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歌声がつむぐ選択肢  作者: 一桃
55/66

常軌すら

こんばんは。

この章も終わりに近づいてきている模様です。


ただ書きたいが先行しているので、広報不足、努力不足、願望不足を感じておりますが、

1人でも多くの人に読んでもらえると幸せです、

         ※


「行くあては? サナレス」

「ないーー」


 追手が来ないことを知った状態で、アセスに質問されたサナレスは、本心を口にしていた。革命軍なんて集団の矢面に立たされるとは、食わせ者の大母ラァの操り人形になるようで気が乗らなかったし、ラーディア一族でジウスの本意に迫ろうとも思わなかった。


 今更、ーーずっと殿上人であったジウスとわかり合いたいとは思わない。


 かといって自分の後を追ってきているリンフィーナの元に、アセスと一緒に合流してしまうことは、本能的にややこしいことだと感じ取っていた。


「この状況で、行くあてがないですって?」

 驚いた声を上げるアセスには苦笑いを返すだけだ。


「私もラーディオヌの領土に貴方をお連れできない立場になってしまっているんですけれどね……」

「承知している」

 王族2人とも、行き場を無くしているからこそ、行く宛がないと言ったのだ。


 2人だけで走ってきて、肩で息をしたままの状態で、アセスは言った。

「ーーひとつだけ、居場所はあるんですけれど……、行きますか?」

「どこだ?」

 まあアセスの口にするところだったので、驚きはしなかったけれど、サナレスにとってその行き場は突拍子もないところだった。


「冥府です」


「ほう……」


 元々アセスは生と死の境界線が曖昧な男だった。その眉目秀麗さゆえに精霊にこよなく愛されており、動いていることさえ神の所業かと思わせるほど、人間味を帯びない。

 そんな彼からの居場所の提案だったからこそ、妙に納得してしまう。


「お前は今まで冥府で何をしてきたのだ?」

「ーー話せば長いのですが……、今冥府を預からせていただいております」


 いったんザンバラに切った髪が肩ほどに伸びようとしているアセスは、妖艶さを増す容姿で何食わぬ顔で事実を伝えてきた。


 さすがのサナレスも、心の中でアセスが言ったことを繰り返してみる。

 『冥府を預からせていただいております、だとぉぉ??!』


 動揺した心の叫びが表情に出ていたのか、アセスは弁明するように言った。

「冥府を治めていたヨアズ様が、黄泉の国の王を交代したいとおっしゃられ、私はこちらに戻りたいと願ったところ、それならば私が黄泉を統治するのが良いという見解に達しましてね」


「統治者となった次第です」

 アセスがただ天気の挨拶でもするような気軽さで告白してきたので、サナレスは顔を引き攣らせた。

 はははははっ。笑、笑、笑。

 2人で顔を見合わせている時は笑うしかないような展開だ。


 でもーー。

 サナレスはうつむいたまま考える。

 何をこいつは言っているのか? 

 冥府の統治者だと!?

 

 全然笑えない!

 くったくなく言うアセスの胸ぐらを、思わずサナレスは掴み上げた。


「お前!! それがどういう意味なのか、わかっているのか!?」

 アセスは生真面目に、答えてきた。

 それなのになんでもないことかのように微笑んでいる。

「わかっていますよ。私が、永久に冥府の住人として君臨しなければならないということですよね?」

後書き

感想、足跡、コメント、評価、ブクマが次の活力に。

何卒反応よろしくお願いします!


偽りの神々シリーズ紹介

1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後

5「炎上舞台」

5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」

6「魔女裁判後の日常」

7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

9「脱冥府しても、また冥府」

10「歌声がつむぐ選択肢」

シリーズの10作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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