サークル見学?
4月も終わり5月になりました。みなさん、お元気ですか?僕は元気です。
突然ですが、みなさん。
人っていつ死ぬか知っていますか?
ピストルに打たれた時?毒入りきのこのスープを飲まされた時?
いーえ。人に忘れられた時です。
この定義から行くと僕はすでに死んでいることになりますね。ははっ。
いや、ある意味でみんなからは覚えられているかも。悪目立ち的な意味でね。
男子学生からの評判は最悪になったからね。
あの後、どれだけ違うと否定してもあの男、
あっ、あの男ってのは俺の高校の同級生の現女の子の山本さんなんですが。
あいつが俺の腕に抱きつきずっと彼氏だって言い張るんですよ。
むちゃくちゃ否定したら泣かれるし。そしたら先輩たち、アリスちゃんを泣かせるんじゃねーとか
怒るし。俺にどうしろと?
そこから俺の悪評が広まり、今ではちょっとした大学の有名人。男子とは誰とも話せずに結局はぼっちに。
まあいいんだよ。小・中・高とぼっちやってきたし、今更俺が大学デビューとか無理だったんだよ。
本音を言えばリア充になりたかった・・・
こうして俺の大学生活に幕を閉じるのであった。
完。
いや、終われねーよ!
リア充になるためにここまできたんだから。つかなんだよあの女だか男だかわかんないやつはよー。
あいつのせいで俺の人生滅茶苦茶だYO。このままじゃ終われない、俺らが目指した桃源郷。今から始まる物語紡ぐ、我らが理想郷。
その当事者とは実はあれ以来会っていない。
文句の一つでも言ってやりたいが、そうなるとまた男どもから怒られる。
今じゃ、アリス親衛隊なるファンクラブもでき上がっている。恐ろしい巨大組織だ。
はあー。とため息が漏れる。昼休みの1時間がすごく長く感じる。
「お隣、いいかな?」
突如声をかけられる。
俺に声をかけてくれる人がまだいたのか。と思い見上げると、怪しい黒いローブを身にまとい、フードを頭まで被って顔がよく見えない人がいた。
こいつは入学式で見た隣に座っていた関わりたくないと思ったやつ。同じ授業取ってたのかよ。
どうぞーとよそよそしい感じで隣の席を譲る。ありがとうと言って隣に座ってきた。
こいつも友達いないのかな?不意にそんなことを考える。
同情が欲しいのか、俺は?
そんなつまらない俺にまたため息がでた。
「どうしたんだい?大きなため息なんてして。」
怪しい黒ローブが話しかけてくる。
「いや、まあ別に」
「そう?ため息ばっかりついていると幸せが逃げていくよ。それに君には何かよくないものが見える。」
よくないものってなんだよ?霊でも見えんのかよ。
「こう見えて占いが得意なんだ。よかったら占ってあげるよ。」
こう見えてってどう見ても占いとかしてそうよ。
ぶっちゃけ占いなんて信じちゃいない。
だから乗り気ではない。だがどうしてもと言うのなら占ってもらおうかな。
「じゃ、じゃあ・・・」
本当はちょっと話しかけられたのを嬉しく思ってることをださないため、しぶしぶやったもらう感をだして言った。
「わかった。僕は水晶を使った占いが得意なんだ。今から君のことを占うね。」
わけのわからない呪文を唱え始める。みんな見てるからもう少しひっそりやって!
「見えたよ。なるほどね。サークルに入ろうと思ったけど、高校時代からの友人にして学年一の美少女に付き合っている発言をされ、誤解をとこうと思ったが誰も聞く耳を持ってくれず、妬まれサークルに入ることができなかったと。」
「ま、まそんな感じ・・・」
いや、こえーよ。なんでそこまでわかんだよ。
もはや占いの領域じゃねーよ。
「なるほど。ならウチのサークルの見学に来ないかい?君が求めているものとは限らないが、サークルの雰囲気とかもなんとなくわかるかも知れないし、なんならサークルつながりで紹介できるかも知れないしね。」
サークルの紹介?つまりリア充街道復活のチャンスあり?
「是非ともいかせてください。」
俺は二つ返事で行くことに決めた。
授業終わり。
俺は黒ローブの所属しているサークル、オカルト研究会に行くことにした。
オカ研か・・・
リア充からは遠いが、まあこれをきっかけに何か変わるかも知れない。そう思って見学に行くことに決めたのだ。
オカ研は本館の5階にあるひっそりとした場所にある。大学7不思議にはあそこの部屋には幽霊が出るとか出ないとか。
この際、お化けと友達でもいいかな。なんて。
「ここか・・・」
扉には特に変わったことはなく、手描きでオカルト研究会と書かれた紙が貼られているだけだった。
俺は一呼吸置いた後にノックする。
中からどうぞーという声がしたので扉を開けた。
「失礼します」
「やあ、君か。待っていたよ。ようこそ我がオカ研へ」
黒魔術のなんちゃらや首のない人形。陰謀論に関する資料などが置かれている。
えー、怖くないの?俺が一人でこの部屋いたら泣いちゃうんだけど。
「どうだい?部室はこんな感じになってる。まあ他のサークルに比べたら少し雰囲気は違うとは
思うけど。」
まあそりゃそうだよな。
かなりディープではあると思ったが、予想通りだった。
「部員は何人ぐらいいるの?」
「僕を含めて5人だね。君が入れば6人だ」
さらっと勧誘するなよ。
まあ勧誘されたことないからちょっと嬉しい。
「陰謀論とか好きかい?面白い話ならたくさんあるよ」
むちゃくちゃ近くまで寄ってきた。俺という格好の獲物を逃すまいとするように。
「い、いや。あんまりその手のことは詳しくなくて・・・」
「これから好きになったくれれば
いいよ」
完全に入る流れに持ってかれてないかこれ?早くここから抜け出さないと逃げられなくなりそうだ。
「あー、でもサークルってこんな感じなんだな。なんとなくわかったよ。ありがとう。じゃあ俺はそろそろ・・・」
俺は話をそらして、帰る準備をする。
ドアノブに手をかけようとしたら黒ローブが腕を掴んでくる。
「いや、もう少しいなよ。そうだ、お茶でもどう?すごく美味しい紅茶なんだ。」
「いや、俺は・・・」
「まだ来たばっかりでしょ?ほら、これなんて面白いよ」
やばい。このままでは帰れない。
かくなる上は勢いで出るしかない。俺は黒ローブの腕を振りほどこうとする。
黒ローブも負けじと手を離さない。両者譲れない戦いが今幕を開けた。
”さっさと離せ、この黒ローブ。
”離すわけにはいかない。たとえこの身が滅んでも”
そうこうしていると俺のバランスが崩れ去る。
やばい。ぶつか・・・
もふもふ。俺の右手に何やら柔らかい感触が伝わる。なんだこれ?すげー柔らか・・・
俺はその光景に思わず固まった。いろんな意味で。
俺の視線の先には黒ローブの真っ赤になった顔が。
そして俺は俺の右手がある位置にゆっくり視線を持っていく。
そこは上半身にある黒ローブの少し膨らんだオアシスであった。
「この変態!!!!!」
次の瞬間、俺は床と対面することになる。
薄れゆく意識の中、俺は感謝の気持ちとあるツッコミだけが脳内によぎった。
まさかのお前が女なのかよ。
俺はその場で気を失った。