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リア充に俺はなる

リア充に俺はなる!


ふっふっふ・・・ついにこの時が来た。俺のリア充ライフがな。


俺はこの春から大学に通うことになる。高校の時に誰とも関わらず、ただひたすらに勉強し続けてきた。

その甲斐もあって、合コンしたい大学日本一の所に入ることができた。


ようやくこの時が来たんだ。これで俺も晴れてリア充の仲間入りだ。正確にはまだリア中ではないが実際のところリア充勝ち確定みたいなところはある。

そう、約束されたリア充だ。


高校の時、遊んでいたバカどもよ。俺はこの日のために力を蓄えておいたのさ。ふっはっはっはっは。明日からの入学式が楽しみだぜ。俺は期待で胸と股間を膨らませて眠りに着いたのだった。


 朝。なんて爽やかな朝なんだろう。まるで新品の新しいパンツを履いたかのよう爽快感だ。

まあそりゃそう。なんたって大学の初日だからな。勝ち組リア充エリートコースが約束されたようなもんだ。人生楽しみでしょうがない。

 

さらば独り身ライフ。こんにちはリア充ライフ。そんな事を考えながらこの日のためだけに購入したスーツに着替える。髪もセットしこれでバッチリだな。さて行くか。


俺は颯爽と大学に向けて出発した。



「であるからにして・・・」


どういうわけか偉い人の話は長くて退屈だ。日本全国で決まりごとにでもなってんのかレベルで長い。


あまりの暇さに俺はあたりを見渡した。誰も話など聞かず、隣のやつと話している。


すでに仲良くなっているのか、カラオケに行く約束までしているやつもいる。


もうすでにリア充戦争は始まっているようだ。乗るしかないこのビッグウェーブに。


俺も話しかけようと思い、隣のやつらを見た。


すぐ右隣のやつは寝てんのか起きてんのかわからないほどに目が細く、屈強な肉体をしている昭和の

ガキ大将が大人になっちゃったみたいなやつだった。


うん。こいつとは仲良くなれなさそうだ。左隣はどうかな?


左隣のやつは入学式という晴れ舞台に関わらず、真っ黒なローブに頭まで覆われている怪しいの代表みたいなやつだった。ぶっちゃけこんなやついるの?みたいな。

 

終わった。話しかけるどころか人間かどうかも怪しいレベルの連中に囲まれている俺の運のなさよ。

はあーとため息が出そうになる。


仕方ないから誰も聞いていなくてかわいそうだし、話ぐらい聞いてやるかと前を向いた時だった。


長い黒髪のストレート。吸い込まれるような大きな瞳。誰が見ても美少女としか言えないような女の子と目があった。女の子は一瞬ニコッと微笑みまた前を向いてしまった。


えっ?なにこれ。これが運命ってやつ。まじ?マジなの?ロマンスの神様来ちゃった?

そんなことを考えながら、俺は彼女の長い後ろ髪をなんども見ていたのだった。


ようやく入学式が終わった。俺はさっきの美少女を追いかけた。まだ近くにいるはず。


俺の全五感をフル活用し、探し回った。おかしい。あの子が出てからそれほど時間は経っていない。

必ず近くにいるはずだ。

 

「春樹くんだよね?」後ろから声をかけられる。


振り返るとそこには俺が先からずっと探していたあの美少女が立っていた。


なにこれなにこれ?どういうこと?つかなんで俺のこと知ってんの?

もしや、俺が忘れているだけで、昔結婚を約束した幼馴染とか?


「そ、そうですけど・・・」


緊張してコミュ症全開な話し方になっちまったああああああ。

一瞬にして後悔が押し寄せてくる。


「だよね!高校の時一緒だったけど覚えてる?」


えっ?高校?高校にこんな可愛い女の子いたらわかんないはずない。だけど知らないだと・・・


もしや大学デビューで相当イメチェンしたか?

だが彼女はナチュラルメイクでそんな感じには見えない。だとしたら俺の記憶障害か?


「ごめん・・・高校の時、友達あんまりいなくて・・・他クラスの人とかわかんなかったんだよね。」


俺は申し訳なさそうに言った。


「え?同じクラスで仲良くしてたじゃん!私の事忘れちゃったの?山本だよ?」


山本?俺が知ってる山本は俺が唯一高校時代仲がよかった男友達だけだが…女の山本は…


俺が思い出せないでいると、彼女はいたずらっぽく笑い、携帯で何やら文字を打って送信してきた。


ピロリン。俺の普段鳴ることのない携帯が鳴る。


「今メールしたから見てみてよ!」


え?何言ってるの?メール交換なんてしてないよ…


俺は携帯を見る。

そこには高校時代唯一の友達、山本大河から連絡が来ていた。


「え?まさか?」


「久しぶり!春きゅん!山本大河です!」

キャピッ!と効果音が聞こえるような可愛さで彼女が言ってきた。


え?えええええええええええええええええええ

俺が運命を感じたと思っていた美少女は女の子に転身した高校時代唯一の友達、山本大河くんだった。

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