第55話 前 決意
「カイル、話がある。入っていい?」
アシュリー、また僕を責めにきたのか。いいだろう。僕はリーダーだ。リーダーにはパーティーメンバーの意見を聞き入れ、その上で自分の考えをメンバー全員に納得させる義務がある。
「入っていいよ」
「カイル、先は言えなかったけど、あんたは予想できいたのか?」
「何を?」
「私がケイリを追わなかったらケイリが明日死体として発見されることをだ」
そうだった! 何やってんだ僕! 何年ケイリと一緒にいたんだ! 僕の馬鹿野郎!
あっ、これ詰んだんじゃないか? ケイリを追い出したらケイリは自殺してしまう。かと言ってこのままケイリと冒険を続ければケイリは皆のためと思ってこっそり召喚獣を召喚してしまう。何を知らない僕は普段通りにケイリと接触して、ケイリの動けなくなった部位を見て怒り出して後悔する。そんな未来しか目に浮かばない。
じゃあ、どうすればいいというのだ?
「ちょっと、カイル聞いてる?」
「あ、もちろんだ。言ってることはわかる。でも僕なりにケイリ、いや、このパーティーの皆のことを考えているんだ。ちょっと時間もらえないかな?」
「……分かった。カイルがそう言うのなら信じる」
で、どうする? もちろんケイリが僕のことを諦めてくれるなら全てが丸く収まるなんだが……。いや、それはそれで寂しいし。他にないのか、ケイリに召喚獣を使わせない方法が……。
……あった。僕が冒険者をやめてケイリと一緒に田舎に戻ったら全てが解決する。だが、夢を諦めるのか? 諦めていいのか? 今? 上位ランク冒険者が沢山犠牲になったこのタイミングで冒険者をやめるのか? いや、だめだ。僕は皆を守りたくて冒険者になったのだ。ケイリは大切な人だ。かけがえのない人なんだ。でも、冒険者をやめたら僕は僕でいられなくなってしまう。
決めた。冒険者はやめない。ケイリは側に居させる。が、召喚獣は使わせない。大丈夫だ。僕が強くなればいい話だ。僕がもっと強くなれば皆を守れるんだ。今はまだ弱いけど。そう、僕は弱いんだ。だから、今出来ない事は無理にしない。無理にBランクの仕事を引き受けない。
これが僕の選択だ。僕の側にいたい、それがケイリの選択だ。僕はケイリの選択を尊重しなければならない。これでいいんだ。もし、ケイリが再び召喚獣を召喚獣を召喚したら僕が怒るべきなのはケイリではなく無力な自分だ。
そうと決まればまずは……。
「メイ、カイルだ。話がしたい。ちょっといい?」




