次の標的
こんばんは。
書きたらず、追記する。
誤字脱字は、また時間のある時に直しますが、書きたてほやほやアップするのも「なろう」の魅力という解釈です。
※
「悔しい、悔しい!! 兄さん、サナレス殿下、想像してたよりもずっと悪いんですけど!!」
「そもそもいくら面影が似ていると言ってもおまえ……」
失敗することなど目に見えていた不遜な行為、よくもまぁサナレスが優しく、妹のようにしてきたルージェの命が消えていないものだと、ロイは安堵の息をついた。
サナレスの人柄を知っている自分は、彼が女子供を切り捨てたりはしないとは思ったけれど、それでもサナレスの過去に触れ、逆鱗に触れるかもしれないというリスクを考え、ルージェを止めてきたのだ。
けれど無鉄砲な妹分は聞く耳を持たず自信満々で、その自信はサナレスによって見事に木っ端微塵になっていた。
「だから最初に言っただろう? 歌姫として人気なのと、サナレス様に選ばれるかどうかは全く別問題なんだよ。あの人はさ、若い時は妓楼で遊び尽くして、その後も彼の女遊びの結果どれだけの女が人生狂わせたか……。レイトリージェ様の言葉、信じてなかったの?」
吐息混じりに確認すると、ルージェは鼻息を荒くする。
「聞いてたわよ。でも兄さん、あそこまで……。あそこまで天性の遊び人だったなんて、私ーー、私がっかりしているんです!!」
いや。
それはサナレスに対する好意に対する反面なのだろう。
がっかりとかじゃなく、完全に相手にされなくて怒っているんだね。
ロイはぽんぽんとルージェの肩に手を乗せた。
「目的はサナレスが革命軍に手を貸してくれることだろ? それがうまくいっているんだから、お前の計画は失敗したとしてもなんの問題もないよ」
「ーー!」
ルージェがサナレスに憧れていることはわかっていた。けれどサナレスに殺されなかっただけマシだと思うロイの横で、ルージェは不満足そうに感情を荒立たせている。
「あの人! 私に向かって出るとこ出てからって、あんなハシタないこと、ーー王族が普通言う!?」
「確かに出てないんだから、言葉通りに受け止めたら……?」
率直にそういうと、兄妹分の気安さで殴られてしまった。
貴族の娘だというのに。言葉遣いも態度も粗野で、ロイは関わり方を失敗したと嘆いている。
「まぁいいじゃないか。サナレス様はどういうわけか、アルス大陸の王族貴族を惨殺していることを否定していない。つまり我々と思いは同じで、王族貴族制度を廃する考えだということ。これほど強い味方はいないのだ」
サナレスは未だ、ラーディア一族とラーディオヌ一族には手出ししていないようだったが、先日ラーディオヌ一族総帥アセスが処刑台に送られ、ラーディオヌ一族を見限った。
それが証拠に謀反人として名乗りをあげてまで、ラーディオヌ一族の貴族街を焼き尽くしたのだ。
たとえルージェの目に見えて失敗する計画がうまくいかなくとも、千載一遇のチャンスはそこにあった。
「サナレス」
怒り狂うルージェをなだめすかし、ロイは朝食をとっているサナレスに近づいた。
「おはようございます」
「何食わぬ顔だな」
サナレスはチラリとこちらを見て不敵に笑う。
「ほんの子供の冗談ですよ」
「そういうことにしておいてやるが、ーー二度やったら愛想をつかす」
「御意」
でもご自身の気持ちを確かめるよい機会になったのでは?
そんな余計な一言を飲み込んで、ロイは深々と頭を下げた。
「お前が含み隠す言葉を想像すると、いつも不快なのだが……。私は成り行きで、この世界で長らく築いてきた、偽りの神々による支配を、いやそんな政権を白紙に戻さなければならないらしい」
「成り行きですって?」
貴方にしかできないことを、この人は軽々成り行きだと言ってしまう。
「成り行きとは、行きがかり上仕方なくということだから、その言葉通りだ。私は、神が王だと言う貴族制度を撤廃する。革命軍は目的を同じにするのか?」
「ーーはい。サナレス様」
「では次の標的はどうする?」
「ラン・シールド」
「やはりそこか……」
感想、足跡、コメント、評価、ブクマが次の活力に。
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偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー