初めての友達 初めての
その日の放課後、未だに何故麗奈が自分を買い物に誘ったのかわからず混乱している治だが、それでも時間とは過ぎて行くもので、混乱の元であるギャルが近づいてくる。
麗奈「やっと授業終わったね。準備よかったらいこっか?」
治「あぁ…。」
刺すような視線を浴びながら、治と麗奈は外へと歩き出す。治としては、早い所どっか行ってしまいたいが、麗奈は、足首が固定されているのか、上手く歩けないようで遅い。そうなると当然、多くの人に見られてしまう。
(ねぇ、なんで天音さんが男と歩いてるの!?)
(彼氏!?彼氏かな!?でもなんか地味じゃない?)
(そんな……ウソだろ……)
(脳が壊れる…)
治に読心術の心得はもちろん無いが、それでも自分がとても場違いで、目立っていることくらいはわかっていた。
治「……肩貸そうか?何なら背負ってもいいけど。」
麗奈「え?あー、恥ずかしいからおんぶはちょっと……。肩だけ貸してもらえる?」
治としては、恥ずかしいから早い所逃げたくて出した提案だったが、麗奈にとってそれは恥ずかしいらしい。
それでも、治に肩を貸してもらう事で多少は楽になったのか、そこから外まではスムーズに移動できた。
治は、玄関で一旦麗奈に待ってもらって、駐輪場から自転車を持ってきた。この自転車は、普段釣りに行くときに使っているロードバイクではなく、シティサイクルという商品名で売られている所謂ママチャリだ。
学校の駐輪場は、自転車がなぎ倒されたり、盗まれることがよくあるらしいので、治が登下校に使う自転車は、こちらの安い自転車にしていた。お値段は、治のロードバイクの10分の1である。
治「俺が支えながら押すから、天音さんは自転車に乗って。多分その方が足も痛くないし、楽だと思う。」
麗奈「……あ、そういうことか。2人乗りしようって事かと思った。」
治「2人乗りだとおまわりさんに怒られるでしょうよ。」
治としては、善意100%だった。しかし、麗奈はかなり動揺していた。一瞬前まで、恋愛物の定番である自転車2人乗りをするものだと思っていたのだ。これは、彼女にとってかなり憧れのあるシチュエーションであり、同時に心の準備が必要なものである。麗奈は、その見た目とは裏腹に男に免疫が無いのだから。
今だって、表情がそこまで変わっていないのでわかりにくいが、これは表情筋が強張っているだけであり、冷や汗も出ていた。
麗奈を自転車に乗せた治は、そのまま自転車を押しながら携帯ショップへと進む。互いに会話も無くなって、静かになってしまったので、治は気になっている事を聞いてみる事にした。
治「なんで急に一緒にスマートフォン買いに行くって言いだしたんだ?正直いきなりですごくびっくりしたんだけど。」
麗奈「いや、アタシのせいで前のスマホ壊れちゃったんでしょ?だから弁償とかそういうのした方が良いかなってさ……。」
治「あーそういう。でも、機種変更にかかるお金は殆ど無いみたいだし気にしなくていいよ。携帯電話の会社からは、早く交換してくれって催促が毎月のように来てたから、どのみちそのうち交換することになってたんだと思う。あとスマートフォンじゃなくてただの携帯電話ね。」
麗奈「携帯電話とスマホって違うの?」
治「違う。……まあ、俺はスマートフォンを使った事ないんだけれども。」
麗奈「スマホ使ったこと無い人っているんだ……。あと、アタシのスマホも無くなっちゃったから、新しいの買わないといけないんだよね。」
治「そういえば川から上がったあとそんな事言ってたっけ。お悔やみを申し上げます。」
麗奈「悔やんでも悔やみきれません。」
治と麗奈は、そんな取り止めの無い事を話しながら、ゆっくりと進んでいく。
そして2人は思っていた。「あれ?こいつ案外話しやすいぞ?」と。
治は、今までまともに会話したのが大人ばかりで、同年代とこんな風にしゃべったことが無かったし、喋ることなど無いと思っていたため、この状況に驚いていた。
一方の麗奈も、中学生までの陰気な自分を払しょくするために、陽キャの見本であるギャルの格好をしてみたものの、内面まで変わったわけでも無かったため、こうやって男子と会話できている自分に驚いていた。
そうしているうちに、2人は携帯電話ショップへとたどり着いた。
この店の名前は、『ジャングルリンク』という。ジャングルのように色々なものがあるお店にするという考えで名付けられたこの店は、複数の携帯電話会社の商品を扱っており、どの会社のどの機種でも買えると評判だ。というか、この町で新品の携帯電話を買おうとしたら、ここか郊外の大型電気屋しかないのだが。
自転車を停め、麗奈に手を貸して降ろすと、2人で店内に入る。
入ってすぐ、女性店員が声をかけてくる。他に客もいないようだが、これでやって行けるのだろうかと考えながら治たちはカウンター席に座らされる。
店員「本日は、どのようなご用件でしょうか?」
治「前々から使っていた携帯電話が水でぬれて壊れちゃったんですよ。携帯電話会社からもハガキで交換するよう言われてましたし、スマートフォンデビューをしようかと。」
麗奈「私は、スマホを川に落として無くしちゃったので、新しく買いに来ました。」
店員「なるほど、それではお揃いの機種するという事でよろしいですか?」
治「おそろい……?」
麗奈「……あ!いやっあのっちがくて!アタシたちそういうのじゃ!?」
治は、誰かと何かをお揃いにするという行為についてよくわかっていなかったが、麗奈は、自分たちが店員からどう見られているのかわかってしまった。正直、男子と2人で買い物な時点でかなり特別な事だと思っていた麗奈は、この時とうとう脳内が乙女になる。
麗奈(アタシたち、周りからはカレシとカノジョに見えるんだ…!)
そんな事には気が付かず、治は考えていた。自分は、そもそもスマートフォン自体が初めてであり、難しいものは好ましくないだろう。かといって、折角現代の情報端末を購入するのだから、ある程度性能の良いものにしたい。
ペットショップの店長も言っていた。「この手の物は、最新のいっこ手前くらいが一番いいんだ!アプリが対応しなくなるまで期間もあるし、値段も性能もお手頃!下手に完全な型落ち買うとすぐ時代に取り残されるぞ!」と。ちなみに治はアプリという物すらよくわかっていない。携帯電話の時代にそんな言葉は使われていなかった。
治が自分の考えを店員に伝えると、店員はニッコリと笑いながら、おすすめを紹介する。
店員「そうなりますと、このバナナフォンSEがおすすめです。バナナフォンシリーズの中では、お値段が抑え目となっております。ですが性能は、スマートフォン業界でもかなり上の方に位置付けられておりまして、一般のユーザーの方々であれば、これだけで十分だと感じて頂けるはずです。更に、こちらは防水となっておりまして、水にぬれても壊れません。スマートフォンの代表シリーズですので、アプリが未対応ということがほぼないのも安心ですね。他社のスマートフォンは、性能がピンからキリまでございますが、どれにも共通して言えることが自由度が高い分ある程度理解してないと使いこなせないということです。それに比べバナナフォンは、設定を弄れる部分は限られていますが、その分使い方が直感的に分かりやすいデザインとなっており、スマートフォンに慣れた方から初めての方までお勧めできる商品となっております。おまけに頑丈でゴリラが投げても壊れないと言われています!」
治「は……はぁ……。」
治には、7割程度しかわからなかったが、なんだかこれでいい気がしてきたため、バナナフォンSEに決めてしまった。
麗奈「一番高い奴にしようと思ってたけど、なんかSEでいい気がしてきたから私もそっちにしよ……。」
という事で、結局治と麗奈は、お揃いのスマートフォンを使うことになった。
女性店員は、できたてカップルの甘酸っぱさとそこそこ高額なスマホを売りつけてやったぜと内心ホクホクになっている。カップルではないのだが。
女性店員「初期設定を行うために10分ほど充電させていただきたいので、その間店内にあるアクセサリをご覧になっては如何でしょうか。スマートフォンと同時購入の場合に限り、4000円までサービスとなっておりますので。」
そう言われて、治と麗奈は店内を見て回る。
治「アクセサリってこういうスマートフォンにつける商品の事……だよね?何を基準選べばいいのかわからない……。」
麗奈「じゃあアタシが選んであげようか?結局何にもお礼できてないし、そのくらいさせてよ。」
治「それじゃあお願いしようかな。」
というわけで、麗奈がウキウキしながらアクセサリを選ぶのを治は眺める事になった。治には、違いが色くらいしかわからないため、裏の説明などを読みながらフムフムと楽しそうに選ぶ麗奈を尊敬の目でみている。途中から麗奈もその事に気が付き、心の中で軽くドヤッとしていたが、実の所麗奈もデザインくらいしか見ていないのは秘密だ。
10分程と言われていたにもかかわらず、30分もアクセサリ選びにかけてとうとう麗奈が選んだのは、オーソドックスなカバーガラスと、これもオーソドックスな手帳型のカバーだ。因みに、ネイビーブルーが治ので、ピンクのが麗奈のだ。本人たちは気がついていないが、わかりやすいお揃いである。後ろから盗み見ていた店員が心の中でガッツポーズをする。
店員「出縄様は、全く新しくスマートフォンをご購入するということになりますので、これで設定は完了となります。前の携帯電話が動く状態であれば、アドレス帳などのデータは移行できたかもしれないのですが……。」
治「あ、それはしなくて大丈夫です。アドレス帳何も登録してなかったので。」
麗奈「んえ!?」
治「……そんなにビックリされるとは思わなかった。」
店員「そ、そうですか……。えーと、天音様は、前のスマートフォンもバナナフォンのシリーズだったようなので、バナナアカウントで紐づけできればデータを復旧できると思われます。」
麗奈「本当ですか!?よかったぁ…。」
因みに麗奈はアドレス帳データはあまり気にしていない。連絡先なんて後からまた聞けばいいだけだ。どうせ両親と、友達のしか入っていないのだからと思ってる。重要なのは、スマホゲーのデータだ。ここ数日ログインできなかったせいで、連続ログインが途切れたたのがかなりストレスになっているほどやりこんでいるデータだったので、それだけはなんとかしたかった。クラスの男子は、誰一人知らない事だが、治や麗奈のクラスにおいて、一番のゲーマーは麗奈である。逆に一番ゲームをやらないのは治だ。なにせ持ってないし、持ってる友達もいないので。
無事2人ともスマートフォンを入手し、携帯電話ショップを後にする治と麗奈。来た時と同じように、麗奈を自転車に乗せて治が押していく。麗奈は足が思ったより痛いようで、治の提案で家まで送っていくことにしたのだ。
さっきと同じように、取り留めもない会話をしていた2人だが、不意に麗奈が先ほど気になった事を聞くことにした。
麗奈「あのさ、連絡先いっこも登録してなかったって本当?」
治「ん?本当。」
麗奈「誰とも連絡取ってなかったとか?」
治「いやぁ、連絡はとってたけど……。なんていうか、電話番号覚えてれば大丈夫だったからさ。家族は、父親は物心ついたときにはいなかったし、母親は連絡とりあえるような状態じゃなかったから。ペットショップの店長とか旅館の女将さんと仲良くなったから、その人たちの連絡先だけ覚えてたんだよね。だからわざわざアドレス帳に登録する必要も無くて。昔の固定電話の時代なんて、みんなそんな感じだったらしいよ?」
治は、自分の今までの家庭環境が普通じゃない事はわかっていても、それを周りがどう思うかについてはあまり考えが及んでいなかった。麗奈としては、友達いなかったんだな……程度の話かと思って聞いたため、思わぬパンチのきいた話にどう対処していいかわからなくなった。
麗奈「……こんなこと聞いていいかわからないんだけどさ、寂しくなかったの?」
聞いてから、やっぱりこんな質問はしなかった方がよかったかとも思った麗奈だったが、言ってしまったものはもう遅い。戦々恐々としながらも、どんなふうに答えが返ってくるか待っていたが、治は特に気分を害した様子もなく答えた。
治「寂しい、っていうのはあんまり無かったと思う。毎日必死金稼ぎが忙しくてそれどころじゃなかったし。何より、家族とか友達と過ごした経験があんまりないから、一人だと寂しいって認識もなかったんじゃないかな。多分美佳から聞いてると思うけど、母さんが死んだあと美佳と従姉弟だってわかってさ。母方の親戚の家にお世話になるようになって、自分で金稼いで生活するっていう状態からは脱却したけど、それまでの生活がそこまで嫌だったかっていうとそうでもない気がするしなぁ。あ、今の生活はすごく充実してるし、爺ちゃんたちには、すごく感謝してるぞ?趣味なんてものをもてたのも、親戚の家にお世話になるようになってからだし。でも、明日その関係が無くなったとしても、多分それで泣いたりとか、そういうのはあんまりないかもなぁ。」
麗奈「……そっか。」
麗奈は、治が寂しいと思えない事が寂しいと思ってしまった。治に非があるわけでも無く、そんなことを自分が思う権利はないのかもしれないが、それでも、寂しい事だと感じてしまったのだ。何より、そんな事を思ってしまって、険しい顔になってしまった自分を治が不思議そうな顔で見ているのが悲しかった。
暗い雰囲気のまま、それでも歩みは進んでいく。
麗奈の案内でたどり着いたのは、治の祖父の家とはまた違ったデザインだが、恐らく遜色ないほどの西洋建築の豪邸だった。実は、麗奈は良いとこのお嬢様である。というか、美佳の友達のギャルグループは殆どがお嬢様繋がりで出来上がったものだ。殆どのメンバーがギャルの格好をしているだけで中身は良家のお嬢様だったりするものだから、他グループのガチのギャルとは多少摩擦があったりする。
治の手を借りて自転車から降りた麗奈だが、何かを言いかけて躊躇う様子を見せた後、覚悟を決めた顔で治に提案した。
麗奈「あのさ、メッセにアタシの連絡先登録しない?」
治「メッセ?」
麗奈「連絡取り合うアプリで……、あーアタシがインストールしてあげるから!ここをこうして……はい!アタシ登録したから!これでアタシたちフレンド……友達ね!」
治「お……おう。友達、友達かぁ……。」
麗奈「何?文句ある?」
治「いや、友達出来たのってもしかしたら初めてかもしれないなって思って。そっか、俺にも友達ってできるものなんだな……。」
麗奈「……そりゃ、友達くらいできるでしょ。」
治「少なくとも今までの俺には縁遠いものだったよ。だからなんか嬉しいな。」
麗奈は、あまり社交的な性格をしているわけではない。なので、今こうしているのはかなりの冒険だ。それでも、治と今日こうして話して、そのまままた一人にすることは、麗奈にはできなかった。
麗奈(まあこれでも?アタシは男子から人気あるみたいだし?そりゃ喜んでくれるだろうとは思ったって言うか?だから嫌がられなくてホッとしてるなんてことは無くて…!)
麗奈が頭の中で恥ずかしさにのたうち回っているとはつゆしらず、治は友達ができた喜びを噛みしめていた。
治「今すぐは無理かもだけど、天音さんの他にも連絡先もっといろんな人とも登録したいな。うーん……、そういえば美佳なら登録してくれるか……?」
麗奈「……あのさ、アンタって美佳と仲いいの?」
照れたりホッとしたりと忙しかった頭に、冷たい風が入ってくるのを麗奈は感じた。麗奈本人はこれがどういう感情なのかわかっていないが、とにかく美佳と治の関係を聞きたくなってしまったのだ。同時に、聞きたくないという気持ちもあるのが困り者だ。
治「美佳と?どうなんだろう、そこまででもないか?まともに話すようになったのって従姉弟だってわかって爺ちゃんちに住むようになってからだからなぁ。稽古の後に俺の部屋に寄って話したりする程度?」
麗奈「だってさ、今まで気が付いてなかったけど、美佳って呼び捨てしてるしさ。」
治「呼び捨て?いやそりゃそうでしょ。名字で呼んだら親戚の誰なのかわからなくなるし。」
麗奈「……あ」
麗奈は、自分が今勘違いしていたことに気が付く。仲がいいから呼び捨てだったのではなく、親戚の家だから苗字で呼ぶわけにいかなかっただけだったのだ。まあ実際には、美佳は美佳で治とは仲がいいと思ってたりするのだが。
麗奈「友達ならさ、呼び捨てでいいと思うんだよね。だからさ、その、アタシの事も麗奈って呼んでよ……。」
治「そう呼んでほしいならそうするけど、改めて言われるとなんだか照れるな……。」
麗奈「は!?でも美佳は自然に名前じゃん!」
治「いやそりゃ美佳は親戚だってわかったからさ!だからちょっと違うっていえばいいのか……。麗奈……でいいのか?」
麗奈「!?……うん」
繰り返すが、麗奈は男に免疫は無い。なので、親愛を込めて名前を呼ばれるだけでドキッとしてしまっても仕方ないのだ。彼女の名誉のために言うが別にチョロいわけではない。顔が赤いのも足の痛みを我慢しているからだ。そんな姿を見られるのが急に恥ずかしくなり、麗奈は治に背を向ける。
麗奈「じゃあ、今日は送ってくれてありがとね。」
治「こちらこそ助かった。今度何かでお礼するよ。」
麗奈「いや、今日は私がお礼したかっただけだから!喜んでくれたならそれでいいし……。」
治「そっか。……そっか。」
それを最後に、治が突然話さなくなってしまう。治の方を見れない麗奈は、何がどうなったのか確認できなくて、体感で数分、実際には数秒の時間を過ごす。
麗奈「……何?どうかした?」
治「いや、今日の買い物がこれで終わりだって思うと、なんていうか……変な気分でさ。もしかしてこれが寂しいって気持ちなんだろうか?」
麗奈「……そうなんじゃない?」
麗奈は、頭の中で叫んだ。「それ口説いてるでしょ!?」と。治にそのつもりはないが。治にとって今この瞬間は、初めての友達と別れて家に帰る状態なのだ。本来幼稚園とか保育所辺りで体験しておくべきことを今経験して気分が高揚しているだけに過ぎない。それでも、時間は有限で、子供は家に帰らなければならない。名残惜しいが、治は今度こそ帰る事にした。
治「今日は楽しかった。また明日学校で!」
麗奈「……うん、また明日。」
治が自転車にのって走っていく音が消えるまで、麗奈は家の玄関の方を見たままだった。自分でも流石に変に見えるのではと思う物の、絶対に赤くなってるであろう顔を見られるのは恥ずかしかった。
この日、麗奈には初めて異性の友達が、治には初めての友達ができた。
互いに軽くボッチ気質なために友達になるだけでも面倒な感じだが、それでもお互いがお互いを求めている事が嬉しかった。
そして、自分の部屋へと戻った麗奈は思う。「あれ?そういえばこのスマホカバーってお揃いにしちゃったけど、明日学校で色々バレちゃうんじゃない?」と。
そして、自分の部屋へと戻った治は思う。「この手帳の表紙みたいなの、どういう状態にして電話かけるのが正解なんだろう…。」と。