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第9話 奇妙な夢

 自宅についた時、時刻は午前1時を過ぎていた。


 こんな遅くまで飲んだ日は、いつもならすぐにベッドで眠りこけてしまうが今日は頭が冴えてる。

 原因は黒月さんだ。彼女はいったい何者なんだろうか。


 見た目はかなり若いけど、雰囲気は落ち着いているし洞察力も鋭い。精神年齢は、俺なんかよりもずっと上だろうな。

 それに、ひとつ気になることがあった。ぶっちゃけ黒月さんはかわいいし、話をしても楽しい。でも違和感がある。うまくいえないけど、なにかがおかしい。


 そういえば、今日は不思議な光景を目にしたような……。


 たしか忘年会で栗栖さんに絡まれて、飲み直すために歌舞斗町にいって、その帰りに黒月さんが視界に入って――。

 ゾクリ。強烈な悪寒が全身を駆け抜ける。なんだ今のは?

――それで彼女から声をかけられて、投資について占ってもらって……。


 黒月さんとの会話はとても勉強になったし、なにより楽しかった。連絡先も教えてもらったんだよな。

 俺は一枚の名刺を取り出し、そこに記された黒月曜の三文字とメールアドレスをジッと見つめる。


「またなにか占ってほしいことがあれば、まずそのアドレスに確認のメールを送ってください。週末は基本的にここにいますが、出られない日もありますから」

 それが彼女の言葉だった。


 とりあえず、サクセスバイオの株を買ってみるかな。そしてまた、黒月さんに占ってもらおう。



 その夜、奇妙な夢を見た。


 俺が歩いていると足元に一万円札が1枚。周囲を確認しながら拾ってポケットに入れる。さらに歩いていくと、今度は一万円札が2枚。再び周囲を確認しながらポケットに入れる。

 歩けば歩くほど落ちている金額は増えていき、拾うたびにポケットは一万円札でいっぱいになっていく。俺は喜びのあまりスキップしていた。


 そしてついに百万円の札束が現れた。わき目もふらずにダッシュして大金をゲット! した瞬間、頭上から落ちてきたのは黒い鉄格子だった。

 黒い鉄格子は、蹴っても揺さぶってもビクともしない。最初からワナだったんだ……。気づいた時にはもう手遅れだった。


 閉じこめられた俺の背後で気配があった。慌てて振り返ると、鉄格子の外に黒月さんがいる。彼女は小首をかしげて、歪んだ笑みをうかべながら俺を見つめていた。


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