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第56話 後 くどい

  怖い、茶色いのしか目に映っていない。カイル兄さんやみんなの姿も見えなくなってしまった。

 「メアリー、広範囲魔法だ!」

 「みんなの姿が確認出来ない、巻き込むわよ。アシュリーの神聖魔法を持ってしてもハゲは治らないのよ。いいのか?」

 「この際仕方ない」

 「カイル何考えてるの? 髪は女の命よ!」

 「分かった! とりあえずメイ、みんなの防御力の強化だ!」

 「了解! 堅牢の陣!」


 痛い痛い! このままでは……。


 「カイル兄さん!」

 「ケイリ、ダメだ! 絶対に使うなよ!」

 いや、そうではなくて!

 「ち、違う……一旦……」

 「そうだね、一旦撤退しようか」

 「カイル、すまん、麻痺ったっぽい」

 「メイ!アシュリー!」

 「無理、メアリーの位置が分かんない」

 「大丈夫、あの子達の嗅覚でメアリーの位置を把握した。アシュリーの元に連れて行く」


 みんな優秀だね。そっか、私のいないこの一年間でみんなはこうやって頑張ってきたのね。

 「すまんな、アシュリー、助かった」

 「安心するのはまだ早いよ。このままじゃ逃げ切れないよ」

 「ケイリ、なんとか出来ない?」

 クマムカデには目がない。閃光玉は効かない。それなら音爆弾!


 「みんな、今だ! 走れ!」

 驚いただけ。聴覚は弱点ではないのか? それでも距離を稼げた。もういっちょ!


 「思ってたよりずっとヤバかった」

 「そうだね、武器や、召喚獣の牙でどうにかできる相手ではない」

 「やはり距離を取ってメアリーの酸魔法で一網打尽にするしかない」

 「言うほど簡単じゃないよ。広範囲魔法は射程が短いし、詠唱が長い。詠唱終わる前に囲まれてしまう」

 「それでも、今回は味方の位置を把握してるから巻き込む心配はない。一網打尽にできなくても数を減らせるはずだ」

 「分かった。でもその後どうする? そもそも、クマムカデを全滅させるの? 本体? 女王? をどうにかする方法はないのか?」

 「無理じゃないかな? あの中で特定な一体を探すのは砂漠の中で砂金を探すようなものだ」

 「ケイリ、何かいい考えないのか? あ、あれを使っちゃダメだぞ」

 なんて毎回毎回召喚獣のことを言うの? そんな簡単には使わないよ。私だってこんなクエストのために代償払いたくないよ。

 「ちょっと、考え、させて」

 目がない。音は弱点ではない。嗅覚か、触覚かな。多分嗅覚だと思う。たとえば、女王のフェロモンとかで意思疎通してるとか。あとは麻痺、かな? みんなこんなに噛まれたのに、メアリーでしか麻痺ってなかった。もしかしたら、本体? 女王? でしか麻痺毒を持っていない、かな?


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