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○○王子と婚約者の私

コスモス王子と婚約者の私

掲載日:2023/12/30

応募の都合上、本文は千文字で終わりです。

 私の婚約者は王子様。

 王位継承順位は、そこそこ低い。

 ご公務とかも、本当にそこそこ。

 殿下はいつも暇そうで、とうとう暇を持て余し。

 研究室に籠もって、おかしな研究に手を染めるようになってしまった。


「でんかーっ! 今日も婚約者の私が様子を見に来ましたよーっ!」


 無駄にそこそこ広い研究室。私は淑女にあるまじき大声で呼び掛ける。

 ここは殿下と私だけの研究室だ。


「でんかーっ! どこですー? でん——」


 がらくたの並ぶ棚。その陰で何かが動いた。


「そちらにいらっしゃったのですね、殿下」


 棚の陰に回り込もうとして、私はふと動きを止めた。

 ピンク。

 何か大きなピンク色が見えた。


「ピンク……?」


 殿下……ピンク色を身に付けるような人だったかな?

 もしかして、そこにいるのは殿下ではない別人?

 ピンク髪の……男爵令嬢?

 高貴な殿方を婚約者から奪い取る————


「まさかそんな……」


 そんな人いるの?

 いるとして……うちの殿下を私から?

 ピンク色は動かない。

 殿下と私だけの研究室なのに……これは裏切りだ。

 どこの泥棒猫か知らないけれど……許せん!


「そちらに隠れていらっしゃる方! 出てきなさい!」


 ピンク色は動かない。

 こちらの声は聞こえているはずだ。


「出てこないのなら、こちらから行きますよ……」


 棚の陰に回り込む。

 白衣を引っ掛けた背中がうずくまっていた。


「あれっ、殿下……?」


 その背中が立ち上がった。

 肩から下は私の知っている殿下だ。

 だけど頭が……。


「でっ、ででで……」


 ……人間の頭ではない。

 色は……ピンクだけど。

 そのピンク色の頭が、ゆっくりと振り向いて————


「……ででででにゃぎゃぁああああっ!?」


 殿下の頭は大きなピンク色のコスモスの花になっていた。

 世にも恐ろしいコスモス怪人だ。

 正直わけが分からない。


  *


「————治った……助かったぞ、婚約者殿」

「いえ……」


 殿下の身振り手振りの指示で、解毒剤を使った。

 ピンク頭が枯れ落ちて、ぼさぼさ頭が生えてきた。

 正直気持ち悪かった。


「なんでコスモス頭なんかになっておられたのですか?」


 頭コスモスなんですか?

 あっ、次にこの人が問題を起こしたら、そう言ってやろう。


「いやその……コスモスが好き、って」

「はい?」

「君が『コスモスが好き』って言ったから……」


 言ったと思うけど……。


「コスモスになって、俺のことも好きになってもらおう、と……」


 殿下……。


「殿下」

「な、何かな、婚約者殿」

「私は……コスモスも、殿下も、どちらも好きですよ」

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