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大型新人?

 「え?アリス神威隊に入会した?」俺は笑いをこらえるので必死だった。あのアリス大好き田辺先輩ですらアリス親衛隊に入会していないのにだ。

 

 「だから色々あったって言ったろ?でもそのおかげでほら。」手書きで書かれた”これで攻略!楽単1年生”

という誰が考えたのか知らないが、そんな冊子を神田が見せてきた。

 

 あの日、神田がアリスにかけあって、楽単の依頼は簡単にできた。やはり大学1のアイドルは伊達じゃない。

一瞬にしてアリスに協力してくれる人は集まった。だが、何故か、アリスにかけあった神田がアリス親衛隊に入会させられて・・・ぷぷっ。

 

 「僕だって好きでアリス親衛隊に入ったんじゃないよ?仕方なかったんだ。でもそのおかげで今回の依頼はクリアできたんだから感謝してほしいね。」「わかってるよ。俺じゃどうしようもなかったしな。だから報酬は大丈夫だ。」

 

 今回の依頼では神田・・・つかほぼアリスが・・・正確には親衛隊の皆様がアリスに指示のもと協力してやってくださいました。だから、流石に報酬はもらえない。その頑張りはアリスにでも還元してほしいが、この活動をバレるわけにも

いかないしな。

 

 「わかった。まあアリスちゃんの活躍は大きいから今度みんなで打ち上げでもしよう。ということでここからは本題だ。」神田が急に真面目な顔になる。神田の方から呼び出したがあったから、当然依頼のことでだろうとは思っている。だが、ここまで彼女が真面目な顔をするのだから、よっぽどのことに違いない。

 

 俺は覚悟を決めて、神田の話を聞く。「今回はなんだ?」いつにも増して真剣に尋ねた。神田は一つ

大きく呼吸をした。とても言いにくいことのようだ。ゴクリ。俺は思わず生唾を飲んだ。依頼を受けるのにここまで緊張することはない。だが来るなら来い。俺は今までに数多くの依頼を受けてきたんだ。今更大変な依頼ぐらいじゃビビらないぜ。神田はカッと目を見開いて言う。「今日からオカ研にアリスちゃんが来る。」


********


 「おい!聞いたかよ。アリスちゃんがオカ研に入るらしいぞ。」「聞いた聞いた。俺も入ろうかな。」

大学内ではその話で盛り上がっていた。おいおいどんだけ有名人なんだよ。大学で一人の人間がサークルに入るだけでこんなに話題になるか普通?

 

 大学では高校までと違い、主体性を求められる。だから授業も自分で選んで取るし、もっと言えば大学に来る来ないまで自由だ。だから知り合いでも「あいつ最近学校で合わないなー」なんてことは普通にあることだ(周りの話談)


 だからここまで認知度があるアリスは一体・・・

 

 俺はオカ研にアリスが来るから君は来ないほうがいいと神田から言われた。親衛隊の奴らも当然来るはずだ。そうなると俺の命が危ない。何故サークルに所属しているメンバーのはずなのに、ここまでアウェイなのか?


 すごく悲しい気持ちになる。まるでよく知っているところに有名人が来て、みんながそっちに流れちゃったかのようなこの気持ち。まあ気持ちつか現実そうなんだが。

 

 「おい、今アリスちゃんがオカ研にいるらしいぞ。」「授業なんて受けてる場合じゃねー。早く行くぞ。」学生の本文とはなんなのか?でもそこまでの人気があるアリスもなんなのか?そして部員なのに部員から部室出禁の俺はなんなのか?俺は大人しく授業を受ける。今日の授業は先週に比べて人が少ないように感じた。


********


 「やあ、山本さん。入部ありがとね。」「こちらこそありがとう。話聞いてる時はそうでもないと思ったけど、

こうしてみるとなんかオカ研っぽいね。」アリスは周りを見回していった。「まあ仮にもオカ研だからね。」

 

 「あわわわわ・・・あ、アリスちゃん!ゆゆゆゆ、ゆっくりしていいからね!」田辺先輩がアリスちゃんを前に完全に動揺している。そしてどこから情報を仕入れて来るのか知らないがこのギャラリーの多さ。山本アリス、恐るべし。

 

 「はい、先輩!よろしくお願いします。」アリスが満面の笑みを先輩に向けて言った。「あわわ・・・」どんっ。


 「先輩!大丈夫ですか?」先輩の目がハート形をして幸せそうな表情のまま倒れた。山本アリス、恐るべし。

 

 「あー。人が多くて暑かったのかもね。まあ先輩は少し休めば大丈夫だと思うから、横にしておこう。」


 「そんなんで大丈夫?でも人は多いよね。ごめんねみんな。ちょっと人が多くて大変だから、みんなにはどこか違うところに行って欲しいな。」アリスが上目遣いでそう言うと、周りは敬礼し、一瞬にして人がいなくなった。よく統率された軍隊だ。そして恐るべし、山本アリス。

 

 「なんかごめんね。せっかくたくさんの人が来てくれているのに。」「ううん。あれだけいたら部室に入りきらないしね。全然。それよりさ。」アリスが急に前のめりになって聞いて来る。「春きゅんは部室に来るのかな?」少し照れた様子でそう聞いてきた彼女に「あなたが来ると親衛隊の人も一緒に来ちゃうから来ないよ」とは口が裂けても言えない。

 

 「彼はあまり来ないかな。授業が終わるとすぐに帰っちゃうみたいだからね。」「そっか・・・」明らかに落ち込んだ様子である。春樹くん、君はここまで思われている女の子の気持ちに応えないのは罪人レベルだよ。

 

 「でも今度山本さんにお礼したいって言ってたよ。大学の楽単情報集めを彼も手伝ってくれていてね。そのお礼がしたいって。」「そんなお礼だなんて。」顔を真っ赤にさせて言っている。彼女のファンが多いのはわかる気がする。女性の僕から見ても可愛い。

 

 「多分今日あたりに連絡が来るから、待ってるといいよ。」「本当?そんな私は何もしてないよ。みんなが協力してくれたから。」そう言いつつも携帯を確認するあたりとても可愛い。こうやって親衛隊になるんだなと改めて実感するよ。

 

 「まあせっかく来てくれたしもっとお話ししよう。僕も山本さんと仲良くなりたいしね。」アリスがパアーッと笑顔になった。


 「うん!」


********


 テレレレレン。普段ならない俺の携帯にメールが。神田からだ。

 

 ”依頼。楽単の報酬は差し上げます。その代わりアリスちゃんにこのお金でお礼して来てください。”

 

 そう書かれた文章とアリスと神田の2ショットが送られて来た。あいつらいつこんなに仲良くなったんだ?つか依頼として俺に任せるのかよ。まあいいや。


 俺は早速アリスにメールで連絡する。テレレレレン。ん?送ってからすぐに返信が来た。まるで俺から連絡が来るのをわかっていたかのように。

 

 まあいいや。俺はアリスと連絡を続けた。心なしか?返信がいつもよりも早く来るような感じがした。

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