1、ミドリ+出逢い
夏目 翠は高松高校への道を走っていた。
茶色く長い髪の毛がバラバラと乱れている事などとうに気にしていない。
「転入早々遅刻だなんてしゃれになんないわよ!?」
あそこの十字路を通り過ぎると学校はすぐだ。
もつれそうになる足を懸命に動かして十字路の角にさしかかった時。
ドン!
「キャァッ」
翠は何かとぶつかってしりもちをついてしまった。
「痛ったぁ・・・何?こんな所にカベ・・・?」
ぼやきながら前を見た翠の目に映ったのは同い年くらいの男の子の姿。
翠と同じ茶髪で顔も整っている。
(・・・かっこいい)
瞬間に痛みも忘れそう思ってしまった。
「・・・大丈夫か?」
いつまでたってもぼうっと座り込んでいる翠に痺れを切らしたのか、その男の子が翠の顔を覗き込んで聞いてきた。
「え・・・あ、はい!」
当の翠は男の子に見とれていたために、いきなり話しかけられ、しどろもどろになりながらなんとか返事をした。
「そ・・・んじゃ」
翠の返事を聞くやいなや男の子はスタスタと歩いて行ってしまった。
「・・・え」
普通は謝るとか助け起こすとかしない・・・?
「・・・礼儀というものを知らないの?」
自分も謝っていない事に気付くことなく、ブツブツ呟きながら立ち上がって制服に着いた砂をはらった時に気づいた。
「あ、遅刻する」
その言葉を待っていたかのように学校のチャイムが響いた。
「お~いてめぇら席着け~」
先生の一声で騒々しかった生徒達が席に着いた。
「知ってるやつもいるだろうが、今日からクラスメートが一人増える」
入って来いという言葉を合図に廊下で待っていた翠は教室に足を踏み入れた。
黒板に翠の名前を書いている先生からぐるっと教室の中を見渡す。
「・・・ぁ」
窓側の一番奥の席に座る人物を見て小さく声を漏らしてしまった。
(今朝、ぶつかって謝りもしなかった男の子だ)
男の子は転入生に興味が無いのか、窓の外を眺めていてこちらを見ようともしない。
「夏目 翠さんだ。元はあの有名な水島高校に通っていたらしい。・・・夏目、お前の席はあそこな」
言いながら先生が指さしたのはあの男の子の隣の席。
「河合、夏目がわからないことがあったら教えてやれよ」
その言葉を聞いて、河合という男の子はチラッとこっちを見たかと思うと、ため息をつきながら窓の外に向き直してしまった。
恋愛?小説は初めて書きます><
甘々なのは苦手なのでちょい甘?を目指したいと思います^^