けた。

即答で返された投げやりな言葉使いはあえて触れない。

「河合くん・・だったよね?下の名前なんていうの?」

「・・・キミに言う義務は無い」

「・・・・・・」

・・なに・・・こいつ・・・無性に腹が立つんだけど・・・。

「教えてくれても良いじゃない・・・?」

低い声で言ったその言葉に呆れ顔でやっとこっちを見た河合はため息をつきながら答えた。

「・・・ミドリだよ河合 碧」

ミドリ・・・読み方一緒じゃない・・・!

「へぇ、男の子でもミドリって名前有るんだ」

クスクスと笑いをこぼしながら言った翠だったが碧の睨みをきかせた視線で笑うのを止めた。

「・・・普通初対面の子に睨む?」

「二度目だろう・・・?」

「・・・」

今度は碧が冷笑しながら言った。

間違っていないから言い返せない・・・けど・・・・・・こいつ・・ムカつく・・・!

また窓の外へ顔を向けてしまった碧を睨みながら心の中で呟いた。



昼休みに入った。

河合 碧はチャイムが鳴ると共に姿を消している。

「始めまして夏目さん!」

元気良く話しかけてきたのはクラスメートの女の子二人。

二人は心底感心したように話しかけてきた。

「スゴいね夏目さん!あの河合くんと会話するなんて!」

「え」

「ホント!あの河合くんが会話するなんて・・・!夏目さん河合くんと何かあったの!?」

「えっと・・・?」

『あの』って・・・何?

二人の会話を聞いてかクラスメート達が翠のまわりに集まりだした。

「ホント。俺なんか返事してくれたこともないぜ」

「いつもだんまりで何考えてんのかわかんないもんねぇ」

「そこが良いんじゃない!頭も良いし運動神経もバツグンだし!」

「それを言うならB組の双葉君だって・・・」

「あとは双葉みたいに人と楽しく話すということを覚えてくれりゃあな・・・」

「そうだよな。表情もいつも一緒でちょっと怖わいし」

(河合くんって・・・ぶっきらぼうなのかな?)

周りの人達の会話を聞きながらなんとなくそう思った。




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