第56話 前 クマムカデ
右手がほぼ使えなくなった今、片手でも使える武器を使わなければならない。そこで、私は吹き矢を使うことを決めた。装填なら練習すれば右手の小指と中指だけでもなんとかなるはずだ。矢に毒や麻酔を塗れば効く相手を弱らせることができるはずだし。私、また戦える!
「今回の目標はクマムカデという魔物だ」
「クマムカデ?」
「そうだ。クマのような頭をする節足動物だそうだ。因みに節足動物は仮分類らしい」
「どういうこと?」
「クマムカデは個体なのか、集合体なのかはまだ分かっていないらしい」
「分かるように説明しろ!」
「クマムカデは沢山体節を持っていて、体節を分離させることができる。それぞれの体節は2本の足と口を持ってて捕食できる」
「つまり、クマムカデは個体ではなく、沢山のクマムカデが合体しているってこと?」
「それがよく分からないのだ。分裂する前の頭を殺せば残る体節が動かなくなるって話だ。それが群の女王なのか、はたまたそれが脳なのか未だに分かっていないのだ」
「要するに頭を狙って、潰せばいいって話だろう」
「そうだ。見失わないように心掛けするんだ」
「面倒臭いな。流石Bランクのクエストだ」
「いや、これはCランクのクエストだ」
「「え!?」」
Bランクのクエストではない? どうして? 今Bランク冒険者は不足しているはず。カイル兄さんならきっとBランクのクエストを受けると思ってたのに。
「そうなんだよ。受付嬢も説得したのにカイルってばCランクのクエストを受けると聞かなくて……」
「それは……ほら、僕達、ランクアップクエスト受けられるほどのCランククエストをこなしてないだろう」
どうして私を見たの? もしかして私が弓を使えなくなったから? はあ、また私がみんなの足を引っ張って……。でもまあ……えーと、でもまあ、そうだ! でもまあ、ここで吹き矢をうまく使いこなしてカイル兄さんに私の実力を認めさせればいいのだ。吹き矢だけじゃない。私にはまだワンドや沢山の小道具、回復アイテムやゴーレムがあることを今回のクエストで見せないとね。
「あれがクマムカデだ。絶対に頭を見失うな!」
「「「無理だっ!!」」
クマムカデは思ったより長くて、一匹? 一節? ずつは鶏の卵ぐらいの大きさで、足2本と口がある。本当に口だけ、顔はない。
「誰だ! クマムカデって名前つけたやつは! 熊要素茶色な体毛しかないじゃんっ!」
「そうなこと言ってる場合か?囲まれてるぞ!」
「ケイリ! いいか? 絶対に使うなよ! 絶対だぞ!!」




