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初?デート

6月になり梅雨の時期になった。雨がジメジメとふり、とても過ごしにくい時期である。

そんな時期だが、今日はお天道様が顔を出してくれる。


俺は奴との約束のために準備をする。先週、俺が神田に頼まれていたものを手に入れるためのものを交換してもらったお礼というか交換条件ということで今日は映画見て、ご飯食べて、ショッピングに付き合う

ことになっている。


デートだよな?これってデートだよな?

なんて思わない。あいつとは高校時代、何度だって映画を見に行ったし、ご飯も食べたし、買い物にも

行った。

だから緊張なんてない、と自分に言い聞かせ、俺は待ち合わせの駅まで向かった。


暑い。奴はいつ来るんだ?俺は何度も時間を確認する。がよく見たら待ち合わせの5分前。


ちょっと早く着いてしまったのだが、暑いし、待ってるだけってすごく長く感じる。


「おーい、春きゅーん!」春きゅんやめろ。恥ずかしいから。


「ごめん、待った?」上目遣いでアリスが言ってくる。


「い、いや」なに目をそらしてんだ俺。

ちょっとときめいてるんじゃないよ俺。


「よかった。じゃ行こっか。」







「なんの映画みよっか?」


「ん?これじゃねーの」俺はアニメ映画を指差す。

アリスは懐かしむようにそして少し切ない表情を浮かべた。


「そうだね。よくこういうの見に行ったよね。」


俺らが高校の時に、よくアニメ映画を見に行った。それはアリスが好きだったからだ。俺はアニメのことは

よくわからなかったが、アニメ映画だけはよく見に行ったので嫌いじゃなかった。


「じゃあこれにしよっか。」俺たちはアニメ映画に決めた。






「んー、楽しかったね。」


「ああ、そうだな。」


俺たちはファミレスで飯を食いながら、先ほどの映画の話をする。ぶっちゃけ今回のやつはいまいちだと思った。正直泣ける話とかではなく、何かの続き作みたいで前の話知らないとわからなかった。

こいつは楽しんでたみたいだから、前作を見ているのか。つか知ってたなら教えてくれよ。


「いやー楽しかったなー」まあいいか、楽しんでくれているみたいだし。


「今度は何しよっか?」


「俺らといったらあれしかなくね?」


「あれ?」アリスは首を傾げている。

俺はニヤッとした。


「最高のショータイムといこうぜ。」






「はあっ!」「おらあっ!」右のスペースに玉を集めた、アリスはここで右行くしかない。これで左が

ガラ空きだぜ。「おらあっ!」決まったな。すーっとアリスはすでに左に寄っている。


「甘いよ!」ぱあっん!


完全に読まれていた。一気に打ち込まれた。


「やるじゃない」


「卓球で負けるわけにはいかないからね。」


そう、俺たちは卓球場に来ていた。高校時代はよくやった。組むペアが俺らは固定だったから(他に知り合いはいない)体育の授業では毎回やっていた。

あまりにもはまっていたので、放課後になると近くの卓球場によく行ったものだ。


「ねえ、せっかくやるなら何かかけない?」アリスが提案をしてくる。


「確かにな。ジュースでいいか?」


「いいよ。まああの日のように勝つのは私だよ。」


「いや、勝つのは俺だ。」


「行くよ!」






「すげーぞあの姉ちゃん。とんでもねえドライブだ!」「いや、あのにいちゃんも負けてねえ。とんでもねえカットがかかってやがる」ギャラリーが増えてきたな。そろそろ決着をつけたい。ここまではほぼ互角。

次の1本をとればマッチポイント。先に取った方がこのゲーム、勝つ。


「流石だね。ここまでとはね。」


「お前こそな。まだ腕は健在なようだな。」


「ふふふ。でももうここで終わらせてもらうよ。」


次はアリスからのサーブ。俺がカットで返すことを考えたら短めのサーブを繰り出してくるはずだ。そこで俺が返したときに打ち込んでくるに違いない。だが読めているなら、返すのは不可能じゃない。

決め球が決まらなければ、かなり精神的に優位に立てる。

3段攻撃を防げればチャンスはある。


「じゃあ行くよ、はあっ!」


来た短いサーブ。待ってま・・・長いだと反応できな・・・







「いやー、人に奢ってもらうコーヒーは美味しいなあ。」「そうか。」

アリスは満足そうにしている。自販機だと思ったのにまさかの喫茶店かよ。

高くついたわ。つか運動後によくコーヒー飲む気になるな。


あのあと裏をかかれあっという間にポイントを取られ負けた。くそ、さすが長年の付き合いがあるだけあるな。

だが、次は負けない。


「今度はディナーをかけてやろうね。」アリスはニヤニヤと勝ち誇った表情で言ってくる。

くっ、まじで次は負けられないな。


「あー、今日は楽しかったね。高校時代に戻ったようだよ。」


「そうだな。」


「あの時、よく卓球やったよね。卓球サークルのおじいちゃんとかに習ってね。本気で卓球部入るか迷ってたぐらいだしね」


そんなこともあったな。俺らも若かった。ぼっちでも比較的入りやすい部活かなとか色々考えたが結局やめた。


それから俺らは思い出話に花を咲かせていた。と言ってもアリスがほとんど一方的に話してくることが多かったが。

高校なんて暗い過去しかないと思っていてけど、こうして振り返ってみると意外と楽しかったなと思う。

こうやって思い出話に花を咲かせていると、なんだが年を取ったような気分になる。高校卒業してから半年も経っていないのにな。


散々話していたかと思うと、突如アリスが話すのをやめて、下を向いてしまった。


「ん?どうした?」


「いや、さ、なんかほんとに懐かしいなと思ってね。」どこか寂しげにそんなことを言い出す。


「ねえ。私が女になった時どう思った?」え?とつぜんですか?

「ぶっちゃけ驚いた。」アリスはだよねー、と少し戸惑ったような表情をする。


「けどな・・・」俺は続けて言う。


「見た目は確かに変わっちまったかもしれないが、大河は大河のままだ。昔と変わらない俺の親友だ。」

めっちゃ恥ずかしいことを真顔で言った後に真っ赤になる。何言ってんだ俺はああああああああ。


「ふふふ。やっぱり春きゅんは春きゅんだね。」とアリスは吹き出して笑う。

そんな笑うことか?


そんなアリスを見ていたら、俺も笑っていた。

まあたまにはこういうのも悪くないよな。


「やっぱり・・・」

アリスが小声で何か言ったような気がした。


「え?今なんか言った?」


「なんでもない。」

アリスが今日一番の笑顔でそう言ってきた。

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