第55話 後 失恋
「入って」
カイルはメアリーと付き合っていた。メアリーは私の気持ちを知っていた。カイルと付き合っているのに……。私はずっとカイルの彼女と恋愛相談したのか? さぞかし滑稽だったんでしょうね、私。
「あのさぁ……メイ、僕は……」
「いつから?」
「一応三ヶ月前から……」
「そんなに? ね、カイル、私、ずっとカイルのことが好きだったんだよ。知ってた?」
「……うん」
カイルも知ってたのか。メアリーから聞いた? それとも……。
「何故隠してたの?」
「あ、あの……。メイには悪いことをしたと思っている。許してもらえるとは思っていない。全部僕が悪いんだから」
多分私が知ったらこのパーティーを抜けるかもしれないと思ってたから黙ってたんだと思う。カイルは多分悪くない。
そうか、私はメアリーに負けたんだ。
「メイ……」
「泣いてない!」
「あのさ……」
「泣いてないってば!」
失恋したのか、私……。悲しい……涙が止まらない。これが失恋……。
「パーティーは抜けないから今は1人にして」
「……分かった」
何がいけなかったんだかな? 積極性が足りなかったのかな? 魅力が足りなかった? 獣臭かったから?
色んなことが頭をよぎっていつの間にか私は泣きながら眠りについてしまった。
「カイル、おはよう」
「メイ、あの……」
私は思い切ってカイルの背中を叩いた。
「呆れたわ。私こんなのに惚れたのか。幻滅したわ。ほら、シャキッとしなさい! リーダーなんでしょ!」
「メイ。お前、本当にいい女だ」
「でしょ! 後悔するがいいわ! ほら、ギルドに行こう。依頼を受けるのよ」
「ああ」
泣いちゃダメだ。私は冒険者。私にはランクを上げて召喚獣の実力を証明するという夢があるのよ。ううん、それだけじゃない。前回の魔獣の襲撃で多くの高ランク冒険者が犠牲になった。私達は今やbランク冒険者。落ち込む暇なんてないのよ! しっかりしないと!
ギルドに着いて私は一直線ランクbクエストの掲示板に向かった。ランクbにどんなクエストがあるのをワクワクしてるところに、カイルが……。
「bじゃない。cランクのクエストを受けるんだ」
「え!? どうして? せっかくbランクに上がったのに」
「僕達はbランク相応の実力がない」
「あるからbランクに上がったんじゃないの? 私達、あの戦いから生き延びた強者と言われているんだよ」
「ないんだな、これが。僕達が生き延びたのは……」




