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あり

作者: 鵜塚 夕

 


 地面のいたるところに穴があいていて、そこから黒くつぶつぶとした生き物が無数にはい出てくる。蟻だ。

 蟻たちはどこを目指すでもなくウロウロとさまよい、やがて一人の人間の足元までたどり着いた。

 一匹の蟻が、その人間の足元に手をかけ、下ろし、また手をかけ、と何かを伺うようにしていた。

 そうして、しばらくすると突然に、何かに火がついたかのように一斉に、蟻たちはその人間目掛けて群がってきた。わらわら、わらわらと、巣穴から無限にわき出てくる。

 あたりの地面はうごめく蟻たちで埋め尽くされた。海のように波打つ黒い蟻たち。

 その蟻たちにたかられた人間は、足元から黒く埋め尽くされつつあった。足が黒い蟻に覆われた。まるで棒倒しの、砂山に立てた棒のようだ。


 その人間の表情は……みえない。

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